みかえり富士

顧(かえり)みて想うのは
花咲く春の富士の山
頂(いただき)の雪拝み
志立てたというひとの
節榑立(ふしくれだ)った あの手と怒り肩
想い出すんだ 武骨な 我が祖父を

妻よ子よ 友輩(ともがら)よ
一度は見ろよ 富士の山
ほとばしる青春の
全て懸け生きたというひとの
時代と夢と厳しい人生を
無駄にゃしないぞ この先 いつだって

旅立ちの朝まだき
みかえり仰ぐ富士の山
あの姿 鑑(かがみ)かな
日本の誉れというひとの
ブラジル目指し 乗り込む移民船
何度聞いたか その名は笠戸丸(かさどまる)
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