ワスレナグサ

瞼を閉じた闇で彼はささやき、聞いた。
本当に欲しいモノ。望むことは何。
君は弓を握った。このままでいいものかと、彼の声に心を奪われて塞ぎこむ。

部屋に篭った君はここから飛び出そうと、
無我夢中で月夜に駆け出して、思う。
目に映るその全て、手に入れたいと願い、彼に唆されて弓をひいた。

ワスレナグサは昨日より美しく咲き乱れている。

誰一人止められないほど放たれた強い衝動。
自らの身が滅びる事などないと思ってた。

「最後に残すは空。それさえ手に入れれば。」
君は神になれると、疑うことを知らず。
何時しか彼は忘れ去られていた。

ワスレナグサは昨日より美しく咲き乱れている。

なにもかも壊すほど強く放たれた弓矢は天へ。
でもそっと勢いは無くなって君を貫いた。

誰一人止められないほど放たれた強い衝動。
自らの身が滅びる事などないと思った。
もうなにもかも壊すほど強く放たれた弓矢は天へ。
でもそっと勢いは無くなって舞い戻り簡単に君を貫いた。

君は最期に気づく。
彼は君自身だと。
わかった時にはもう全てが遅くて…。
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