春雨の宿

命ひとつをあなたの愛に
賭けて悔いない女のこころ
夢で瀬音を 聞きながら
強く抱れたふたりの夜が
忘れられずにひとりで来たの
あヽ追憶が 泣いている春雨の宿

あなた恋しい想いの糸は
いつになったら切れるでしょうか
勿忘草(わすれなぐさ)が 淋しさが
揺れる谷間の小怪をひとり
今日も涙と さまよう私
あヽ紫に けむるのよ春雨の宿

花に飛び交う揚羽の 蝶と
同じさだめのはかない恋ね
あなた残した 温りが
夜の湯船で哀しく炎えて
濡れた素肌が面影さがす
あヽもう一度逢いたいの春雨の宿
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