2010年ソロ女性アーティストNo.1のロングヒット、トータルセールス90万枚を記録した2ndアルバム「to LOVE」から1年。西野カナの最新作となる3rdアルバム「Thank you, Love」がついに完成!

ヒットシングル「if」「君って」「Distance」「Esperanza」はもちろん、温かいバラードから、アッパーなクラブチューン・ロックチューンまで、さらに表現の幅を広げた全14曲を収録!友達・家族・恋人…全ての人に感謝を捧げるまさに"Thank you, Love"な一枚!

歌ネットでは、ニューアルバムのリリースを記念して、彼女の歴代人気曲ベスト10をもとに西野カナの人気の秘密を探るべく歌詞分析を試みた。そして注目の話題作「Thank you, Love」についてのインタビューを一挙大公開。
「西野ワールド」に迫る!
 

過去1年以内に発売されたAKB48、嵐、KARAなどを含む、全ての楽曲中で10万回以上アクセスのあった楽曲は36曲。
その中で西野カナの占める割合を選出したところ、歌詞検索で西野カナが占めるシェアは何と25%という結果が出た。
4人に一人は西野カナの歌詞を見ていることになる(?)。 何故、西野カナが綴る歌詞はこんなにも支持されているのか?西野カナの歌ネット歴代人気曲ベスト10をもとに、その人気の一端を探ってみたい。
まず、西野カナのオリコンシングル売り上げランキングベスト10と歌ネット歴代人気曲ベスト10とを比較してみたい(図1)。ランクインしている楽曲は、両方とも5thシングル「遠くても feat.WISE」以降の全シングル曲。5thシングル「遠くても feat.WISE」でブレイクを果たした西野カナだが、同曲でその後の西野カナのヒット曲には欠かせないキーワードとなった"会いたい"という言葉が初めて登場している。「君に会いたくなるから」「会いたくて 会いたくて」など、この"会いたい"という言葉が共感される理由の一つに、携帯電話の普及が挙げられる。それはすぐに連絡が取れるようになった反面で、逆に連絡が取れない場合やメールの返事が来ない場合、すぐに不安を感じてしまう、という現代ならではの経験をしている若者が多いからであろう。
両ランキングを比較する上で、傾向の違いが分かり易いようにそれぞれの1位をピックアップして比較してみたい。まずシングル売り上げランキング1位の「君って」だが、ヒットした最大の要因にタイアップ力が挙げられる。同曲は、嵐の二宮和也が主演したテレビドラマ「フリーター、家を買う。」の挿入歌に起用され、同ドラマも高視聴率を記録した。ここで図2を見てほしい。これは、マイ歌ネットに登録している西野カナのファン層を分析したものだが、嵐のファン層と驚くほど似ていることが分かった。それが"嵐×西野カナ"という極上タッグの相乗効果を生み、CDの売り上げアップへと繋がったと推測できる。また、こうした女子中高生特有の純粋な心の叫びに共感を得ることが「ヒットの法則」だ。
次に、歌ネットで1位の「Best Friend」を見てみよう。同曲はNTTドコモ「ガンバレ受験生'09-'10」公式キャンペーン・ソングで、いわゆる"友情ソング"。それまでの彼女と言えば、切ない"恋うた"のイメージが強かった。"恋うた"では、すぐヘコんだり、"今すぐ会いたい"と相手に求めるなど、"ギブ アンド テイク"で言えば"テイク"の面が強かった彼女の作品にあって、「Best Friend」では"何かあったらすぐに飛んでくから、絶対""どんな時も祈っているよ 世界で一番に幸せになってほしい"など"ギブ"の面が強いことが分かる。この友情ソングという分野での成功がその人気を不動のものにしたことは間違いない。
ちなみに歌ネットにおける「Best Friend」の検索数をグラフにしてみた(図3-A)。これはここ一年の検索数だが、未だに平均して高い検索数を保っている。2位の「会いたくて 会いたくて」(図3-B)と比べてもらうとよりその違いが分かるだろう。歌詞の検索は、「会いたくて 会いたくて」のように右肩下がりになるのが通常なのだが、"友情"という普遍的な内容を歌った「Best Friend」は、卒業をはじめ、友人の大切さを感じることが多い学生を中心に支持を得る結果となった。「"大学生活"が私を形成している」と常々口にしていた西野カナが得た最大の宝物は、「Best Friend」という友人の存在だったのかもしれない。
順位 シングル売上ランキング 歌ネット検索ランキング
1 君って Best Friend
2 会いたくて 会いたくて 会いたくて 会いたくて
3 if もっと…
4 Best Friend Dear…
5 もっと… 君って
6 Distance 君に会いたくなるから
7 Dear…/MAYBE Distance
8 Esperanza 遠くてもfeat.WISE
9 君に会いたくなるから if
10 遠くてもfeat.WISE Esperanza



