秋の扉

これ程早く夏が壊れ去ると
思わずに今日まで浮かれていた街は
燃え上る秋のそのすばやさに
戸迷いながらもすべては秋の色へ
あれ程待ち焦がれて夏を駆けたあなたも
なぜか秋の中では恥ずかしそう俯(うつむ)いてばかり
余り慌ててこの秋の中へ
夏の恋を忘れたりせぬ様に
そんな私もあれ程時を忘れ
愛したあなたの顔さえもう見れずにいる

街に溶ける黄昏の秋は深く
夏の名残はかすかな肌のぬくもり
この季節の流れを止めるほど
夏の恋人達の愛は強くなく
あれ程熱い心でさようならとつれない声
秋の寂しさにまどわされたりして
夏の恋に別れを急がぬ様に
そんな私もあれ程時を忘れ
愛したあなたの顔さえもう想いだせない
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