前月の歌詞検索ランキングを掘り下げて分析し、キラっと輝くキラー・チューン(名付けて“キラ☆歌”)を発掘しようというこのコーナー。毎回ヒネくれた切り口でキラ☆歌を探し求めて早くも連載第30回。このようなキリ番では過去を総括したランキングを掲載するのが普通だろうが、そこは僻目の“つのはず誠”、そんな王道を調べたりはしません(笑)。
  毎年、年末から年始にかけて多くの楽曲のセールスや歌詞検索数が急浮上しているが、その“年末年始”効果を見ようとすると、昨年の植村花菜「トイレの神様」、一昨年の坂本冬美「また君に恋してる」など、目立ったもののほぼすべてがNHK紅白歌合戦の出場曲であることから、この再浮上効果は得てして“紅白”効果と呼ばれることが多い。
 しかしながら、年末には、各テレビ局が『FNS歌謡祭』や『ミュージックステーションスーパーLIVE』をはじめ多くの特別番組を組んでいるし、ラジオや雑誌・Webだって年間特集がある。(歌ネットの年間ランキングはこちら) 。アルバム曲やニューカマーの上位入りなど興味深い結果に!) また、ボーナスやクリスマス商戦にあたるこの時期、CDショップも活況で、多くのアルバムが売り伸びる。今回は、そんな“紅白”効果に隠れ、実は年末に盛り上がっている楽曲をしっかり発掘しようというのが狙いだ。
第30回:“紅白”効果だけじゃない!年末急浮上ソングTOP10 (2012年1月:2011年12月のデータより分析)
テーマ
順位
総合
順位
前月
総合
アクセス
指数
楽曲名 アーティスト CD発売日
1位 10 14 100 PONPONPON きゃりーぱみゅぱみゅ 2011/8/17
2位 20 34 45.4 ジェットコースターラブ KARA 2011/4/6
3位 25 - 43.2 おべんとうばこのうた 童謡・唱歌 -
4位 34 130 36 人間失格 Metis 2011/3/2
5位 37 - 34.3 いつかのメリークリスマス B'z 1992/12/9
6位 56 - 27.5 575 Perfume 2010/8/11
7位 57 75 27.4 More Kiss Fairies 2011/9/21
8位 59 - 26.4 あわてんぼうのサンタクロース クリスマスソング -
9位 63 89 25.1 また明日... JUJU 2011/6/1
10位 66 - 24.3 赤鼻のトナカイ クリスマスソング -
次点 68 - 23.8 メリクリ BoA 2004/12/1
まず、最も目立ったのが、再浮上の5位、8位、10位、次点でクリスマス・ソングとなったことだ。B’zは、本人達が出演したペプシネックスCM効果で、またBoAは日本デビュー10周年として媒体露出したことで、例年以上に顕著に伸びた。また、それらと並んでスタンダードのクリスマス・ソングも再浮上していることにも注目したい。これらは、当然ながら12月26日には急落してしまうので、年始の順位からは分からないが、実は年末の特番効果にも勝るとも劣らぬほど注目されているということが分かる。
 2位のKARA、6位のPerfume、9位のJUJUの浮上は、その音楽特番効果に加え、KARAとPerfumeは11月下旬にリリースされたアルバム収録曲で注目されたということも大きいだろう。4位のMetisは、第44回日本有線大賞の「問い合わせ賞」を受賞したことが大きいが、これが大賞や新人賞、特別賞など、すべての賞の中で最もインパクトがあったということも、この歌詞検索の急上昇から分かる。

 さらに、上記以外の再浮上曲も見つかっている。1位のきゃりーぱみゅぱみゅは、『SMAP×SMAP』をはじめ、バラエティーや情報番組など幅広いメディア出演、さらにはL.A.でのLIVEが話題となり初の総合TOP10入り、7位のFairiesは2ndシングル「HERO」でのブレイクに合わせて1stシングルの本作も再浮上。日本レコード大賞新人賞を受賞した12月30日以前から再浮上していたこともポイントだ。2組とも年末の紅白歌合戦には出場していないものの、注目度がアップしていることから、今年さらなる飛躍が期待される。きゃりーぱみゅぱみゅは女性ソロ、Fairiesは本格的ダンス&ボーカル女性グループと、どちらもここ数年、日本人アーティストのブレイクがご無沙汰だったジャンルなので、個人的にもより応援したい。なお、3位の「おべんとうばこのうた」は12月中旬に、歌詞の一部について「おにぎりおにぎり」か「おにぎりを握り」かと、Twitter等で議論されたことが急浮上の要因。こういう現象も今後ますます増えるかもしれない。

 以上のように、紅白効果と切り離すことで、クリスマス効果、年末特番効果、今年のニューカマーなど多くの注目曲が見つかった。今後も、表面化している情報の上澄みをすくい取ることで、その内部で起こっている更なる事実を突き止めていければ嬉しい。その為にも、今年もご支援よろしくお願いいたします♪
 




