さきっぽ

わびさびの見える暮らしに
憧れていた頃 ありましたけれど
どれくらい流れたでしょう
そんなことすら今は気にもしないけれど

旅立ちの時に気が付いたことは
もう 手遅れだと

だって喜怒哀楽なら想い出とともに故郷に捨ててきた私の心
ぴくりともしない…さきっぽ

カブトムシ食べた夏の日
頑なに怯えた友に首傾げた
アリの巣に運ぶ飴玉
取り上げて舐めてた 日々を蔑まずに

笑わず怒らず喜び忘れた
ほら 手遅れでしょ?

だって喜怒哀楽ならあの人とともに故郷に捨ててきた私の心
ぴくりともしない…さきっぽ

喜怒哀楽ならあの人とともに故郷に捨てて
喜怒哀楽ならお袋とともに故郷に捨てて
喜怒哀楽なら生ゴミとともに故郷に捨てて
喜怒哀楽ならザリガニとともに故郷に捨ててきた私の昨日
ぴくりともしない…さきっぽ
ぴくりともしない…さきっぽ
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