いばらの冠

いばらの冠が
哀しみに棘を刺す
あなたを恋しがる
ジェラシーをつらぬいて

波が竪琴みたい
携帯電話(けいたい)ごしに聴いて
あなたの硝子の家
私壊したみたい

このまま海の底
沈みたい気分なの
私を消去して
降り注ぐ星の粉

指が触れると 私
生きてる薔薇になれた
生命(いのち)のアルペジオが
身体中を焦がした

いばらの冠が
この髪にくいこむの
あなたへと未だ靡(なび)く
魂を縛るため

このまま眠りたい
星の降る桟橋で
夜明けに凍えてる
亡骸を抱きにきて

ほら 夏の木漏れ陽がきらきら
すみれ探してあなたと垣根ごし
出逢った瞬間まなざしに吸い込まれた
少女の固い繭(まゆ)を 脱ぎ捨てて 私は
天使の翼拡げる
×