PONPONPON
きゃりーぱみゅぱみゅ



ジェットコースターラブ
KARA


おべんとうばこのうた
童謡・唱歌
 

2006年にメジャー・デビューした女性レゲエシンガーの通算9作目となる2011年3月2日発売のシングルで、11月2日には子供たちのコーラスを入れて、再録音した「人間失格・生きる事は素晴らしいのです・」を、さらには12月14日には、このニュー・バージョンを収録した3rdフルアルバム『ONE SOUL』をリリースした。本作は、人として大切なものをぐいぐい問い詰めつつも、最後にはそれらを優しく受け止めるという激情ほとばしるバラード。
 本作の歌詞検索ランキングは、奇しくも東日本大震災にリンクする楽曲として口コミがじわじわと伝わり、発売から5か月後の2011年8月に168位にランクイン、以降9月120位、10月147位、11月130位、そして今回の日本有線大賞のテレビO.A.で34位と一気に幅広いリスナーに広がった。
 本作の歌詞のあまりの赤裸々な内容に、賛否両論が活発だが(詳しくはAmazonレビューを参照。このクラスのセールスでレビューが20件もつくのは、興味のある人が多い証拠)、母子家庭を支えた母への感謝を謳った「母讃歌」や、永遠の平和を願った「アオギリの木の下で・・・」など、以前から彼女はいたってストレートな歌を発表し続けてきた。そのことを鑑みれば、本作が彼女の心からの叫びであることは分かるし、万一歌詞が“単純”に思えたとしても、パワフルな歌声ゆえに、そこには行間からも深い意味を見いだせる人も多いはず。私自身もLIVEで聴いて、その実直なキャラクターゆえにいたく共感した。本作を気に入った人にも、気に入らなかった人にも、もう数曲、先入観無しで彼女の歌を聞いてほしい実力派アーティストだ。



※ここではデビュー2年内のアーティストを対象に、毎月注目のアーティストを"歌ネット・ルーキー"として紹介していく。ただし、「ルーキー」として選定するのは1アーティストにつき1度限りとする。
今月は5位の三代目J Soul Brothersに注目。彼らは、ツインボーカルと5人のパフォーマー(うちNAOTOとNAOKIはEXILEと兼業)からなる男性7人組で、2010年11月10日にシングル「Best Friend's Girl」でデビューした。
これまで、5枚のシングルを発表し、常にオリコン上位にランクインしていたが、歌詞検索では、この2ndアルバムの発売タイミングで初めて上位入り。それまでの1年間は、“EXILEの弟分”という前評判が先行してCDがヒットしてきたが、今回、確実に彼らならではの、ワイルドでありながら、(良い意味で)青臭い魅力が浸透してきたのだろう。楽曲別検索数では、ドラマ『ろくでなしBLUES』の主題歌となった激しいナンバーの「FIGHTERS」がトップだが、ノンタイアップのアルバム曲「スノードーム」が3位であることにも注目したい。本作は、素直な甘いバラードなので、10代のファンには成熟したEXILEよりも親しみを感じるのかもしれない。今後、この“成長途上ゆえの純粋さ”が続くことに期待したい。




順位 占有率 楽曲 初収録作品 発売日
1 16.0% FIGHTERS 4thシングル 2011.9.7
2 14.5% リフレイン 5thシングル 2011.11.9
3 10.1% スノードーム 2ndアルバム『TRIBAL SOUL』 2011.12.7
4 6.3% LOVE SONG 3rdシングル 2011.5.11
5 6.1% I Can Do It 2ndアルバム『TRIBAL SOUL』 2011.12.7



つのはず・まこと。1968年京都府出身。理学部修了→化学会社勤務という理系人生を経て、97年に何を思ったか(笑)音楽関係の広告代理店に転職。以降、様々な音楽作品のヒットに携わり、05年にT2U音楽研究所を設立。現在は、本業で音楽分析やCD企画をする傍ら、日経エンタテインメント!、共同通信などでも愛と情熱に満ちた連載を継続中。Twitterは@t2umusic
 演歌歌手によるポップス・カバー・アルバム『エンカのチカラ 最強Z レッド』と『エンカのチカラ 最強Z ホワイト』が発売中(地味にセールス5万枚突破(笑)。公式サイトはこちら )。2011年、私がよく聴いたオリジナル・アルバム5枚は、桑田佳祐、槇原敬之、渡辺美里、中島みゆき、そして面影ラッキーホール。うーん、シングルでは「マル・マル・モリ・モリ」もSHINeeの「LUCIFER」も、AZUMA HITOMI「ハリネズミ」も、かなり好きだったんだけど、アルバムとなると歳相応に落ち着いてしまうものだと反省。2012年は、こんな中年(笑)をも熱狂させる若手アーティストに出会いたいです!

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