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ピアノ、ベース、ドラムからなる3ピース・ピアノロックバンド“WEAVER”が、1年5ヶ月ぶりとなる待望のニューアルバム「Handmade」を1月16日にリリース。
3人が原点に返り、“今”のWEAVERを最大限に感じることが出来る、まさにハンドメイドな作品。アルバム収録楽曲を全てミックスし、新たな楽曲に生まれ変わったDVDシングル「REPLAY〜Medley of Handmade〜」も好評リリース中!
歌ネットでは、そんな話題の作品を、リリース前にいち早くお届けします!
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——2012年は、CDをリリースせずにライブ中心の一年でしたね。
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河邉:2011年までは、サポートメンバーやサウンドプロデューサー、その他色んな方の力を借りてやってこれたんですけど、これからもう一歩先に進むためには、もっと3人の力を磨いていかないといけない、と思ったんです。だから、春に3人だけでライブハウスツアーを組むなど、自分たちの原点に返った一年だったと思います。 |
——力を磨くとは、技術面でのことですか?
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河邉:技術面もそうですけど、精神面でも強くならなきゃ、と思いました。たとえば、プロデューサーがいると曲作りやアレンジをするにしても、ノウハウを持っているし、アドバイスしてくれるからそれに頼ってしまう。それがいつの間にか甘えになっているんじゃないか、って思うようになったんです。だから、今回のアルバムはセルフプロデュースでやってみて、3人だからこそのアレンジや初期衝動を大切に制作していったんです。 |
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—— CDをリリースしないことに不安はなかったですか?
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河邉:何かを形にして出さないと不安だっていう気持ちは確かにあります。でもその分、今まで以上にメンバー同士で思いを共有できた感じがするんですよ。曲のアレンジに対しても、“自分はこっちの方がいい”ってちゃんと言葉に出来たし、特に音楽面でたくさん話すようになりました。 |
——3人でやってみて、改めて気付いたことも多かったと思います。
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河邉:セルフプロデュースということで、最終決定は自分たちなんですよ。だから、ある程度じゃ納得できなくて、“もっと良いものができるんじゃないか”って追求するあまり、最後の一歩がなかなか踏み出せなかったですね。“何かを形にすることは、こんなにも苦しいことなのか”って改めて思い知らされました。 |
——そんな中、新たな試みとして、ニューアルバムから全曲メドレーミックスしたDVD シングルを、先行でリリースされましたね。
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河邉:“アルバムのリード曲は?”って聞かれた時、全曲僕らが今聴かせたいものなので、答えに悩んだんです。それで“いい方法はないか”って考えていた時に、“全曲を一つにまとめたものを聴いてもらった方が早いんじゃない?”っていう案が出たんですよ。 |
——なるほど。 |
河邉:昔、「スターズ・オン」っていう、ビートルズをはじめ色んな曲をメドレーミックスした作品があったので、“それをやったら面白いんじゃないか”っていうことになって。でも、出来上がったばかりの作品を自分たちでリアレンジするのは、すごく大変じゃないですか。それでこれまでお世話になっていて一番信頼できる亀田誠治さんにお願いすることになったんです。 |
——メドレーミックスは、アルバムの曲順とは違う構成なんですよね。 |
河邉:BPMが違う曲を一つにする訳ですからね。出来た作品を聴いて、“あの曲がこうなるんだ!”“次にこの曲が来るのか!”ってとても新鮮で面白かったです。 |
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——今回のアルバムは、3人だけで作ったから「Handmade」ということですね。
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河邉:デビューアルバム「Tapestry」も自分たちの初期衝動がつまったアルバムで、今回のアルバムは、「Tapestry」という言葉に近いというか、ニュアンスも繋がっていて、それでいて3人で作ったっていう点でもとても似ているんです。「Handmade」という言葉は、前アルバム「ジュビレーション」が出来た時から、イメージしていた言葉でした。 |
——先行で配信された「偽善者の声」ですが、ここまで剥き出しの歌詞は今までなかったですよね。
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河邉:こういう歌を形にするのはやっぱり勇気がいることで、“主観的なもので終わってしまうんじゃないか”っていう心配はありました。僕らは、“音楽で誰かを幸せにできたら”って常に考えているんですけど、それが嘘なんじゃないか、って自分でも分からなくなった時があったんです。でも、震災などを経験してみて、たとえ綺麗ごとだと言われても、誰かのことを思う気持ちに嘘はない、という結論に至って、この歌詞が出来たんです。 |
——そもそもどういうきっかけでドラムの河邉さんが歌詞を書くようになったのですか?
