新藤晴一
代表作
歌ネットで検索してヒットするすべての曲を代表作といいたいです。
作詞論
自分の思想や感情はできるだけ排除する
とにかくアレンジ、メロディが呼ぶ言葉を探すこと、そのために、自分の思想や感情はできるだけ排除するようにしています。
[ 新藤晴一さんに伺いました ]
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Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。
デビュー曲として検討されたのが、プロデューサー詞曲の曲(当時、そういう形が流行っていた)で、音楽スキルに圧倒されたけど、歌詞は自分の方が書けるはずだ、という負けん気から、周りのスタッフを納得させられるように「プロとしての詞」というのをとても意識しました。「アポロ」など。
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Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
イントロがある曲なら、そこで見える景色を大切にしたい。詞のテーマはだいたいそこに隠れていると思います。
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Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?
デモを聴きながら、紙に字を書いていく、手触りで、メロにあっているかどうかを確かめます。
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Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。
自分の作業用のスタジオです。考えている時間、うなったり、ソファに飛び込んだり、タバコ吸ったり。カフェや人前では書けないです。
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Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?
アゲハ蝶の製作時の話なのですが、歌詞を書いて歌入れのスタジオに行ったら、頭サビを書き忘れていて、その場で書いたことがありました。
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Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?
メロに乗った時に、映える言葉。文学ではないので、言葉単体で成り立っていてもしょうがないと思います。
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Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。
「太陽は罪な奴」サザンオールスターズ
“高気圧はVenus達の交差点”、文章の意味とかではなく、メロと共に頭にスッと入ってくる。これが『歌詞』だと思います。 -
Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
または、使わないように意識している言葉はありますか?「風」、「月」、「空」、「抱きしめる」、使いやすい言葉なので容易に出さないように心がけてますが、やっぱり使ってしまいます。技術不足です。
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Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?
メロ、リズムが重要視される昨今の状況の中で、言葉で何ができるか、考え続けることは必要だと思います。
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Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。
聴き手と同じ空気を共有すること。「書は一応、バックに入れたままで、街に出よ」
歌 手
ポルノグラフィティ
タイトル
アゲハ蝶
1Aから「俺の言葉の力を見せつけてやろう」と力が入っていた。若かった。で、サビまで書いた時に“ポップソングとして、多少わかりやすい所でも入れとこうか”的に書いた部分が結果、多くの人に評価してもらえたところになりました。自分の思い入れと、聞き手に届くかどうかは別のところにあるんだと学習しました。
1974年広島県因島出身。ポルノグラフィティのギタリスト。1999年に『アポロ』でメジャーデビュー。「ミュージック・アワー」「サウダージ」「アゲハ蝶」「愛が呼ぶほうへ」「ハネウマライダー」「オー!リバル」など、数々のヒット曲の作詞も手がける。今年の7月25日には46枚目のシングル「ブレス」をリリースした。12月からは全国10箇所15公演のアリーナツアーを開催。ポルノグラフィティとしての活動のほか、湘南乃風のSHOCK EYE、音楽プロデューサーの篤志と共に「THE 野党」としても活動、また他のミュージシャンへの詞の提供や執筆活動も積極的に行う。著書にエッセイ集『自宅にて』(ソニーマガジンズ)、小説『時の尾』(幻冬舎)、小説『ルールズ』(マガジンハウス)がある。
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