Q)今まで耳にしてきた音楽の中で、とくに印象に残っている歌詞はありますか?
あの〜、ものすごい昔の歌ですけど、「いのち短し 恋せよ乙女…」って歌詞は好きですね(松井須磨子「ゴンドラの唄」)。ほんとに短い言葉の中で、なんていろんなことを凝縮して言ってるんだろうって思いましたね。あまりにも立派すぎて、私のスタイルとは違うんですけど、スゴイな〜って思いますね。
Q)小さいころに聴いた音楽で、心に残っている曲を教えてください…
あっ、童謡とかで好きなのは、「かくれんぼ」の歌ですね(「かわいいかくれんぼ」)、「ひよこがね…」って歌。「きいろい あんよが みえてるよ〜」で終わるのかと思えば、「だんだん だあれが めっかった〜」って出てくるところが面白いですよね(笑)。「レレ レードド レレレー」ですよ(笑)。もう大好きですね、そういう予定調和じゃない感じが。作曲は中田喜直さんですよね? あれは、やられますよね。それに、最初の「ひよこがね…」って、「ね…」って付けてるところがすごいですよね(笑)。そんなこと言われたら「なんですかー!?」って思うじゃないですか(笑)。いつか、「ひよこがね…」みたいな詞を書きたいですね。
Q「いわゆる流行歌とか歌謡曲、ポップスなどで、印象に残っている曲を教えていただけますか?
やっぱり、歌謡曲とかは、自然と聴こえてきていましたね。昭和の歌謡曲って、めちゃめちゃインパクトの強い曲が多いじゃないですか。「恋の奴隷」(奥村チヨ)とか、「どうぞ ぶってね」なんて言うんですよ(笑)。子供の頃、度肝ぬかれつつ聴いてました。あと、山本リンダさんの「狙いうち」とか、「みがきあげた このからだ〜」とか「世界一の男だけ この手にふれてもかまわない〜」とか言うんですよ、うわぁ〜みたいな(笑)。それと、死んでしまうの多いですよね。「このまま死んでしまいたい〜」(「アカシアの雨がやむとき」)ってのもあったけど、ちあきなおみさんの「喝采」とかもそうですよね。「そんな直球、絶対投げられへんわ〜」って思いますね。とにかく豪速球だらけでしたよね、昔って…。
Q)そういう歌の中で、とくに影響を受けたと感じているものはありますか?
関西人ですから、面白いのが好きで「てなもんや三度笠」のテーマソングなんかも好きでしたね。「てなもんや てなもんや〜」って言葉遊びみたいなのが好きなんですよね。財津一郎さんが歌ってた歌も好きだったし、途中に入るセリフ「非ッ常にキビシ〜ッ」も大好きでしたね(笑)。それで、私の処女作で「ひとりっこカバッこ」って曲があるんですけど、「シャバダバダ〜 カバダバダ〜カ〜バダ」ってとこが気に入っている曲なんです。そういう単純な言葉遊びみたいなことは好きですね。
Q)言葉の音としての響きに敏感なんですね…
欧米の音楽ってライム(韻)が大事でしょ。私も、ちょっとライムを意識したりはしますね。たとえば、今回のアルバムの「A New Song」だと、「泣けるような 笑えるような 踊れるような…」って「ような」語りにしてみたり、たたみかけるようなライムの使い方は自然にやっていますから、好きなのかもしれませんね。あと、ライムではないですけど、1番と2番で揃えてみたりしますね。たとえば、「スープ」だと、1番で「幸せの音は まな板を叩く音なのかな」って言ったら、2番では「幸せの量は 量れないものと教えてくれた」って言ったりと、そういうようなことは意識していますね。
Q)この人にはかなわないっていうアーティストはいますか?
う〜ん、大好きだなって思う人はたくさんいますけど、「かなう、かなわない」の目線で見たことはないですね。ビートルズも好きだし、スティービー・ワンダーもとかすごいなあって思うし、キャロル・キングやジェームス・テイラーとかも好きですし…好きな人はいっぱいいますね。
Q)そういう好きなアーティストの影響を感じることはありますか?
影響を受けたって直接感じることはないですけど、ただ、スティービー・ワンダーの「Ribbon In The Sky」とか、「空にリボンをかける…」なんて、ホントにすごい、素敵な表現だなって思ってて、それで、今回のアルバムの「雨上がりのFreedom」は、ちょっとそういうイメージで書いたりしていますね。あと、「ヒメジョオン」なんかは、キャロル・キングのハンサムなピアノの感じを取り入れたかったのね。だから、大好きなものを消化した形で、未消化でない形で、オマージュ的に大好きな方たちのものを少し使ったりはしますね。 |