木曽川しぐれ

旅に身をひく 女の肩に
俄か雨ふる 馬籠の峠
さだめという名の この橋渡り
強く生きると 決めたのに……
憎い恋しい 面影ゆれて
今日も 今日も泣かせる
木曽川しぐれ

鳥居峠も ふたりで来れば
つげの櫛など 買ったでしょうね
別れのまぎわに 笑って見せた
あれは女の 意地でした……
すがりたい手を なぜ離したと
責めて 責めているよな
木曽川しぐれ

ひとり泊りの 妻籠の宿に
咲いて哀しい ゆうすげの花
酔うほどせつない あなたが欲しい
夢で逢うのも 罪ですね……
みれん灯りか 千本格子
濡れて 濡れて誰待つ
木曽川しぐれ
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