「デリヘル呼んだら君が来た」/ナナホシ管弦楽団 feat.初音ミク、IA
「抜錨 (feat. 巡音ルカ)」/ナナホシ管弦楽団
「シル・ヴ・プレジデント」(提供)/P丸様。
「美少女無罪♡パイレーツ」(提供)/宝鐘マリン
「ソワレ」(提供)/星街すいせい
以来そのようにしています。
ただ、あくまで主役はメロなので、旋律に対して不自然な言葉は無理に使わないようにしています。
上がっていく音・下がっていく音それぞれに対して、合う音韻と合わない音韻があると思っているので。
-
Q1. 歌詞を書くことになった、最初のきっかけを教えてください。
小説を入り口に歌詞へと踏み込んだ気がします。
僕が小学校六年生の頃、世はまさにFLASHやBBS全盛期でした。そこで見つけたあるアスキーアートのアニメーションがとても好きで、その二次創作の小説をBBSに投稿したところ、住人から総叩きにされてボロ泣きしたのが今でも記憶に残っています。挫折だらけの人生でした。
悔しすぎて言葉の世界にどんどんのめり込んで、気づいたら歌詞にも手を出していました。元々ピアノで曲を作ったりはしていたのですが、当時はインスト楽曲ばかり好んで聞いていたので、歌詞をつけるという行為とはその時に初めて向き合った気がします。授業もろくに聞かずにノートに歌詞やポエムを書き殴っていました。 -
Q2. 歌詞を書く時には、どんなところからインスピレーションを得ることが多いですか?
周りの人とか、街にある光景、自分の情動、意外と身近なものが多いです。種としてはそういう小さなものから拾って、できる限り膨らませています。ツイスト利かせがち、シニカルな表現を好みがちなのは洋画からの影響が大きいように思います。
あとは中学時代に読んだ西尾維新さんの影響は、言葉遊びの面でかなり大きいと思います。 -
Q3. 普段、どのように歌詞を構成していきますか?
基本的にはメロを優先して、そこにテーマとなる言葉を一つ決めて、連想ゲームのように繋げていって広げることが多いです。思いつくまでひたすら聴いてぼやいてを繰り返します。頭の中で言葉ガチャを回し続けるようなイメージですね。つまり根性です。必殺技があるなら僕も知りたいですね。結局は自分の引き出しを全部開けていく作業なので、割と根性で解決している気がします。
-
Q4. お気に入りの仕事道具や、作詞の際に必要な環境、場所などがあれば教えてください。
静けさか、雑踏か、どちらかです。中途半端に人がいたりする環境が一番苦手ですね。
あとは洗い物の最中とか洗濯物を干している時とか、そういう暮らしの隙間です。ふと思いつくのはそういう時が多いです。
コーヒーと炭酸水と煙草は多用します。ほぼ酸素の代わりに煙草吸っている感じです。 -
Q5. ご自身が手掛けた歌詞に関して、今だから言える裏話、エピソードはありますか?
とっくの昔に皆さん言及されていたのですが、「シル・ヴ・プレジデント」の<濡れたタオルで洗いざらい吐かせるね>は、諜報機関が尋問の際に使う“ウォーターボーディング”という水責めの拷問をイメージしています(『デンジャラス・ラン』という映画で見たのが記憶に残っていました)。
-
Q6. 自分が思う「良い歌詞」とは?
難しい言い回しをしようとせず、飾らない素直な言葉なんだけど、決してそれが陳腐ではない。つまり、その人自身が世界を注意深く見て接して生きていることの表れ。軽薄な自分では書けない、そういう素朴で自然体な歌詞が好きです。
その人が世界をどういう風に見て接しているかが、聴いている人にも伝わってくる歌詞──“癖(へき)”のようなものが感じられて、その人の世界観に連れて行ってくれる詞が、本当に良い歌詞ではないかと思います。
エンタメ的な面から言えば、一匙のパンチラインが効いていたり、ユニークな取り回しの歌詞も好きです。
谷山紀章さん(GRANRODEO)の書く詞や言葉が個人的に大好きです。ぐっと引きずり込まれる感じがするので。 -
Q7. 「やられた!」と思わされた1曲を教えてください。
歌詞ではなくタイトルなのですが、佐々木喫茶さん作詞、佐々木喫茶さん作曲の「だいしきゅーだいしゅき」はやられた!と思いました。どういう言語野しているんだろうと。
-
Q8. 歌詞を書く際、よく使う言葉、
または、使わないように意識している言葉はありますか?「死」は使わないです。うっすいカルピスみたいなものなので。もっと他の言い回しで真に迫らないといけない。逆に「愛」はカルピスの原液みたいなものなので、もっと薄めてもいい。ところがこっちは原液なので、程よければそのままぶち込んでもいい。言葉は不思議です。
-
Q9. 言葉を届けるために、アーティスト、クリエイターに求められる資質とは?
ためらわないことかなと思います。時代がどうとか時間軸に沿う創作をするのかとかはさておいて、言葉は生ものなので、鮮度がある。その年齢でしか出せない言葉があって、昔に書いた歌詞を後から世に出そうとしても、やっぱり年経たぶんだけ迷いが生じるし、ここを直せばもっとよくなるんじゃないかという欲目が出る。
だから、今その時に伝えたい言葉は、今その時に出してしまうというのが良いと思います。出し惜しみしても、結局後からは出さないことの方が多いです。出さないだけ損かなと。
あとは、ちゃんと休むことですね。言葉は脳味噌から産まれるものなので、気力だけではどうにもならない。脳味噌が疲れている時にいい歌詞なんて書けるわけないですから。だから、言葉や曲が出てこないと感じたら画面を閉じて、自分の好きなことをしましょう。
忘れ去られる恐怖はありますよね。わかりますよ。でもいいじゃないですか。音楽は暮らしを突き詰めた先にあるもので、そのためには見識を広げるために楽しまないといけないもっと大事なことが沢山ある。それをしましょう。どうせみんな死ぬんですから。 -
Q10. 歌詞を書きたいと思っている人へのアドバイスをお願いします。
小説はハードルが高いと思うので、日記とかつけるといいんじゃないでしょうか。とにかく自分の思考を言語化する練習というか。書きたいけど書けない、が「何を書いたらいいかわからない」状態であれば、まず自分が何に対してどう感じて、なにを伝えたがっているのかを明確にすればいいのではないでしょうか。
「テーマはあるけどどう書けばいいかわからない」状態であれば、僕は連想ゲームのような方式がおすすめだと思います。情景を連想してもいいですし、まったく真逆の情景を連想していくとか、やり方は色々だと思います。
ボキャブラリーは後からついてくる物なので、まずは自分の引き出しを空っぽにしてみて、自分がどういう言葉を使うのか、使えるのか、使いたがっているのかを知るのが良いかなと。
皆さん大統領になったらまず何しますか? 景気を良くします? 法律とか整備します? この曲には体制なんて関係ないんです。ムカつく男がいるからシメる。それだけです。感情全開なんです。だから僕はこの曲が好きです。
七変化のように幅広いジャンルの楽曲を手がけながら、SymaGとのユニット「カロンズベカラズ」の活動や様々なアーティストへの楽曲提供などを精力的に行なっている。
代表曲に「おねがいダーリン」「シル・ヴ・プレジデント(楽曲提供)」「抜錨」などがある。