誤魔化さないで聞かせてよ 心の真ん中 受け止めたいから
優しい嘘はもう いらない ツキアカリ雲に隠れたら 抱きしめて
離さないで ああ すれ違い涙もあなたの温もりで
晴れるから Miss you もっと歌詞を見る
―― 前回の取材は2015年7月のシングル「真夏の太陽」リリースの際でしたね。あれから3年。紅白初出場やドラマ、舞台など本当にいろんなことを経験されてきたかと思いますが【大原櫻子的ベスト3】な出来事というと、何が浮かびますか?
うわぁ…難しい。でもやっぱり“舞台『Little Voice』の初主演”が一番大きかったですね。体力的にも声帯的にも本当にキツくて「もう歌えないかも」って思ったくらい。だけど、その経験によって今まで以上に責任感も生まれましたし、表現者として強くなれたと思います。あと“初の武道館ライブ”も濃厚でした。ダンスを公の場で披露したり、あの大人数の方々に一緒に楽しんでもらうことってこんなに大変なんだって痛感しました。そして3つ目は…“今”かな!今、すごく“自分色”を見せることができているんです。
―― ベスト3に“今”が入るのは素敵ですね。現在、22歳の櫻子さんですが、10代の頃と比べて他にもご自身で変化を感じるところはありますか?
うーん、私は20歳という年齢を大きな節目だと感じていて、20歳以降はずっと“大人っぽさ”を意識しながら音楽活動に臨んできたんです。でも…意外に変わらないな!って今は思います(笑)。だから今回のアルバムは“大人っぽさ”というより久々に“ありのままな私”を表現したくて、ちょっと明るめの一枚を作りました。ただ、さっきの“自分色”の話もそうですけど、10代の頃より「自分が今、何を表現したいか」ということをちゃんと言葉で伝えられるようにはなりましたね。あとはファッション面だと最近、可愛さのなかにどこか凛としている感じとか、格好良さがあるものを選ぶことが多いです。
―― ちなみにお酒はいかがですか?
あ、好きです(笑)。何でも飲めますし。そこも大きな変化ですね。大人の方とお酒を交えて話すと、普段はなかなか聞けないような本音も知ることができたりして、そういう時間がすごく楽しいです。
―― よく一緒に飲みに行くアーティストや役者の方というと、どなたでしょう。
門脇麦ちゃん!舞台で一年半前に共演させていただいて、そこから月に2回くらいは会っています。ちょうど3日前くらいにも飲みに行って、すごく仲良いですね。あとは、家入レオちゃんと藤原さくらちゃん。いきものがかりの吉岡聖恵さん。Superflyの志帆さん。…とかかなぁ。
―― 豪華なメンバーですねぇ…!どんなお話をされるんですか?
えー、普通の女の子の他愛ない話ですよ!「今日の仕事ではこんなことがあったよ~」とか。友だちや家族の話とか。あと恋バナだったら「あの人すごく素敵だと思ってたけど、う~ん、微妙だった」とか(笑)。
―― ビクター三人娘さんのお名前も出ましたが、プライベートでもとても仲良しなんですね。(※ビクター三人娘=家入レオ×大原櫻子×藤原さくら。ライブでの共演をきっかけに昨年、コラボ楽曲「恋のはじまり」をリリース)
本っ当に二人とも素敵なんですよ。飾らない性格というか。大好きですね。レオちゃんとさくらは常に本音で話し合える仲間だと思います。それぞれ性格のタイプがまったく違うからこそ、良いのかもしれないなぁ。
―― 個人的には、櫻子さんにパーッと明るく元気なイメージを抱いておりますが、レオさんとさくらさんはどのようなタイプだと感じますか?
それ、まさにこないだ3人で話したばかりなんですよ!今おっしゃっていただいたような、公の私のイメージ。それからレオちゃんのイメージ、さくらのイメージってあるじゃないですか。でも、そのパーッと明るく元気という公の大原櫻子のイメージが、実は本当のレオちゃんなんです。そして、ちょっとクールで客観的に物事を見ることができるような公のレオちゃんのイメージが、本当の藤原さくら。で、藤原さくらの公のイメージが本当の私。ちょうど3人でグルッと入れ替えられるんです(笑)。
―― なるほど…!“藤原さくらの公のイメージが本当の私”とのことですが、ご自身でとくに「実は私こういうところもあるんだよ」と思う面はありますか
みんなが思っているより…自由人。でも何故か「明るくて元気だけど“おしとやかそう”」って言われるんだよなぁ。全くおとなしくないのに…(笑)。あと、私はかなり人間臭いタイプだと思います。今回のアルバムでも4曲目の「energy」とか、歌詞がわりと尖っているんです。だけど、すごく等身大の自分で歌えました。素のままの思いの丈をぶつける感じで。こういう今まであまり見せてこなかった激しい面も、私のなかにはあるんでしょうね。
―― また、前回のインタビューの際はご自身で歌詞を書くことについて「いずれ自分の言葉で伝えなきゃいけない日は来る」とおっしゃっていましたね。今回のアルバムでも、櫻子さんが作詞に参加されている楽曲が何曲かありますが、その「自分で言葉を伝えなきゃいけない」タイミングが来たのはいつ頃でしたか?
自分のなかで「もっとこうしたい!」という気持ちが生まれたのは「大好き」という曲のときですね。そこから、やりたい方向性がはっきりして、ちょっとした言い回しの違いとかに興味を持ち始めました。それこそ、さっき言った二十歳くらいのタイミングで「もっと大人にならなきゃな」「自分で何かを切り開いていく力を身につけなきゃな」と思っていた時期だったんです。
―― 歌詞を書くようになって「難しいなぁ」と思うのはどんなところでしょうか。
まだ私一人の作詞ではなく、共作なので“歌詞を書いている”と言える段階ではないかもしれないんですけど、だからこそ難しいところはあります。歌詞を作っていくとき、まず私が「こういうフレーズはどうですか?」ってブワーッと書いて提出して。それを、作詞家の方がご自身の言い回しも加えながら、並べたり組み合わせたりしてくださるんです。だけどその作詞家さんの言葉に対して「私の世代だとそのワードは共感できないかもしれないです」ってお伝えする場合も多くて。言いたいことは同じなのに、ちょっと世代の違う言葉のチョイスによって「う~ん、なんかしっくりこない」という感覚があるというか…。
―― その「しっくりこない」言葉とは、具体的にどのようなフレーズだったのでしょうか。
たとえば「泣きたいくらい」の<見つめ合うたびに 指を伝う鼓動(リズム) 早すぎてため息でちゃうの>という部分。そこが最初は<見つめ合うたびに>ではなくて<肩寄せ合いながら>みたいなフレーズだったんです。でも、10代~20代前半くらいの子って、あんまり肩を寄せ合うってことはしないんじゃないかなぁって。まだ<肩にもたれて>とかだったらわかるんですけど、そこの表現をどうするのかは難しかったですね。結果<見つめ合うたびに>になったんですけど、そういう「しっくりこない」感覚も、自分にボキャブラリーがないと作詞家の方へちゃんと伝えられないので、これから頑張っていきたいですね。