君知らず

あて名は書けど 一文字も
わが名を書けぬ 恋文よ
紅を落とした くちびるで
閉じる悲しさ 君知らず

つかの間触れた 指先に
思いの丈が ほとばしる
柔肌焦がす 女火の
炎とどくか 男火に

まことの愛に 生きようか
かなわぬ夢と 捨てようか
迷えば曇る 手鏡を
伏せて泣くのを 君知らず
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