花の火

ドドンと一発 空に昇れば
夏の夜を照らす 花の祭り

浴衣の一輪 ふり向きざまに
人ごみの中に咲いた
あの想い出の人

忘れかけてた
記憶に火がともる
胸の導火線
赤い炎が せつない

夜空に燃え尽きて
散った花びらを
誰かの肩に寄り添って
見上げてる笑顔

それぞれの人生に
幸せ願うほど
くすぶ火薬の 残り香が
心まで焦がす

あつく
あつく

激しい恋ほど 儚いゆえに
少しの目移りで 火を消した

あの娘がポトリと 落とした涙は
遠い日にはしゃぎすぎた
あの線香花火

俺に気づくな
幸せそうじゃないか
胸に残そう
今夜 最後の花の火

夜空に咲き誇れ
散ってゆく花よ
この瞬間にすべて賭け
舞い上がり踊れ

それぞれの人生で
幸せ咲かせても
今夜の夢は 鮮やかに
心に焼き付く

あつく
あつく
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