——大学を卒業して音楽一本の生活になりましたが、心境の変化はありますか?
西野:「それがあまり変わらないんですよ。近くに昔からの友だちがいるからかもしれないですね。でも、書く歌詞には少し変化があった気がします」
——たしかに、このアルバムには過去を振り返るような言葉がよく出てきますよね。
西野:「そうですね。大学を卒業してからアルバム制作に入ったので、今まで支えてくれた友達や家族に感謝するような言葉が多いかもしれないですね」
——いま、音楽だけに打ち込んでいると、学業を両立していたことに驚きませんか?

西野:「今思うと恐ろしい(笑)! でも、当時はそれが当たり前だったからやるしかなかったんです。それに比べて、いまは自分のために使う時間が増えました。以前は時間がないと思っていたから、めいっぱい仕事をして、めいっぱい遊んでやろうと思っていたから、プライベートな時間は必ず誰かと一緒にいて何かを一生懸命やっていたんです。今なら、そこまで焦って遊ぶこともないし、ボーっと考えごとをする時間もできたし…。たまには休まなくちゃって思えるようにもなったんです」

——自分の時間が増えて、"寂しい"と思うことはありますか?
西野:「今のところ大丈夫かな。大学を卒業しても友だちとは会っているし…。私にとって、友だちと過ごす時間が一番大事なのかもしれないですね」
——たしかに、その気持ちが反映されたのか、『君って』や『Together』など、友だちに対する曲が多いですね。
西野:「『君って』はそうですが、『Together』は実は久しぶりにライブにきてくれるお客さんを思って書いた曲なんですよ。私にとって、ライブにきてくれるお客さんは友だちの関係に似ていると思っているんです。だからこそ、この曲は一見、友だちに向けて書いた曲にも聴こえるのかもしれないですね」
——他の曲も、ライブで盛り上がりそうなアップテンポな曲が多いですね。
西野:「そうですね。というのも、今回はアルバム全体をライブを意識したものにしたんです」
——なにかきっかけがあったんですか?
西野:「西野カナを表現できるのはなだかんだ言っても"ライブ"なんやなって思ったんです。みんなの中で、西野カナってシングルのイメージが強いと思うんですよね。でも、シングル以外でもアルバムの曲は私のキャラがしっかりあって…。そこを表現できるのはやっぱりライブ。そこを感じてもらうためにも、ライブをもっと楽しみたいし、そのためにはみんなと一つになれる曲が欲しいと思って、ライブを意識した曲を多く収録することにしたんです」
——パーティーチューンなのに、しっかりと歌詞に意味が込められているのは西野さんらしいですよね。
西野:「そこは"こだわり"です。『Clap Clap!!』なんて、ウチのダメさ加減が出ているし(笑)。忘れ物とか、二度寝とか、友だちに"カナってこうだよね"と言われるフレーズがたくさん詰め込まれているんです(笑)」
——あはは(笑)。でも、ちゃんとポジティブな空気に持っていっているところも西野さん流ですよね。
西野:「基本的に嫌なことがあったらすごく落ち込むけど、開き直るのも速いんです。"まぁいいや"という性格がすごく出ているんじゃないかな(笑)」
——それにしても、前作アルバムからは、様々なジャンルに挑戦していましたよね。
西野:「そうですね。でも、いろいろ挑戦した上で、あらためてみんながいての自分だなってひしひしと感じていたんです。アーティストとして求められているからこそ曲をだすことに意味があるし、求められているから自分がここにいるし…。それに、そんなリクエストに答えて、みんなの役に立ちたいと思ったんです」
——特に『君って』でリスナーの幅がぐっと広がったと思うんです。実感はありますか?
西野:「ありますね。ドラマの主題歌にもなったからか、幅広い年齢層の方たちからコメントを頂いたんです。それから書いた曲を思うと、ちょっとだけ大人っぽくなったかなっておもうんです」
——どんな風に変わったと思いますか?
西野:「今までは自分の気持ちをばっとぶつけるだけだったのが、今では問いかけてみたり、相手に言葉をあげようという気持ちで歌っていたりと、少し"優しさ"がでた気がしますね」
——リード曲である『Alright』は、まさにその優しさが詰まった曲ですね

