サヨンの鐘

嵐吹きまく 峯ふもと
ながれ危うき 丸木橋
渡るは誰ぞ うるわし乙女
紅きくちびる ああサヨン

晴れの戦(いくさ)に 出てたもう
雄々し師の君 なつかしや
担う荷物に 歌さえ朗ら
雨はふるふる ああサヨン
散るや嵐に 花一枝(ひとえ)
消えて哀しき 水けむり
藩社の森に 小鳥は啼けど
何故に帰らぬ ああサヨン

清き乙女の 真心を
誰か涙に 偲ばざる
南の島の たそがれ深く
鐘は鳴る鳴る ああサヨン
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