名前のない町

さよならを告げてきた砂煙の町
ガードレールに刻んだ日付を残して

悪いことばかりじゃなかった
笑い声やテーブルもあるけど
そんなものじゃ ごまかせない

朝も夜も探していた ずっと探してた
ここではゴミくずの熱い何かを

いつもママは言ってた 「パパを愛してる」
幸せはそんなもの ぼんやり信じてた

だけど愛のことばもシーツも
100のキスも 何ひとつ私を
私らしくできなかった

上手な嘘が浮かばなくて やっと今えらんだ
つぎの場所へ行こう すべて脱ぎ捨て

トランクはからっぽで写真は置いてゆくよ
ここには無かったもの見つけてくるから

最終バスに揺られ走る
一枚のキップきつく握りしめて
焼きつけたい この景色を
ずっと忘れない今日のこの涙を

最終バスに揺られ走る
明日は見えないけど風に吹かれながら
バスは走る
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