西野:「大学を卒業して、みんなそれぞれ別の道を進むことになったけど、みんな悩みながらもやりがいをみつけて頑張っているんですよね。そんな風に頑張っている友だちや、リスナーから頂いたメッセージをみていると、すごく刺激をもらえたんです。私自身も夢に対して悩んだり、どうしていいかわからないこともあるからこそ、共感できることがたくさんある。それなら、同じ気持ちを持つ私から出来ることは、歌で応援することじゃないかな、という思いでこの曲を書いたんです」

——なんだか、今までの西野さんが恋愛にもがいている人だとしたら、今は達観して"母性"さえ感じる人になりましたね
西野:「あはは(笑)。それはたぶん、"愛"の答えがなんとなく見つかったからかもしれないですね。私にとって愛の答えとは思いやりや優しさが一番近いと思うんです。家族や友だち、恋人にとって"側に居てくれてありがとう"と感謝できたら、もっともっと愛が溢れるし、いい関係で居られると思うんです」
——そう思えると、相手に対しての態度も変わってきますよね。
西野:「そうですね。相手のすべてを受け入れるというのを勉強せなあかんなって思っていて(苦笑)。自分が変われば相手も変わる。相手に対して、やさしい気持ちでいたら相手も優しく居られるんじゃないかなって思うんです。詰め寄るよりも、一歩下がったほうがいいなって思えるようになったんですよね」
——それってめちゃくちゃ難しくないですか?
西野:「めっちゃ難しい(笑)! 違う環境で育っている人が同じようには上手くいかんと思うし。それは友だちでも恋人でも一緒。気に入らないことを直してもらおうと思うんではなくて、"受け入れよう"と思うことが大事何やなって思うんです」
——そうなると、過去の曲にたいして"もうちょっと寛大に!"って思うことも(笑)?
西野:「ありますよ(笑)。『もっと・・・』なんて、結構最近の曲ですけど、今思うと"そんなにつめんでも!"って思いますもん(笑)。でも、当時はそれがリアルだったし、今でもそう思うことはあるんです。今、違うのはその気持ちを相手にぶつけることを抑えられるようになったと言うこと。これは成長ですね(笑)」
——そうやって考え方が成長していくから、同じ恋愛の曲でもまったく違う曲が生まれるのかもしれないですね。
西野:「そうですね。『Esperanza』も、情熱的な気持ちを表現したいなと思い、ラテンサウンドに挑戦したんです。これからもよくばりに表現していきたいですね」
——以前、ラブソングは自分の気持ちが消化してから歌詞にすると言っていたと思うんですが、今も変わらないですか?
西野:「恋愛に関してはそうですね。とはいえ、このアルバムのラブソングが全部私の恋愛経験を再現しているわけではないんですよ。それに、ラブソングを書くからには、いまは聴いてくれる人が"自分の曲や"って思ってもらえることを一番に書いているんです。なので、友だちの恋愛相談を聞きながら恋愛感を勉強したりもしているんですよ(笑)」
——恋愛相談をよく受けるんですか?
西野:「いや、無理やり引き出している感はありますね(笑)。友だちは今、まさに恋愛中だったりするので、話がとても新鮮なんですよ! 私には忘れかけた感覚で…(笑)」
——なんだか老婆のような発言ですね(笑)。
西野:「あはは(笑)。でも、新鮮な気持ちって、恋愛していないとわからないじゃないですか。なので周りから情報収集して思い出しながら歌詞を書いたりもしています」
——そんな意味では、タイトルの『Thank you, Love』は、まさにジャストなタイトルですね(笑)。
西野:「そうですね(笑)。今回も"LOVE"をつけたのは、自分の中で伝えたいことが"LOVE"ということにブレがないんですよ。でも、1枚目と2枚目では、その"LOVE"の捉え方が違ったんです。なので、今回も同じテーマでも違うものができる自信があったんですよね。私の"LOVE"に対する成長の過程を感じてもらえると思います」
——その愛の違いとはどんなものですか?

