海月

じっとりじっとりなんだか汗ばむじっとり熱い夜
ぼんやりぼんやりいつかの夏を思い出してしまった
ひんやりひんやりあの夜僕らは二匹の海月になって
べったりべったり纏わり茹だる人の海に揺られていた

まっかなまっかなまっかな花火が君の
おっきなおっきなおっきな瞳に映る

真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
ありふれた僕たちが背伸びをしたあの夏
真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
あの夏を、あの恋を、何故だか淡く思い出す

なんだかなんだかじんわり胸が軋むな
淋しくないのに思わず淋しくなるな

真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
ありふれたこの街に今年も夏が来るのだな
真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
あの夏は、あの恋は、もう何処にもないのに

ひっそりひっそりひっそりひっそり……

夜が滲んだ

真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
ありふれたこの街に今年も夏が来るけど
真夏の夜の幻 あの日の恋の幻
あの夏は、あの恋は、二度と帰ってこない
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