残月はぐれ節

大間 汐首 貴方(あんた)の面影(かげ)を
映す荒ぶる 北岬 北岬
恋歌か 戯(ざ)れ歌か 幻(ゆめ)歌か
凍れる指で 撥打てば
切れ切れひびく 三味の音が
沁みる女の はぐれ節

別れ形見の かんざし挿せば
みれん重たい 草枕 草枕
雨すだれ 小夜あらし 雪つぶて
ささくれ笠で 越えて来た
熾火(おきび)で沸かす 燗酒も
凍る女の はぐれ節

竜飛 小泊 道連れなしの
津軽海峡 夜明け前 夜明け前
生きるのも 迷うのも 果てるのも
天から貰う 運命(さだめ)なら
明日の途(みち)を 残月に
祈る女の はぐれ節
×