昨今、女性シンガーソングライターの活躍が目立つ中、ひと際大きな存在感を放つ彼女。シングル「夏の夜」「女の子は泣かない」「Oh JANE」など、あまりにも飾らない歌詞が同世代の女性を中心に共感されること間違いなし!
歌ネットでは、そんな話題の作品を、いち早くお届けします!
自由は自分の証 道なき道を進めば
ずるい気持ちに負けそうになるけど
昨日は自分の味方 後ろを振り返れば
ずるい気持ちも振り切れそうだよ
だから it's all right もっと歌詞を見る
デビュー曲「夏の夜」を聴いた時から、片平さんに注目していました。小さい頃はどんなお子さんだったのですか?
片平:本当に人見知りで内向的な性格でした。独りで絵を書いたり、段ボールで何か作ったり、物語を書いたり…。そういうのは昔から好きでしたね。
ギターを始めたのは、高校3年生の時だと伺いました。
片平:中学3年の頃から「音楽でプロを目指す」と決めていたので、私の中で学校は正直どうでもよくて、高校の3年間はバンド活動をしながら、歌の練習をしたり、オーディションを受けたりしていました。でも、全然引っかからなくて、まわりから「ライブしなよ」とか「ギター弾いたり、オリジナル曲作ってみたら?」って勧められるようになって、それで家にあったギターを手に取ったのが、高校3年の時でした。まわりは進路を決める時期だったので、ヘビーな時期に始めました(笑)。
そこから曲作りを始められたのですね。それ以前から詞の断片みたいなものは書いたりしていたのですか?
片平:変な詞は、よく書いていました。さっきも言いましたけど、本当に内向的な性格で自分の感情を表に出すのが苦手だったので、毒抜きみたいな感覚で、感情の逃げ場を作っていたんです。

福島出身ということで、2011年には震災を経験されていますが、音楽観や人生観の変化はありましたか?
片平:音楽を志す気持ちは変わらなかったんですけど、やっぱり直後はなかなか復帰できなかったし、その間にボランティアにも行ったんですけど、すごく無力を感じて…。でも、「音楽で上に行くことが今の自分がやるべきことだ」って実感できた時に、また始めることができたんです。
最近、東京に住まいを移されたそうですが、東京での生活はいかがですか?
片平:やっぱり福島とはまったく違いますね。東京は自分を高める場所であり、競争する場所。福島は自分をリセットできる場所なので、リフレッシュして曲を書きたい時は帰りたくなりますね。
そんな片平さんの待望の1stアルバムがついに完成しましたね。どんなアルバムに仕上がりましたか?
片平:ギターを持って音楽活動を始めた18歳から4年間、曲を作り溜めてきた中で、何を1stアルバムに収録しようかって思った時に、昔から歌ってる曲だったり、10代の想いを書いた曲を詰め込みたいって思ったので、初期衝動的な10代、中高生の若い子たちに刺さるようなアルバムになったと思います。
タイトルは、アルバムに収録されている曲でもある「amazing sky」ですね。
片平:「amazing sky」は、高校生の時に出来た曲で大事に歌ってきた曲なんです。アルバム13曲を通してそれぞれ表現の仕方は違うんですけど、伝えたい根底にあるのは愛だったり心だったり深いことを歌っているので、その象徴となる「amazing sky」をタイトルにしました。
1曲目でもある「夏の夜」は、10代の誰もがぶち当たる"自分"という存在への迷いを見事に表現していますね。"本当の声は喉を通らずに 音もなく叫びつづけた"とのフレーズは、胸に迫るものがあります。
片平:この曲は18歳の時に作った曲で、初めてオリジナル曲を人前で披露した曲でもあるんです。18歳という大人でも子供でもない時期に置かれた時、不安や孤独、葛藤を感じたし、それを人に上手く伝えることも理解されることもない。そんな時、ふと浮かんだそれらのフレーズが自分自身の心に刺さって、涙が出てきたんです。
初めて披露した時の反響はいかがでしたか?
片平:地元のライブハウスで親やクラスの友達を呼んで、弾き語りで披露しました。歌ったことで自分を知ってもらうことができたし、そのライブがきっかけで音楽の道も開けたんです。
2ndシングル「女の子は泣かない」は、歌ネットで歌詞がたくさん見られています。恋愛においては、タイトルとは逆でみんな泣きたいことだらけだと思いますが(笑)。
片平:(笑)。漠然と「女の子の気持ちを歌いたいな」って思っていたし、私も女性なのでそこは切り離せないですからね。洋楽のある詞の中に「女の子は泣かない」っていうフレーズがあって、すごくキャッチーで響いたので、このタイトルで一曲作ってみたんです。出来た曲はどんよりとした曲で、スタッフさんから「タイトルはすごく良いんだけど、曲がちょっと暗いからポップな曲調でも作ってみない?」って言われて。その後、友達と遊んだ時に友達の恋愛の体験談を聞いて、それがすごく残っていたので、その話を膨らませてできたのがこの曲なんです。

