渡部陽一の歌詞一覧リスト  9曲中 1-9曲を表示

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曲名 歌手名 作詞者名 作曲者名 編曲者名 歌い出し
明日の方角これは役に立つ本だ と君は言う たった1ドル 買わなきゃ損だ 自分じゃ読めない古雑誌を売りつける君の こすりつけてくるからだの匂いと 泥のつまった指の爪  妹が家で死にそうなんだ と君は言う いちにち分の家族の食いぶちのために くいさがる君のしつこさは 物心ついたときから とっくに腹をくくっている証拠  想像力は持っているだけ 苦しいのか やぶれる夢は見ないことにしてるのか それとも 生きててうれしいと ときどきは思うのか 君も 妹のほほえみに つい笑い返したりするのか  そのくせ ときおり見せる 無防備な ぎょうてん顔 乾いた砂を巻き上げる風が やけて分厚くなった頬に 粉を吹かせて  友だちもみんな似たようなものだから 貧しさをすねることもない 誰かのせいにすることもない  生きのびるためのたった今を むさぼるように積みながら 君は下っ腹でくそ意地を練り上げる  それがいつか 君の国のやまない疼きをはねかえす したたかなばねにかわるといい 希望は 絶望にとてもよく似た姿をして 明日の方角から もう歩き出しているかもしれないから渡部陽一覚和歌子青柳誠これは役に立つ本だ と君は言う たった1ドル 買わなきゃ損だ 自分じゃ読めない古雑誌を売りつける君の こすりつけてくるからだの匂いと 泥のつまった指の爪  妹が家で死にそうなんだ と君は言う いちにち分の家族の食いぶちのために くいさがる君のしつこさは 物心ついたときから とっくに腹をくくっている証拠  想像力は持っているだけ 苦しいのか やぶれる夢は見ないことにしてるのか それとも 生きててうれしいと ときどきは思うのか 君も 妹のほほえみに つい笑い返したりするのか  そのくせ ときおり見せる 無防備な ぎょうてん顔 乾いた砂を巻き上げる風が やけて分厚くなった頬に 粉を吹かせて  友だちもみんな似たようなものだから 貧しさをすねることもない 誰かのせいにすることもない  生きのびるためのたった今を むさぼるように積みながら 君は下っ腹でくそ意地を練り上げる  それがいつか 君の国のやまない疼きをはねかえす したたかなばねにかわるといい 希望は 絶望にとてもよく似た姿をして 明日の方角から もう歩き出しているかもしれないから
海へ(父) 最初はなだらかな曲線だった妻のお腹が 日ごとにふくらみを大きくしていって 今では すぐにもはちきれそうないきおいだ 君は待遠しくしていた私たちの 最初のこども この世に現われるその瞬間を待ちながら 君は今 何を思って過ごしているのだろう  (娘) 父さん わたしはとても元気 毎日ちょっとずつ大きくなっています ここは静かで安らかな世界だけど 母さんの胸をいっぱいにするそよ風の匂いも 表を通りすぎていくサオダケ売りの声も わたし 母さんと一緒に残らず感じてる 父さんが いつも話しかけてくれるでしょう わたしはちゃんと聞いていて 返事もしているよ  (父) このあいだ「君は父さんのことが好きかな」と聞いたら お腹の内側を 君は絶妙な間合いでぴくぴくと動いたね あのときのうれしさを 私は忘れない 君は言葉をこえたところで やすやすと 私たちや世界と 交わっているのだろう  (娘) 父さんのところからは見えないものを わたしは見てる 生まれていないわたしは まだすべてとつながっているから まだ自分が誰かもおぼえてるから ねえ 父さん わたしがどうして 父さんのところへ生まれることになったのか 知っている?  (父) 君の眉や耳や手足の形 君を私たちそっくりにこしらえるのは遺伝子のしわざだけれど 君を私たちのところへ連れてくる それがだれのどんな力によるのか 私には知るすべもないよ  娘 父さんと母さんを選んだのは わたし  (父) 君が私たちのところへ生まれたいと思ったの?  (娘) そう 少し前にとても大きな火山の噴火があって 鉄砲水でいくつもの町がこわされて たくさんのいのちが失われたでしょう 何人もの人が泥流に押し流されて海まで行って とうとう帰らなかったでしょう  (父) あれは 家や林や道や 目に見えるものすべてが はかなく壊れていく 見たこともない光景だった 人間の知恵をこえた自然のすさまじさに 私たちは絶句して ただ呆然と立ち尽くすだけだった  (娘) 流されたあのひとたちは きゅうくつなからだを手ばなして もといたところへ還っていったの そしてわたしも その中のひとり 運ばれた先の海の底で 最後の呼吸をしたんだよ  (父) たったひとりぼっちで たけりくるう水に巻かれて 君は どんなにおそろしかったろうね 苦しかったろうね  (娘) あんなにもがいた海の中で ふっとちからが抜けて 突然わたしは自由になった 手足に羽が生えたと思ったくらい あ、今、からだからはなれたんだと わたしにはわかって うれしいようなかなしいような不思議な気持ちになった 大好きなひとたちにお別れを言いに 家をめざして飛んで行ったのだけど 誰もわたしに気づいてくれなかった  (父) いとおしんだ家族はみんな 君を見失って どれだけ心を痛め かなしんだことだろうか たった今 まだ生まれていない君が 突然いなくなることを思ってさえ 私は涙がこらえきれないのに  (娘) 帰り着いた家では 息をしてないわたしのからだをかこんで みんながむせぶように泣いていた 大好きな人たちがかなしむのを見るのは とてもつらかった でもわたしは 生きてる間 たくさん愛してもらえたから そして生きるのが素晴らしいことをよく知っていたから 早く生まれ変わって次の一生を始めたくて それを考えると 矢も盾もたまらなくてこころがはずんだ 大好きなみんなに わたしは消えていないから お願いだからもうかなしまないで と声をかけてあげたかった  (父) そうか そうして君はここに来ることにしたんだね はるかな国から 永遠を一瞬で旅して 私たち夫婦を 親に選んで  (娘) 父さんと母さんは仲良しで やさしいのんびりやさんでしょう わたし今度の一生では 時間いっぱい父さんと母さんに大切に愛されて そんなふうにわたしも世界を愛するって 決めているの  (父) まだ生まれてもいないのに 抱きしめてもいないのに 君の存在は私たちに もうかけがえがない どうか 無事に生まれておいで もう一度世界に愛されるために 生きることを愛することを見つけに  (娘) ありがとう 父さん わたしが生まれたら最初に お願い 海へ連れていって そしたら海は わたしがこの世からいなくなった場所ではなく わたしが生まれてはじめて行った場所になるから  (父) 大切な君に 青い大きな海を贈ろう 私たちはみんな 愛と同じものでできている どうか無事に生まれておいで はじめての海を見るために どうか 無事に生まれておいで もう一度世界に愛されるために渡部陽一覚和歌子青柳誠(父) 最初はなだらかな曲線だった妻のお腹が 日ごとにふくらみを大きくしていって 今では すぐにもはちきれそうないきおいだ 君は待遠しくしていた私たちの 最初のこども この世に現われるその瞬間を待ちながら 君は今 何を思って過ごしているのだろう  (娘) 父さん わたしはとても元気 毎日ちょっとずつ大きくなっています ここは静かで安らかな世界だけど 母さんの胸をいっぱいにするそよ風の匂いも 表を通りすぎていくサオダケ売りの声も わたし 母さんと一緒に残らず感じてる 父さんが いつも話しかけてくれるでしょう わたしはちゃんと聞いていて 返事もしているよ  (父) このあいだ「君は父さんのことが好きかな」と聞いたら お腹の内側を 君は絶妙な間合いでぴくぴくと動いたね あのときのうれしさを 私は忘れない 君は言葉をこえたところで やすやすと 私たちや世界と 交わっているのだろう  (娘) 父さんのところからは見えないものを わたしは見てる 生まれていないわたしは まだすべてとつながっているから まだ自分が誰かもおぼえてるから ねえ 父さん わたしがどうして 父さんのところへ生まれることになったのか 知っている?  (父) 君の眉や耳や手足の形 君を私たちそっくりにこしらえるのは遺伝子のしわざだけれど 君を私たちのところへ連れてくる それがだれのどんな力によるのか 私には知るすべもないよ  娘 父さんと母さんを選んだのは わたし  (父) 君が私たちのところへ生まれたいと思ったの?  (娘) そう 少し前にとても大きな火山の噴火があって 鉄砲水でいくつもの町がこわされて たくさんのいのちが失われたでしょう 何人もの人が泥流に押し流されて海まで行って とうとう帰らなかったでしょう  (父) あれは 家や林や道や 目に見えるものすべてが はかなく壊れていく 見たこともない光景だった 人間の知恵をこえた自然のすさまじさに 私たちは絶句して ただ呆然と立ち尽くすだけだった  (娘) 流されたあのひとたちは きゅうくつなからだを手ばなして もといたところへ還っていったの そしてわたしも その中のひとり 運ばれた先の海の底で 最後の呼吸をしたんだよ  (父) たったひとりぼっちで たけりくるう水に巻かれて 君は どんなにおそろしかったろうね 苦しかったろうね  (娘) あんなにもがいた海の中で ふっとちからが抜けて 突然わたしは自由になった 手足に羽が生えたと思ったくらい あ、今、からだからはなれたんだと わたしにはわかって うれしいようなかなしいような不思議な気持ちになった 大好きなひとたちにお別れを言いに 家をめざして飛んで行ったのだけど 誰もわたしに気づいてくれなかった  (父) いとおしんだ家族はみんな 君を見失って どれだけ心を痛め かなしんだことだろうか たった今 まだ生まれていない君が 突然いなくなることを思ってさえ 私は涙がこらえきれないのに  (娘) 帰り着いた家では 息をしてないわたしのからだをかこんで みんながむせぶように泣いていた 大好きな人たちがかなしむのを見るのは とてもつらかった でもわたしは 生きてる間 たくさん愛してもらえたから そして生きるのが素晴らしいことをよく知っていたから 早く生まれ変わって次の一生を始めたくて それを考えると 矢も盾もたまらなくてこころがはずんだ 大好きなみんなに わたしは消えていないから お願いだからもうかなしまないで と声をかけてあげたかった  (父) そうか そうして君はここに来ることにしたんだね はるかな国から 永遠を一瞬で旅して 私たち夫婦を 親に選んで  (娘) 父さんと母さんは仲良しで やさしいのんびりやさんでしょう わたし今度の一生では 時間いっぱい父さんと母さんに大切に愛されて そんなふうにわたしも世界を愛するって 決めているの  (父) まだ生まれてもいないのに 抱きしめてもいないのに 君の存在は私たちに もうかけがえがない どうか 無事に生まれておいで もう一度世界に愛されるために 生きることを愛することを見つけに  (娘) ありがとう 父さん わたしが生まれたら最初に お願い 海へ連れていって そしたら海は わたしがこの世からいなくなった場所ではなく わたしが生まれてはじめて行った場所になるから  (父) 大切な君に 青い大きな海を贈ろう 私たちはみんな 愛と同じものでできている どうか無事に生まれておいで はじめての海を見るために どうか 無事に生まれておいで もう一度世界に愛されるために
