作詞家をはじめ、音楽プロデューサー、ミュージシャン、詩人、などなど【作詞】を行う“言葉の達人”たちが独自の作詞論・作詞術を語るこのコーナー。歌詞愛好家のあなたも、プロの作詞家を目指すあなたも、是非ご堪能あれ! 今回は、「奏(かなで)」や「全力少年」などの名曲を生み出してきた
スキマスイッチ
の「常田真太郎」さんをゲストにお迎え…!



常田真太郎
(スキマスイッチ)
代表作
作詞論
自分の書く歌詞は一分の一、いわゆる等身大のもの。
高校の頃から「詩」みたいなものを書いており、今考えていることを言葉に置き換えて吐き出すことが日記を書くことよりも身近でした。そういう意味では自分の書く歌詞は一分の一、いわゆる等身大のものが基本的にはベースになっていると思います。

ただ、その上で歌詞となると歌が存在するものなので、歌い手から発した言葉の違和感をなるべく無くしたものがいい歌詞なんだろうなと漠然と感じてはいます。そして、その言葉が意訳されればされるほど、歌詞としての力が増していくものだと思っています。
[ 常田真太郎さんに伺いました ]
  • Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。

    高校二年の頃に打ち込みがやりたくてシンセサイザーを購入し、家に届いた日からいきなり歌詞を書いてメロディを付けたりして、その時から歌詞の断片を書き溜めはじめました。三年の時に文化祭のテーマソングを作ることになったのですが、断片ではなく初めてフルサイズで書いたその歌詞を国語の先生が誉めてくださり、そこで歌詞というものを書いていきたい、と思ったことが今につながっています。

  • Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?

    日常会話や人間ウォッチングが多いです。あとはアスリートや起業家の方々のインタビューもヒントが多いと思います。漫画やアニメも刺激になりますが、中でも小学校や中学校の時に読んだ漫画は物事を考える上での礎になっています。最近の作品では『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』は改めて物書きというものの存在を考えるようになりました。

  • Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?

    ほとんどが頭から順に書いていきます。テーマを決め、メロディの音から連想する言葉(日本語のイントネーションを考えながら)を当てはめていきます。元々のデモのメロディーにあらかじめ何かしらの言葉が乗っているものに関してはそこをヒントにテーマ決めをすることも多いです。

    スキマスイッチ独特のものとしては、相方のタクヤが適当に歌ったデタラメ日本語(語呂はとてもいいが、脈絡がぐちゃぐちゃなフレーズの羅列)から歌詞のヒントを集めるやり方があり、これは手癖が出にくいので気に入っています。

  • Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。

    プライベートスタジオのパソコンの前が一番多いです。以前、旅行の際の夕食中に歌詞のオファー先から電話がかかってきて、書き終えていた詞の書き直しが急遽決まり、更に「2時間くらい後に歌い直すから」との事で、その場で外に出て駐車場みたいなところでスマホでワンコーラス書いたこともあり、その気になればいつでもどこでも書けるもんなんだと思いました。ちなみに手書きはあまり好きではなく、スマホかパソコンみたいに気軽に文字が打てて逐一直せるものがあれば作業が早いです。

  • Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?

    どれがという訳ではないですが、恋愛ものは自身の体験談ということではないのに、描くシチュエーションはなぜかほとんどが地元・名古屋の情景になってしまっています。

    ナオト・インティライミに提供した「I'm chi-zu-ers」は、ナオトのパーソナリティと彼の旅の話からずっとやってみたかったネタで、たたき台を書いた時にナオトが爆笑してくれてすぐ採用になり、ものすごく嬉しかったことを覚えています。

  • Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?

    受け取りやすく、かつ深いもの。10人が10人とも受け止められ、その感想がそれぞれ違うもの。
    誰が歌っても伝わるもの。かつ、歌い手のために書いたものならその歌い手がうたうと一番破壊力が出るもの。

  • Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。

    玉城千春さん「それだけ
    作詞はいしわたり(淳治)君ですが、基本的に歌詞としてはライブ時に伝わりにくいことから御法度とされている指示代名詞をここまで並べて、かつ「同じフレーズなのに違う意味」ということをやってのけているものは他にないと思います。いしわたり君は同い年ですし、憧れの存在でもあり、恐れ多くも勝手にライバルと位置付けています笑。

  • Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
         または、使わないように意識している言葉はありますか?

    スキマスイッチでは、あまりに一般的な言葉過ぎて表現が限定されすぎる気がすることから「がんばれ」「好き」「愛してる」は気にせずに使うことはないと考えてきています。が、ここまでこだわってきたので、逆にいきなり多用するかもしれません。槇原敬之さんの影響で一人称は僕、二人称は君、がしっくり来ています。あと、名前に関することを書きがちと友人に言われたことがあります。

  • Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?

    記憶力、だと思います。自分がその時何を見、何を思い、何を感じ、何につながったか、を細かく覚えていれば言葉にしやすくなると常々思っています。

  • Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。

    9の質問にも書いてありますが、自分のエッセイを書くようにその日その時の細かなシチュエーションを覚えておくことは大事だと思います。あとはメロディの邪魔をしないことですね。なんかしっくり来てないなと思ったら全書き換えもありだと思います。じっくり煮詰めて書いた歌詞ならば、一曲書き上げればその分、歌詞力があがっているので、次はもっといい歌詞が書けるはず、と僕は信じています。

歌 手
常田真太郎(スキマスイッチ)
× SHISHAMO
タイトル
天才の種
友人でもある元サッカー日本代表の中村憲剛氏の引退セレモニーのために書いた「天才の種」は、憲剛に電話で二時間ほどリサーチをして、言葉を拾い集めながらテーマと骨格を決めていきました。決め手となったワードは「景色」と「サポーター」で、彼がたびたび口にしてきたそのワードから“青々とした葉を広げた努力の木が見える景色”というテーマが生まれました。

常田真太郎(トキタシンタロウ) 愛知県名古屋市緑区出身
スキマスイッチ:大橋卓弥、常田真太郎のソングライター二人からなるユニット
'99年結成。2003年「view」でデビュー。大橋の温かく包み込むような独特の歌声、 それを支える常田の卓越したサウンドクリエイトで「奏(かなで)」「全力少年」 など、ヒット曲を次々と生み出す。

INFORMATION
11/24(水) 2枚同時にアルバムリリース! ALBUM「Hot Milk」/「Bitter Coffee」

[Hot Milk]

[Bitter Coffee]
『Hot Milk』
[CD+Blu-ray付(初回限定盤)]
UMCA-19065 ¥3,850 (税込)
[通常盤(CD)]
UMCA-10087 ¥2,750 (税込)


『Bitter Coffee』
[CD+Blu-ray付(初回限定盤)]
UMCA-19066 ¥3,850 (税込)
[通常盤(CD)]
UMCA-10088 ¥2,750 (税込)
[Live] スキマスイッチ “Soundtrack”
日時:2021年12月22日(水) OPEN/START:17:30/18:30
会場:日本武道館 チケット料金:全席指定¥11,000 (税込) 詳しくはコチラ
アルバム『Hot milk』『Bitter Coffee』を引っさげた全国ツアーの開催が決定 !!
SUKIMASWITCH TOUR 2022 “café au lait”
チケット代:全席指定¥9,000 (税込) 詳しくはコチラ