彼氏はいません今夜だけ ちょっとだけでいいから あなたと間違えたい もっと歌詞を見る
―― コレサワさんは、メディア露出は“れ子ちゃん”で、ライブは素顔というスタイルで活動をされていますが、れ子ちゃんを被っているときとそうでないときではかなりメンタル面が違うものですか?
写真を撮られるのが苦手なので、れ子ちゃんを被っていると超気楽です!でも実は、他の面ではあまりメンタル的な差はないんですよね。ライブは、みんなテンション高くウキウキ来てくれているのがわかるから、とくに顔を見られている意識もなくて私も緊張しないんです。それにライブの日の私は、お気に入りの服を着て、化粧もばっちりして、いつもの3割増しくらい可愛く映っているはずだから大丈夫や!って信じています(笑)。終演後に「今日初めて私の顔を見た人もいたんや」と気づくほど自然な感覚で歌っていますね。
―― 歌詞面では、MVなどのビジュアルを“れ子ちゃん”にすることで、より思い切って書けるところってありますか?
あ、たしかにそれはあるかも。生身の私が一人の女性としてこれだけクセのある女の子の気持ちを歌っていたら「こいつどんな人間なんや!?」って思われそう(笑)。可愛いぬいぐるみをイメージして聴いてもらえると、説教じみないし、より自分を重ねやすいかもしれないし、それはすごく良いところですよね。その“れ子ちゃんマジック”に甘えているところはありますねぇ。歌詞の生々しさもうまく中和してくれているから、いつも「れ子ちゃんありがとう」って感謝しています。
―― これまでの活動の中で、曲作りのスランプ期はありましたか?
めちゃくちゃありましたよ!書けないというより、降りてこない。私は書こうと思って書くのではなくて、自然と曲ができるタイプなんです。でもメジャーデビューをして、初めて“締め切り”がある状況になって。そこで「あ~出てこないなぁ…」という壁にぶち当たりました。でも「出てこなくても、死ぬわけじゃないから!」って思って、あまり自分を追い詰めずに「できなかったらしゃーないわ!」くらいの感じでいる。そうやって気持ちが楽になった時にこそ、曲って降りてくることが多いですね。
―― 座右の銘は【死ぬこと以外かすり傷】ですもんね。
まさにそれです!曲作り以外でも、楽になりたいときとか、すごく嫌なことがあったときとか、明日は行きたくないなぁってときには「でも死ぬよりはマシやから、頑張ろう!」って思うようにしています。自分の心に逃げ場をひとつ作っておくことって大事なんですよね。
―― コレサワ楽曲は“女子の味方”である歌詞が圧倒的に多いのですが、女性のみならず男性からの支持もかなり強いように感じます。
そうなんですよねぇ。ライブに来てくれる男性もたくさんいて、たまに男性でも「共感しました」って言ってくださるんですよ。でもそれは結構…変人だなって思っていて(笑)。もしかしたら、曲の女の子のことを「可愛い」って思って聴いてくれている男性が多いのかもしれない。こんなワガママ娘を「可愛い」と思ってくれるとは、なんて良い人なんだ!って思います。貴重です。ただ、女の子の気持ちを歌っているものの、それは必ず相手がいるからこその気持ちなので、やっぱりどんどん男の子にも聴いてほしいですね。
―― コレサワさんとしては「女の子は本当はこう思っているんだよ!」ということを、男性に知らしめたいような気持ちもあるのでしょうか。
それはちょっと違って、世の中には「こういう女の子もいるんだよ!」ってことを知らしめたいという気持ちですかね。こう…【女子の代表】というよりかは、いつも【ある一人の女の子】の気持ちを歌うというモットーでやっているので、むしろ歌詞が全ての女の子に当てはまるのとは違うと思っています。
―― なるほど。たとえば曲について【全女子を代弁!】的なキャッチコピーがつくのは違う、ということですね。
そうそう。もちろん「女の子の気持ちを歌っているアーティストといえば“コレサワ”でしょ!」って思ってほしい気持ちはあるんですけど…。なるべく「女はこう!」みたいなことは歌いたくない。「この子はこう!」ってことを歌いたいんです。もっと言えば「今日のこの子はこう!」ってことを伝えたいなって思っています。
―― コレサワさんが描く主人公の<あたし>にはどんな特徴・傾向があると思いますか?
結構、どの曲も<あたし>はワガママですね(笑)。聴く人によっては「こいつヤバイ奴だ」って感じるかもしれません。でも実際、人ってみんなヤバイやん?って思うんです。それに“ワガママ”って言うと悪く聞こえますけど、何も言わない人の方がめんどうくさいじゃないですか!私はずっと「ワガママってすげーいいやん!めっちゃわかりやすいやん!」って思っていて。その良さをみんなにわかってほしいなぁ。だから、たとえヤバく思われても、何かひとつ強い芯が通っている女の子を書きたいんですよね。ワガママな<あたし>が素敵に伝わる歌を届けていきたい。
―― たしかに「共感します」という声がこれほど多いということは、みんな少なからずその“ヤバさ”を抱えているわけですもんね。
リリースした後に、みんなからの感想を読んで初めて「あ、この気持ちはあんまり体験したことないんだ」とか「この気持ちはみんな経験してるんだ」ってわかるので、自分でも面白いですね。
―― ちなみに「あ、この気持ちはあんまり体験したことないんだ」とは、どの曲で感じたのでしょうか。
まさに今回のリード曲になっている「彼氏はいません今夜だけ」とか。意外と、自分の同世代やもっと上の世代の女性は、共感してくれているんです。だけど10代の子からは、歌詞に対して「そんなことしちゃダメじゃん!」って意見がかなり多くて。でも、もっと大人になってからこういう場面もあるんじゃないかな。もしそこで迷ったときに、この歌を必要としてくれればいいなって思ったりします。