西野:「1枚目の『LOVE』は、愛を探している段階で、2枚目の『to LOVE』はなんとなく"こういうことかな"と思ったことを集めているもの。そして今作がやっと愛とは何かというのが見えたんです。それが言葉にすると優しさ。この1枚で1日の始まりから終わりまでを表現しているんです。あさ、おきて気持ちのいい光を浴びて、最後に眠るときに優しい気持ちで、隣に居る人に"ありがとう"を伝えられたらすごくいいなと思っていて。そんな風に込められた想いが聴いてくれる人に伝わったら嬉しいですね」

——ジャケットもとても可愛らしい仕上がりですね。
西野:「アルバム全体が暖かい雰囲気なので暖色で仕上げました」
——過去2作も、ジャケットのファッションがリリース後ばっちり流行りましたね。
西野:「ですごく不安なんです。外に出て歩いてダサいと思われるのがすごく怖いし、ショック。なのでジャケットや人前にでるときは、スタイリストの方とたっぷり打ち合わせして決めているんです」
——意外ですね! 
西野:「いやいや、みなさんと一緒ですよ。雑誌を見て研究して。ただ、人よりちょっと早く勉強しなくちゃいけないくらい(笑)。この前なんかちょっと肌寒い日にジャケットを羽織っていったらみんな寒さなんか関係なく薄着で街を闊歩しているんですよ! ジャケットを羽織っている自分が恥ずかしくなっちゃって、すぐにバッグにしまいました(笑)」
——あはは、本当に等身大なんですね。さて、歌詞検索サイト「歌ネット」の2010年アーティスト別総合ランキングで2位、楽曲別総合ランキングでは5曲がべスト10にランクインされました。歌詞が支持されたことについて、率直な感想はいかがですか?
西野:「え!? 率直な感想は、ただ"すごいな"って思いますね(笑)。もともと、自分なんかが書いた文章がみんなにどう感じてもらえるかわからないけど、そこで一番うれしいのが"自分のためにあるような曲"と言われること。共感してもらえるのが嬉しいんですよね」
——もともと歌詞や言葉を書くことが好きだったんですか?
西野:「全然! デビューのタイミングで自分で歌が歌えるなら自分の言葉を発信したいという気持ちから歌詞を書き始めたんです」
——本や小説なども好きだったんですか?
西野:「それも全然(笑)! 今もあまり読まないんですよ(苦笑)。読み出したら言葉が影響されて、小難しいこと歌詞に書きそうだから(笑)。というのは冗談で、歌詞ってその人にしかかけない言葉が大切だと思うんです。なのでこれからも自分から生まれる素直な言葉で書いていきたいですね」
——ありがとうございました! では最後に、これから始まるツアーについて教えてください。
西野:「今回は久しぶりのツアーになるので、本当に楽しみにしているんです。これまでよりも大きなステージになるので、舞台も衣装も特別なものを考え中です。最後には日本武道館でも予定されているので、ぜひみんなと一緒に楽しみたいですね!」
文・吉田可奈
3rd Album「Thank you, Love」
初回生産限定盤 SECL-980〜981 2011年6月22日発売
3rd Album「Thank you, Love」
通常盤 SECL-982 
2011年6月22日発売
<収録曲>

01. *Prologue*〜Sunrise〜
02. Esperanza
03. Clap Clap!!
04. Together
05. Distance
06. I'll be there
07. Flower
08. Every Boy Every Girl
09. Where are you?
10. if
11. Alright
12. 君って
13. Wishing
14. *Epilogue*〜Thank you, Love〜

<PV視聴リンク>
02. Esperanza
05. Distance
10. if
12. 君って
<試聴リンク>
06. I'll be there
11. Alright
西野カナ
平成元年、三重県出身。
2008年2月にメジャーデビュー以降、飾ることないリアルな恋愛観を投影した歌詞と、類まれな透き通った歌声が10代女性を中心に注目を集める。2009年、その人気に一気に火が付き、シングル「遠くても feat.WISE」「君に会いたくなるから」が歌詞サイト1位、着うたサイト1位と次々と上位を独占。トータルダウンロード数1,000万DLを超える数々のヒット曲を収録した2ndアルバム「to LOVE」は、初のオリコンチャート1位を獲得、90万枚を超えるヒットとなり、「第52回 輝く!日本レコード大賞」にて優秀アルバム賞を受賞。さらに「レコチョク2010年間ランキング・アーティストランキング部門」1位を獲得。
またそのキュートなルックスから「CUTiE」「Ray」「ViVi」など、数々のファッション誌の表紙を飾り、アーティストとしてだけではなく、女性のファッションアイコンとしても絶大な支持を集める。
2010年末には初のNHK紅白歌合戦出場も果たし、いまやケータイ世代にとどまらず、日本全国からもさらなる活躍が期待される女性アーティストである。

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