つばなの小径

ハア…………
涙ぬぐって あとふりむけば
遠くうすれる 入日雲
どうぞ御無事で さようなら
呼んでみたけど つばなの野づら
花がこぼれて いるばかり

ハア…………
娘ひとりが たよりの親を
なんで捨てらりょ 山暮し
縁がなかった あの人と
道をうずめた つばなの花を
泣いて踏んでく 影法師

ハア…………
淡い思い出 うつしたような
花の白さが 暮れのこる
駅についたろ 今ごろは
汽車の灯りか 野づらの果で
うるむ夜空に 月がでる
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