風の篝火

水彩画の蜉蝣の様な
君の細い腕がふわりと
僕の替わりに宙を抱く
蛍祭りの夕間暮れ
時折君が散りばめた
土産がわりの町言葉
から廻り立ち停まり
大人びた分だけ遠ざかる
きらきら輝き覚えた
君を見上げる様に
すかんぽの小さな花が
埃だらけで揺れているよ

不思議絵の階段の様に
同じ高さ昇り続けて
言葉の糸を紡ぎ乍ら
別れの時を待ちつぶす
君ははかない指先で
たどる明日の独言
雲の間に天の川
君と僕の間に橋が無い
突然舞い上がる
風の篝火が
二人の物語に
静かに幕を引く

ふりしきる雪の様な蛍・蛍・蛍
光る風祭りの中すべてがかすみ
すべて終る
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