まず全体のランキングを見てみると、総合TOP100に2曲以上ランクインさせているアーティストは全部で20組見られた。デビュー2年以内のルーキーでは、4位のナオト・インティライミ、7位のKARA、9位のKG、14位の少女時代、18位のback number、20位のSEKAI NO OWARIと5組で、現時点でオリコンTOP10入り未経験のback numberも今後ブレイクする可能性が高いと言える。それにしても、このアーティストの大半がユニバーサルミュージック所属というのも興味深い。同社のトップインタビューで、「シングルヒットの量産が重要」ということがしばしば語られていて、その志の強さが表れているようだ。
そんな中での1位は、flumpoolで、この「君に届け」は1年以上にわたってのロングヒット。最新作「証」が今月4位など、これ以降の作品はいずれも上位入りするようになった。ここ3作のアルバムの売り上げは、微減傾向にあるが、アーティスト本人が好きという実質的なファンの数は、この1年でじわじわと増えているのかもしれない。
2位の浜崎あゆみ「Why... feat. JUNO」は、一番人気の「progress」同様、5曲入りアルバム『FIVE』収録曲。同作からは、他にも「ANother song feat. URATA NAOYA」と「beloved」も人気で、これら4曲の多面的な人気がCDセールスを大きく支えたようだ。ただし、もし、収録曲が1曲少なくてオリコンでシングル扱いになっていたならば福山雅治に次いで2位となり、連続1位記録が途絶えていた。こんな所からも、今回はアルバムであることが重要だったようだ。
6位のEXILE「Rising Sun」もカップリング曲と同時にランクインした作品で、元気なダンスポップスとATSUSHIソロの静かなバラードというコントラストも絶妙。なお、本作は通販ミュウモ限定でTシャツやバッジなどの豪華特典つきの9枚セットが発売されていることが、チャート上の売上枚数を大いに引き上げている点も興味深い。1人に複数枚同じ収録曲のCDを買わせるという施策はアイドル以外にも大きく広がっていることを象徴した出来事だ。つまり、アイドル以外でも、CDチャートだけでは楽曲人気が測れないということだ。
ともあれ、複数の楽曲を同時にヒットさせられるのは、アーティストにファンがついている証拠。10位のJulietも、デビュー当時はネット上で「すぐ消える」と批判されがちだったが、デビューから3作連続アルバムTOP20入りを果たしており、やはり3人ならではのギャル・ブランドが定着しているのだろう。(そういえば、彼女たちもユニバーサルミュージック。おそるべし!)今後も、複数の楽曲が、長期的に支持されるアーティストが増えることを切に願っている。そうすることで、現在低迷しているアルバム市場の着実な復活に繋がるのではないだろうか。