出世船唄

出船の舳で 一升壜[いっしょうびん]が
はじけてまっ赤な 旭日が昇る
お守り袋に 子供らの
写真を忍ばせ 赤道こえる
いってくるぜ いってくるぜ
はるか地球の 裏側へ

毛蟹で稼いで ニシンで当てた
思い出噺に 生きてる親父
明日は倅に まかせてよ
待っていてくれ 大漁便り
それでいいさ それでいいさ
好きな酒でも やりながら

時計を合わせて 別れる女房
0時を合図に 逢おうよ夢で
俺らの目宛ては 黒マグロ
船底いっぱい 土産を積んで
あふくろさんの あふくろさんの
古希の祝いを してやるぜ
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