浅き夢

前を行く子供の群れの中に
目に痛い白いハンケチゆれて
花は散りぬまどけき光の中
すべては幻か
目にしむ緑鮮か 真昼の校舎の陰で
我が恋打ち明けし友 病に倒れたと聞く
表札も変わったなつかしの家
匂いは今も変わらず
この橋の上から水に映る
青空に小さな石を投げた
川はただ何も知らぬげに
私を置き去りにした
あれから人は散りぢり 悲しき時の流れに
かよわき足をすくわれ 帰らぬ人もいるけど
もう行こう胸が痛くなる
誰もいない故郷

日暮れの風が吹くまで こうして歩き続けて
つらさに耐えかねたなら
そのままそっと目を閉じ
今行きて二度と帰らぬ時よ
さらば浅き春の夢
さらば浅き春の夢
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