女の帰郷

帰ります ふるさとへ
私のふるさとは
血の色に 染まる海の
忘れ去られた 小島です
私を追ってきてくれますか
そんな本気がありますか
もとの私に もどりたい
夢からさめた それだけよ

だまし舟 折りながら
港で船を待つ
もう一度 鬼ヶ岬で
バラモンの凧 上げたいの
海の男にゃなれないあなた
ヤワな言葉はいりません
汐のにおいの 二の腕が
いまは恋しい それだけよ

髪を切り 出直すの
まだ間に合うかしら
鳳仙花 爪紅さして
バテレン祭り 行った日々
地獄お炊きのうどんの湯気が
泣きたいくらい なつかしい
人恋い唄の ひと節を
思い出したい それだけよ
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