12月

宇崎竜童

12月

作詞:阿木燿子
作曲:宇崎竜童
編曲:Kaoru Wada
発売日:2002/10/19
この曲の表示回数:16,438回

12月
今年も色々なことがありましたが、12月ももう残りわずかです。
師走という言葉を聞くと、何故か気が急きます
何かをし忘れたことがあるんじゃないか、
誰かに云い忘れたことがあったんじゃないか
ぼくにも、そういう心残りがひとつあります。
それは書いたのに出せずに居た手紙です
12月になると、いつもそれを読み返すんですが、
その度に、青春の残像が見えるようで、ほろ苦い気持ちになります。

慌ただしさと 日々の雑事に追われ
過ごしていたら 今年もいつの間にか12月
出しそびれていた 一通の手紙
色あせた文字に 街の灯が浮かび上がらせる
あなたの名前

前略 その後お変わりなくお過ごしのことと思います。
北の国の雪便りと共に、あなたからの知らせ、届きました。
まずは心からお目出度う、と申し上げます。
残念がら 仕事の都合で出席できません。
遠い地より、お二人の末永いお幸せをお祈りしております。
それにしても、12月にあなたが嫁がれるとは…。

よくよく、あなたは12月の女神に愛された人、
いや、女神そのものなのかも知れません。
ボードレールは、「ぼくには、千年生きたよりも多くの思い出がある」、
そう詩集に書き記していますが、
あなたがぼくに千年分の思い出をくれたのも、
思えば12月でした。
街に流れるクリスマス・キャロルに耳を澄まし、
ささやかなプレゼントに涙ぐんでいたあなた。
その清らかな横顔を見つめながら、傷つけてはいけないと誓った日々。
何年生きれば、人は大人になるのでしょうか。
もしかすると永遠に、少年と少女をひきずってゆくのかも知れません。
僕の中の少年が、あなたの中の少女を愛した。
そう言ったら笑うでしょうか?
いつもの愛らしい声で、「男の人はいつまでもロマンティストなのね」
と言って…。

一年の終わりの12月に、人は一度立ち止まります。
新しく迎える年への希望と共に、過ぎゆく年を省みて。
あの時、素直にぼくが気持ちを伝えていたら……。
いや、今更それはありませんね。
人生の先輩づらをして、
「君の歳に相応しい相手が、いつか現れるから待ちなさい」と、
そう言っていたのですから。
12月に飛び立つ鳥は、未来に向かって純白の翼を広げます。
お幸せに、末永くお幸せに……。
いつまでも、その清らかさを忘れずに、
世界中で一番幸せな人になって下さい。

足早に行く 人の波に押されて
見上げてみれば 木々も光を宿す12月
出しそびれていた 手紙のように
心を残して 月日は過ぎ去ってゆくのか
あなたと共に

追伸
夜半から雪が降り始めました。
この分だと東京でも珍しく、今年は、ホワイトクリスマスになりそうです。
12月の女神のあなたが降らせたのでしょうか。
ぼくの心の中まで清めてくれているようです。
メリー・クリスマス
ぼくの永遠の少女へ

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