有馬川

迷い螢が 何処からか
部屋に忍んで 浴衣(ゆかた)に止まる
窓の下には 有馬川(ありまがわ)
好きなあのひと 愛しむように
そっと両手でやさしく 包む夜…

白く咲いても 沙羅双樹(さらそうじゅ)
いのち果敢(はか)ない 無常の花よ
湯の香ただよう 有馬川
待てばせつない 湯あがり化粧
なのに恋しいあのひと まだ来ない…

髪の乱れを その指で
撫でて梳(と)かした あの夜(よ)が恋し
瀬音かなしい 有馬川
罪な恋だと わかっていても
次の逢瀬をひとりで 夢に見る…
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