幻燈記

燃える風と滲む汗と
空の頂点 仰ぐ姿
すべては八月のまぼろしなのか

ひとこまも ひとことも
逃げ水と消えぬよう
幻燈機 今も胸は
映し出すのに

午後の蝉時雨
明日など来なくても
純粋な瞳が守ろうとしたものを
教えてよ

ああ
ひとときは ひとひらは
儚くも散ったけど
喜びも痛みさえも
君が居たから

安らかに眠れ
征きて還らぬ夏
×