言葉の達人

SAKUSHIKA

 達人たちは1曲の詞を書くために、言葉を巧みに操り、その時代を象徴する言葉を探した。その言葉は多くの老若男女の心を掴んで離さず、その歌は大ヒットした。
「孤独がつらく感じるとき」「愛することがよくわからなくなったとき」いつも、勇気と力を与えてくれた…、作詞家は言葉の魔術師である。そんなプロの「作詞家」の皆さんをゲストにお招きしてご紹介していくこのコーナー。
今回は、CHEMISTRYや上戸彩など最新J-POPの作詞を数多く手掛けながら、音楽ユニット「花乃ルサカ」の一員としても活動されている「田中花乃」さんをゲストにお迎え致しました。

田中花乃

代表作

君のキス」「恋する雪 愛する空」「ALIVE」/CHEMISTRY
夏の夢」/リュ・シウォン
i」「心の花束」/木根尚登
Magenta」「We are the sound」/宇都宮隆
Blue」/K
シンジラレナイ=シンジタイ」/上戸彩
INORI」/HITOE'S 57 MOVE
Jungle Life」「嵐のち晴れ」「眠れる森」/椎名へきる
その他多数。

作詞論

歌詞は『歌う人』のための詞(ことば)。そして『その歌を聞く人』のための詞(ことば)。だと思っています。歌う人は、もしかして演者として歌を表現するかもしれないし、聞く人は自分の事に当てはめて浸透させるかもしれない。
だから、作詞に対して大切にしている事は、ことばと同じくらい如何に『行間』を描けるか。

田中さんに伺いました。
Q:
作詞家になったきっかけは?
A:
小泉今日子さんの一般公募のコンペに採用して頂いた後、仕事で作詞をするようになってから作詞家という意識が自分に芽生えました。
Q:
プロ、初作品について
A:
伊秩弘将さんのユニット「HIM」のアルバム「HIMIX A to Z」より、「MIZU NO RAKUEN」「INORI」
後に、知念里奈さん、HITOE'S57MOVEさんで、再度リリースされました。
Q:
作品を提供したいアーティスト
A:
歌詞をリスナーに届けてくれるボーカリスト。
Q:
あまり売れなかったが、私の好きなこの歌
A:
隠れ名曲としてHIBARIさんの「キセキ」
楠野紋子さんの「真珠」
きっと、一生好きです。
Q:
なぜ「詩を書くことを選んだか」
A:
私の場合”現場”でちょっとずつ経験を重ねた結果、『作詞家』という人生になりました。
何かを書く事は好きだったのですが、作詞に固執してたわけではありませんでした。
90年後半、業界が10代ブームでもあったので、10代だった自分はちょうど波に乗っかれた。と思っていて、幸せな事にその時期に力のある業界の方に出会えました。
そして、プロの歌い手さんに歌って頂けて、ライブなどでお客さんが聞いている姿を見た時、心に響くものがあって、「歌詞を書く事を仕事として選びたい。もっと、もっと。」って思えているんだと思います。
Q:
プロの作詞家になりたい人へのアドバイスを
A:
もともと、何が正解か。が分かりにくい仕事だと思います。
ただ、言葉を探し求める事と、彷徨う事は違うと思います。
具体的には、歌声とメロを殺さないこと。俯瞰して立体的に歌詞を構成出来ること。
直しが来たら『心を折らずに、考え方を曲げてみる』っていう事が出来ること。
自分がどんな状態&心境の時も、自己満とは違う領域で、常に80%以上で書ける方法を編み出すこと。
沢山数を書いてきていても毎回「書けるんだろうか」と不安との戦いなので、
その気持ちに打ち勝ち続けること。出会いを大事にすること。
キリがないですが、勿論私も日々精進です。
歌詞を見る 君のキス CHEMISTRY

星の数程ラブソングはあれど、そして、これを書いちゃったら元も子もないかもしれないけれど、“愛”って、相思相愛でも、片思いでも、未練でも、もっと言ったら家族や友人へ対してでも、結局、下記の「好きなワンフレーズ」に記したことなんだ。と思います。
川畑さんと堂珍さんの声に乗って、言葉のチカラが言葉以上になった。と幸せに思ってます。

■私の好きなあのフレーズ
「どうしても 愛してる」

PROFILE

田中花乃Hanano Tanaka

8月1日生まれ O型 東京都出身
10代で作詞家デビュー。提供楽曲は100曲を超える。
U-WAVEメンバー。ユニット「花乃ルサカ」ピアノ担当。
イロアス・コーポレーション所属

●「花乃ルサカ」公式サイト

[CDリリース情報]

U_WAVE
「Beat call the moment」

LACM-4663 ¥1,800 (tax in)
2009.10.21 Release

CHEMISTRY
「the CHEMISTRY joint album」

DFCL-1542 ¥3,059 (tax in)
2009.03.11 Release

花乃ルサカ
「Alice」

hr-1207 ¥2,300 (tax in)
2008.12.07 Release

Kylee (カイリー)
「キミがいるから」

DFCL-1623 ¥1,223 (tax in)
(東映「誰かが私にキスをした」主題歌)
2010.03.24 Release

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