1位は、一部スポーツ紙で出場するとの見事なガセネタ(笑)があったSEKAI NO OWARI。しかし、このシングルCDは若手バンドでは最大級の15万枚近くが売れ、歌ネットでの歌詞検索もダントツで年間1位と、出場してもおかしくないレベルの人気。彼ら自身も自らの音楽のメジャー化に貪欲なので来年の出場は十分ありそうだ。
2位は、GReeeeN。CDでは00年代の「愛唄」「キセキ」「遥か」のビッグヒット以降目立たないが、実はダウンロードや動画・歌詞サイトの検索数では、依然として大人気で、歌詞検索の総合TOP30には「愛し君へ」のほか、「あいうえおんがく」「雪の音」、そして最新曲の「僕らの物語」がランクインしている。
また、3位にはソナーポケットがランクイン。彼らは、FUNKY MONKEY BABYSの後釜として紅白出場も期待されていたが、そこに至るにはファンモンが手がけたような中高年やアスリートへのエールソングなど、より幅広いテーマへの取り組みが重要だろう。とはいえ、今秋にアリーナツアーを成功させたり、11月発売の最新曲がすぐに総合TOP5入りするほど、ダウンロードや歌詞サイトの上位常連というのは、もう少し評価されても良いだろう。
全体のアーティストの傾向を見てみると、4位、5位、6位、11位、13位、14位となんとTOP15中6組も女性ソロアーティストが見られた。(ちなみに、女性グループの紅白非出場でもある乃木坂46やHKT48は、歌詞サイトでは総合TOP200に1曲たりとも入っていない。)勿論、紅白出場者も含めた総合ランクでは、AAAや嵐、三代目J Soul Brothersなど女性ソロ以外のグループの人気も目立つのだが、こうして“紅白非出場”の人気曲だけより分けてみると、なんと女性ソロばかりが際立ってくるのが興味深い。つまり、女性ソロアーティストは楽曲人気の割に、現在の紅白歌合戦には選ばれにくいという傾向があるのではないだろうか。無論、歌詞サイトでは新山詩織や住岡梨奈など女性ソロの新人が世間一般の認知度よりも注目されやすいというのもあるだろし、また紅白側にも女性ソロは、石川さゆりや坂本冬美などベテラン演歌勢中心で十分(その分、若手はアイドルグループで頑張って)という思惑があるのかもしれない。
しかし、CDで連続TOP10入りとなっている家入レオ(加えて彼女は大手事務所所属)や、ダウンロードでほぼ毎回ビッグヒットとなっていて、大人のファンも多いJUJUあたりが出場してもおかしくないはずだ。そう考えると、やはり女性ソロは人気が過小評価されている気がする。せめて、天野春子役で歌った小泉今日子などは、『あまちゃん』ゲスト枠で特別出場させてほしいものだ。
以上のように、非出場組を見てみると、バンドや女性ソロなど、アーティスト自体よりも楽曲人気が先行しがちなアーティストが多数挙がった。彼らのヒットは、もはや複数買いや大量買いが当たり前となっているCDシングルだけで見ることは難しく、それが紅白歌合戦の選考にも不利になっているような気がしてきた。(もっとも、GReeeeNの場合は、出場の仕方自体が課題となりそうだが(笑)。)勿論、紅白歌合戦はその年を代表する一大イベントだし大人数の方が華やかな感じがして良いに決まっているが、“ダンス合戦”ではなく“歌合戦”だと謳うのであれば、演歌枠以外でも、音楽により焦点を当てた選出が適切ではないだろうか。それでも、毎回深遠な世界を繰り広げるLinked Horizonの初出場は、NHKスタッフが物凄く頑張ったのではないかと心の中で拍手している。