紅葉

然様 捜しける 鬼女は
現在の 憂き名 此の身の 処遇
もう 逃げられぬ 山鳥
声を 聴くは 情

嗚呼 罅ぜるは 刹那の夢
小鳥なら 一太刀で 逝ける

其の手を 差し向ける前に
言選りを 願い上げる
皇に 傅かる 貴方に
せめても 手向く迄

左右 頑に 端張る
汝 声は 滅びの 呪文
念う 嗾けし 主は
曾て 恋いし 男

嗚呼 疏解は 只 一言
凩など 吹く暇も 要らぬ

其の手を 差し向ける前に
言選りを 願い上げる
皇に 傅かる 貴方に
せめても 手向く迄

嗚呼 罅ぜるは 刹那の夢
小鳥なと 小太刀なと 参れ

両手を 差し仰ぐ前に
此の髪を 納め賜え
泪に 暮れ果てる 此の子に
別離を 詫びる為
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