まず、全体を見てみると総合TOP50内にドラマタイアップ曲は全部で12曲(うち3月まで放送されていた直近のドラマが7曲)挙がった。ちなみに前々年は7曲(うち直近が4曲)、前年が10曲(うち直近が5曲)と、2年連続で確実にドラマタイアップ曲が増えている。これは、 "ドラマを見る→ネット上で盛り上がる→歌詞や動画で復習→気に入ればダウンロード"という購入経路がより明確になったことを示しているのではないだろうか。具体的には、SNSの発達によりネット上で盛り上がるのも、動画や歌詞サイトのURLを貼り付けるのも容易になったことがプラスに作用しているように思える。
テーマ順位を見ると、1位のAI、2位の福山雅治は共にTBSのドラマ主題歌。前者は夏木マリの怪演など衝撃的なシーンが多いことが、後者は古き良き感動作として、共にネット上でも大いに盛り上がり、歌詞人気もダウンロードチャートも絶好調だった。11位のドラマ『純と愛』の主題歌も、ネット上では「主人公が朝からギャンギャンうるさい」とネガティブな口コミも活発だったが、♪信じていれば、きっと伝わる〜という主題歌は配信開始からずっと上位で推移しており、実はドラマの支持者も多かったことがうかがえる。
これら新作の他に、ドラマ主題歌は旧作も上位入りしやすいのが特長。5位のmiwaは半年前の楽曲だが、ドラマ終了後も彼女が初出演の番組で紹介される度、また先日の武道館公演などワイドショー番組でその模様を1分程度放送される度、この曲が代表曲としてかかるので、それゆえ再度検索され、ダウンロードも伸びるという状況がずっと続いている。ドラマ放送当時、"なんとなく聞いていた"という地固めがリスナーにも番組制作サイドにも出来ていると、再ヒットしやすいというのも昨今のドラマ主題歌の傾向と言える。(但し、12位のKiroroは、毎年卒業シーズンに再浮上しており、これは卒業ソング特集効果が大きい。それでも、これだけ有名になったのは半年間NHKでオンエアされていたことがあってこそのことだろう。)
このように、歌詞の検索ランキングを見ると、ドラマ主題歌が楽曲人気にかなり繋がっている様子が分かる。1曲が気に入っただけではCDシングルを買うという大きな理由にはならなくなった
(それよりもイベントに参加できるか、グッズがもらえるかの方が遥かに大きな購入要因となるようになった)昨今だが、歌詞サイトやダウンロードへの長期的な影響を見れば、そのタイアップ効果はかなり大きいということが読み取れる。本当のヒット曲は、1週間などでは決められないはずだ。