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河邉:僕らは高校生の頃に出会ったんですけど、その当時、杉本がギターを弾きながら鼻歌で録音した曲に、メンバーそれぞれが歌詞を書いていたんです。それがしばらくしたら、僕だけしか書いてこなくなって(笑)。 |
——そうだったんですね(笑)。
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河邉:僕は、単純に書くことが好きだったんです。中学生の時に好きな人が出来たんですけど、実はその恋を経験するまでは、“どうして世界中にはこんなにもラブソングが多いのだろう?”って子供ながらに疑問に思っていたんですよ。“恋は万人を詩人にする”という言葉がありますけど、“好きだ”という溢れる思いを言葉にするんだけど、言葉だけじゃ足りない歯痒さを経験したからこそ、今でも歌詞を書き続けているんだと思いますね。 |
——「Shall we dance」は、軽快なピアノロックでWEAVERさんらしい曲ですね。
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河邉:この曲は、ライブで歌うことを想定して作りました。僕らはたくさん不安を抱えていて辛いことも多いけど、ライブで同じ時間を共有している時だけは楽しもうよ、っていうメッセージを込めています。 |
——「アーティスト」もそうですけど、メロディーのノリを崩さない言葉選びが見事ですね。 |
河邉:僕はメロディーには隠れている言葉があると思っていて、何回も聴いているうちに言葉が見つかる時があるんです。その言葉を見つけることが僕の役目だと思っているし、見つかった言葉は、歌ってみてもメロディーとの相性が良いんですよね。でも、僕が歌う訳じゃないし、ヴォーカルの杉本が歌ってみてどうかが一番なので、そこは杉本と話し合って、歌詞を書き変えたりもしています。 |
——ちなみにアルバムの中で、杉本さんと歌詞のやり取りを一番やったのはどの曲ですか? |
河邉:「The sun and clouds」です。この曲は、メロディーをもらった時に、“生命力”っていうキーワードも一緒にもらったんです。それで、歌詞を書いて渡したら“違う”って言われたので、言い返したんですけど、結局ダメで(笑)。それで、2011年に僕の祖母が亡くなったことを何か言葉に出来ないか、と思ってこの歌詞を書いたんです。今はいない祖母も僕の中では記憶として生きていて、それをたとえば自分の子供に伝えていくことで祖母が記憶の中で受け継がれていく。そういう意味での生命をイメージしました。 |
——アルバムは、どんなところに注目してもらいたいですか?
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河邉:「Shall we dance」はピアノが前面に出ていて、ポップで聴きやすい曲なので、多くの人に聴いてもらいたいです。ただ、今、僕たちが考えているのは、ポップで聴きやすい曲だけじゃなくて、たとえば、「風の船 〜Bug's ship〜」みたいにリズムにこだわって作った曲も聴いてほしいと思っているので、ぜひ楽器が好きな人に聴いてもらいたいですね。 |
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——曲作りはどのようにされているんですか?
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河邉:作曲は、杉本と奥野がそれぞれに作れるので、たとえば杉本が作ったら、それに僕が歌詞を書いて、みんなでアレンジをする流れです。杉本が二曲同時に持ってくることもあるし、それぞれが一曲ずつ持ってくることもあるんですけど、僕としては何曲か掛け持ったほうが書きやすいんですよね。歌詞を書いていると必ず行き詰る時が来るので、その時に別な曲の歌詞を書くことで気分転換にもなるし、また違った視点で歌詞が書けるので、同時進行は好きですね。 |
——河邉さんから見て、杉本さんと奥野さんが作る曲に特徴はありますか?
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河邉:やっぱり曲は性格が表れると思います。僕は、歌詞を書く時に“この曲には、どんな思いが込められているんだろう?”って想像しながら曲を聴くんです。杉本の曲は、最初に見えた曲の表情がしばらく進んでいくと別の表情に変わったりするから、深みがあるんですよ。逆に奥野の曲は、取っ付き易い曲が多くて、すぐに曲と仲良くなれますね。 |
——歌詞を書く時に大切にしていることは何ですか?
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河邉:当たり前のことですけど、歌詞は詩ではない、ということは意識しています。その上で、ヴォーカルの杉本をカッコ良く見せるために今のタイミングでこんな歌詞を書くんだ、というプロデューサー目線ではなくて、やっぱり思っていることを書くアーティストでありたいとは常に思っているので、そのバランスが難しいところですね。 |
——普段はどんなところで歌詞を書いているんですか? |
河邉:昔は家にこもって書いていたんですけど、最近はほとんど喫茶店かファミレスで書いています。家の方が集中できると思われがちなんですけど、外に出て環境を変えると気分転換になるし、ストレスを家に持って帰らなくても済むので(笑)。 |
——歌詞の面で影響を受けたアーティストや作家は?
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河邉:アーティストでは、BUMP OF CHICKENの藤原さんですね。それこそ中学生の時から聴いていたので、大好きで尊敬しています。作家だと太宰治さんとか、痛みのある作品から影響を受けていると思います。あとは、大学で哲学を専攻していたので、考え方や価値観は、哲学の影響が大きいですね。 |
——哲学では誰の影響を受けているのですか?
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河邉:大学のゼミでは、ウィトゲンシュタインについて学んでいました。哲学では“自由意志”という言葉があって、アルバムに収録されている「Free will」は、そういうものを参考に歌詞を書きました。 |
——河邉さんの歌詞には、会話形式の歌詞がよく出てきますね。
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河邉:WEAVERは、常々“ドラマチックな曲を作ろう”って言っているので、そう意識して作ったメロディーからは、情景が浮かんだり、イメージが溢れ出てくるんです。たとえば、アルバムに収録されている「blue bird」は、メロディーを聴いた時、青い鳥が出てきて、その鳥が少女と出会って…っていう物語が浮かんできたんです。だから、結果として会話形式の歌詞になることが多いんだと思います。 |
——3ピースでピアノバンドって珍しいと思いますが、強みはどこでしょうか?
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河邉:3人の音が明確に聴こえるところだと思います。バンドってどうしても4つ以上に楽器になると楽器がその分引っ込んでしまうので、3ピースだと全部の音が鮮明に聴こえて、それぞれの良さが出るんだと思います。加えて、僕らの場合はピアノというアイキャッチもあるので、そういうところは強みだと思います。でも、楽器の数を制限した結果、曲が良くならないことは絶対に良くないことなので、自分たちの意思の上で、音を足すことには抵抗はないです。 |
——最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。
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河邉:僕は、歌ネットさんをよく利用して、たくさんの刺激を受けています。今回は、胸を張って聴いてもらえるアルバムが出来たので、ぜひ聴いてみてください。 |
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