ちなみに片平さんは恋愛体質ですか?
片平:恋愛体質ではないですね。もうちょっと色々あってもいいと思うんですけど(笑)。音楽活動をやってると、「強くなりたい!」とか「負けたくない!」っていう気持ちが常にあるから、「心は男でいたい」とは思っていたんですけど、結局「自分女子だな」って思うことはもちろんあります(笑)。
さきほど性格は内向的とおっしゃっていましたが、アルバム全体を通して力強いメッセージが多いですよね。
片平:普段、閉じ込めている自分を音楽で解放していますからね。ライブハウスに出て、自分の気持ちを曲にして人に聴いてもらうことを繰り返すうちに、「明るくなったね」って言われるようになったし、自分でも「だいぶ変わったな」って思いますね。
アルバムリード曲でもある「HIGH FIVE」は、変わった視点で描かれていますね。
片平:どこか自分の中に反骨精神みたいなものがあるんですよ。「自由って何だろう?」って考えた時に、時間や一つの枠組みから解放されることが自由じゃなくて、その荒野のなかで自分を持ち続けて自分の意志で生きていくことが自由だと思って、そういう思いを上手く曲にできたと思います。
アルバムで気に入っているフレーズはありますか?
片平:「夏の夜」の「誰も知らない自分がいた 本当は涙が喉を伝って心まで痛みが染みた」はもう私には書けない歌詞だと思いますね。あと、「あなた」の「"傷つく"より"守りぬけない"ことを恐れたい」は、まわりからよく共感していただいています。忘れてしまう人の愚かさだったり、傷つくことを恐れることで逆に誰かを傷つけてしまうことだったり、そういうことに気付ける歳だったんでしょうね。
普段、曲はどのように作られているのですか?
片平:ギター弾きながらコードを追って、メロディー作って、その上に歌詞を乗せる作業を同時進行で行うことが多いですね。あとは、「女の子は泣かない」みたいに人の話を自分なりに解釈してイメージ広げて作ることもあります。
歌詞を書く時に大切にしていることは何ですか?
片平:その時の自分の感情に一番近い言葉を選ぶようにしています。感覚かな。「このフレーズめちゃめちゃ胸にくる」とか、「すごいキュンとくる」とか、そういう感覚を大事にしてます。
言葉をストックするために、どんなものから言葉を取り入れているのですか?
片平:私はボキャブラリーに関しては、全く自信ないし、本も読まない子だったので、本当に絞り出す感じなんですよね。今は本を読むようにしていますけど。メロディーはいくらでも出てくるので、歌詞次第なんですよ。
歌詞の面で影響を受けたアーティストは?
片平:日本の方だと、中島みゆきさんと松任谷由実さんはすごいなと思いますね。中島みゆきさんの「ファイト!」を聴いた時は、衝撃を受けました。私的なことを歌っているのに、どこか達観しているところやグサっと斬りつけることもできれば、逆にそれで救うこともできるような歌詞を書きますよね。松任谷由実さんは比喩がすごく好きで、人それぞれの受け取り方ができる。答えは松任谷由実さんが知っているんだと思うけど、深いことをポップに喩えて見せてるのがすごいと思います。

歌詞を書くことは、片平さんにとってどのようなものですか?
片平:自分自身と向き合う時間ですね。あとは、普段人には絶対見せないような自分を曲に書く神聖な時間です。
今年の夏は、フェスにたくさん出演予定ですね。ライブではどんなことを意識しているのですか?
片平:ライブは本当に曲に入り込んで、一人ひとりに伝わるように集中して歌おうと思っているし、曲によってはお客さんに歌わせることもあるので、対話するイメージです。一方的じゃなくて、ちゃんと通じ合っているかを確認しながらライブをしてます。
ライブはお好きですか?
片平:もともとは得意じゃなかったんですけど、最近は楽しいですね。人前で表現できることは幸せですし、言ってみれば相思相愛の方々を目の前にしているのが純粋に嬉しいです。
アーティストとしての目標や夢はありますか?
片平:歌詞については、もっと人の心をえぐるようなものや温かくなるものを書きたいですね。人を色んな気持ちにしたいなって思います。あとは、地元の東北を大事にしながら、もっと範囲を広げて活躍していきたいなと思います。
それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。
片平:私の歌詞のちょっとしたフレーズでもいいので、何か心に留まるものがあったらいいなと思います。