晶子絶唱

衿あしの…
ほつれ毛そっと かきあげる
真白の指の 恥らいよ
おんなの性を 三十一文字に
晶子は歌う みだれ髪

結ばれて…
ふたりで居ても 淋しいと
晶子が泣けば 雨がふる
あまえる涙 まくらを濡らす
春待つ夜の 京の宿

朝ですわ…
布団のうえに 手をそえて
おぼろな あなた 揺り起す
新妻らしい 初々(ういうい)しさが
ガラスに光る あゝ晶子
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