INTERVIEW
「ちょっと悪そうな人の方が信頼できるんです。」

カップリングの「カフェイン」は、歌詞もサウンドもすごく可愛らしいラブソングですねぇ。

片平:この曲は“恋愛の中毒性”から「カフェイン」というタイトルをつけて、最後に「はぁ〜」ってコーヒーを飲んだ人の一息を入れたりとか、結構遊びました(笑)。メロディーはもっと前からあって、これに歌詞をつけたいなぁとずっと思っていたんです。だから「結露」のカップリングを、全く違ったテイストのカラッとした陽気な楽曲にしたいなと思った時、このメロディーを思い出して、歌詞をバーッと書きました。

<誰になんていわれようが>やめない恋、<おなかに入ったタトゥー>という言葉からちょっと遊び人なお相手のイメージが浮かびました。片平さんのラブソングにはこうした“チョイ悪”系な男性がわりと登場しませんか(笑)?

photo_01です。

片平:たしかに(笑)。惹かれるというか、気づいたらそういう人たちが周りにいることが多いからですかねぇ。たぶん私はちょっと悪そうな人の方が信頼できるんだと思います。自分の弱いところとか、「悪いことをしてきました」みたいなところが、全て顔や身体に出ているじゃないですか(笑)。それを隠していないって、逆に人間らしいというか。そういう人が、実はハートがアツかったりすると、本当に優しい人間なんだなって思えてしまうんです。

では、もう1曲の「ながれぼしのうた」はどのような想いから生まれた歌なのでしょうか。

片平:東京に来て、仕事をして疲れて帰ってきて、誰かと話したいんだけど、それも出来なくて「孤独だなぁ…」って時が結構あって。地元の福島にいた時は、そういう気分になったらよく星を見ていたんですけど、東京には全くないということにすごく悲しくなったんですよね。そんなことを感じながら外を散歩していたら“星”をテーマに曲を書きたくなりました。あえて歌詞もひらがなにして、やさしい歌にしようと。最初と最後のフレーズが繋がっている終わり方も好きですね。

曲が<もうだめだ もえつきて おちてゆく おちてゆく>というフレーズで終わるので、片平さんがかなりお疲れになっているのかと少し心配にもなりました(笑)。

片平:そういえば収録曲の3曲ともちょっとくたびれている(笑)。でも「ながれぼしのうた」のこのフレーズってマイナスに取られると思うんですけど、儚さや影があるからこそ生命は輝くので、私にとってはすごく希望的なんです。だから歌っている自分自身が輝けるような、大好きな1曲になりました。

片平さんは歌詞を書くときにどんな感情を込めて書くことが一番多いですか?

片平:イライラしていたら何も見えなくなっちゃうんですけど、幸せなときよりは、悲しいときや寂しいとき、周りの人より心が深いところにあるときの方がいろんなものが見える気がします。あと今、その瞬間の感情を記録することってすごく大切だと思っていて。世の中がどんどん発展していく中で、気づいたら心まで機械みたいになってしまっていたりもするので、人間の感情を大切にしていきたいと、いつも意識していますね。

10代の頃に書いた曲を今の片平さんが歌うと、また感じることも違ってきますか?

片平:そうですね、久しぶりに「夏の夜」というデビュー曲を歌ったとき、今だったらこういう言葉はハメないなというか、普通は選ばないでしょと思うフレーズがかなりありました。<布団をはいで窓を開けた>とか…(笑)。当時は、今よりも言葉の引き出しがもっと少なかったので、より歌詞が素朴ですよね。でもそれが逆にいいなとも思います。だから今書いた歌詞も、4年後とかに歌ってみるとすごく感じ方は変わるかもしれないですね。

最近、印象的だった言葉があったら教えてください。

片平:あ〜、最近“ニーチェ”の言葉をずっと読んでいて…でもいろいろ頭に詰め込んだから今パッと思い出せないです(笑)。あと、昨日テレビで観た「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれていたホセ・ムヒカさんのスピーチが衝撃的でした。<貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ>とか、言葉ひとつひとつ本当にそうだなぁって思いました。

では、片平さんのこれからの夢はなんですか?

片平:夢は…自由になること(笑)。今はまだまだ自由になれてないことがたくさんありますね、自分の中で。それから、ちゃんと“アーティスト”になりたいです。小さい頃からずっと芸術家になりたいと思って生きてきたんですけど、今はまだまだ私がアーティストだなんておこがましい(笑)。だから自信を持って言えるくらいになりたいと思います。

最後に歌ネットを見ている方にメッセージをお願いします。

片平:私は綺麗なメロディーが大好きで歌を作っているんですけど、やっぱりそこに自分の納得できる言葉がないと曲にはならないので、歌詞は一番大事にしているものです。これからもいい言葉を紡いでいけるように頑張りますので、宜しくお願いします。


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