ウランバナ

吐息 ひとつ こぼし
軒先に 盆提灯(あかり) 灯す
帰らぬあなたの 魂(こころ)だけは
ここに 来ると
都会暮らし決めた
わたしを 叱りもせずに
駅まで続く あぜ道
歩いた あの日
あなたに 逢える ウランバナ
初めての 夏の ウランバナ
ずっと言えずに いた言葉
あなたの息子で 良かったよ…
夜空 彩る 花火が 見えますか

小舟 ひとつ 浮かべ
送り火が ユラリ 揺れる
震える小さな 母の背中
そっと 抱いた
赤い浴衣を着た

子供が 川辺(かわべ)で はしゃぐ
あなたの肩で 遊んだ
あの頃の ように
あなたを 見送る ウランバナ
両の手を 合掌(あわ)せ ウランバナ
あんな時代も あったねと
朝まで二人で 飲みたいよ…
夜空 見上げて 涙を 呑んでます
夜空 見上げて 涙を 呑んでます
×