十日の菊

浮かぶも沈むも ふたりは一つ
あなたの言葉に 泣きました
日陰の庭にも 十日の菊が
ひっそり咲いて 立ち枯れる
添えるなら 添えるなら
隠れ妻でも わたしはいいの

夜明けの茜が 色増す空に
ご出世祈って 手を合わす
わたしのせいです 家門を捨てて
掛け小屋芝居に 身をやつす
あの人に あの人に
病んでとどかぬ 心が痛い

瞼を閉じても 滲んで見える
初春芽出度い 顔見世が
お役目ご免ね 黒衣の役は
これから彼岸へ 旅にでる
賑やかに 賑やかに
三味や太鼓に 囃されながら
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