組曲 アリガト1、からだ  うたを歌うための声だろう 演説するための声でなく 歌にすませるための耳だろう 何もかもを 聞き逃さないための耳ではなく いとしい耳たぶをそっとなぞるための指だろう おいつめるためにさす指ではなく  ただ ダンスのための手足だろう 何かにしがみつくための 武器を握るための手ではなく かかえこむための膝ではなく 踏みつけるためのかかとでなく  空に立てた指に 風を感じるための皮膚だろう 花びらをうけとめるための両肩だろう キスするためのくちびるだろう キスされるための頬だろう  ひとつひとつが まちがいなく役割どおりに使われて はじめて 生かされるからだだろう  朝焼けを見るための あなたの瞳だろう たとえどんなに この夜が長く続くとしても   2、ドモ アリガト  ようこそ いらっしゃいました わたしたちの村に  わたしたちの村には 何もありません ミクロボサツもセイボマリアもおられません あるのは あの気前のいいおてんとサマと はだかで暮らす わたしたちばかりデス  わたしたちの村では                               1よりほかの数字は幻でス 魚も鳥も木も花も 持ち主がいないので 数えるテマがいらないのです  わたしたちの村の人は ドラマチックな事件というのを おこしません だから 退屈しないように お芝居や音楽が おおはやりです ああ ゲイジュツのスイジュンが高いのですねって そのこと よく言われますけど それ わたしたちの言葉になおすと 何になりまスカ  お祭りは にぎやかですよ 結婚式もお葬式も おおさわぎします おめでとう おめでとうって みなよろこびます 死んだ人に 会えなくなって寂しくないのかって  そりゃ 見えないのは寂しいでスけど 見えないだけだし ほら そのうち また会えるからうれしいです  静かでしょ ほんとは ここではあんまり しゃべらない 大声も出さない 最後に言いたいこと でスか あなたに会えて とてもうれしい ともだちになれて うれしい シャシン 撮りますか はい チーズ シャシン 見て わたしのこと思い出してくださいね わたし 今日みたいな空の色の日は かならず あなた 思い出せまスから とても うれしい あなたに 会えて よかったです  ドモ アリガト   3、おはなし  なんかよう分からんもんが ぽーんところがっとる ぶわんぶわんのような きらりきらりのような 犬はべつに吠えよらん 子らはちっともこわがらん なめてみたりつついてみたり あっはあっは笑ろうとる 海は変らずざんぶりこ みかんはたわわにみかんいろ やくたいもない変なもんが ぽーんとあるのも人生じゃ だんだんのどもかわきよる だんだん星もめぐりよる おどおどすんな皆の衆渡部陽一覚和歌子・谷川俊太郎青柳誠1、からだ  うたを歌うための声だろう 演説するための声でなく 歌にすませるための耳だろう 何もかもを 聞き逃さないための耳ではなく いとしい耳たぶをそっとなぞるための指だろう おいつめるためにさす指ではなく  ただ ダンスのための手足だろう 何かにしがみつくための 武器を握るための手ではなく かかえこむための膝ではなく 踏みつけるためのかかとでなく  空に立てた指に 風を感じるための皮膚だろう 花びらをうけとめるための両肩だろう キスするためのくちびるだろう キスされるための頬だろう  ひとつひとつが まちがいなく役割どおりに使われて はじめて 生かされるからだだろう  朝焼けを見るための あなたの瞳だろう たとえどんなに この夜が長く続くとしても   2、ドモ アリガト  ようこそ いらっしゃいました わたしたちの村に  わたしたちの村には 何もありません ミクロボサツもセイボマリアもおられません あるのは あの気前のいいおてんとサマと はだかで暮らす わたしたちばかりデス  わたしたちの村では                               1よりほかの数字は幻でス 魚も鳥も木も花も 持ち主がいないので 数えるテマがいらないのです  わたしたちの村の人は ドラマチックな事件というのを おこしません だから 退屈しないように お芝居や音楽が おおはやりです ああ ゲイジュツのスイジュンが高いのですねって そのこと よく言われますけど それ わたしたちの言葉になおすと 何になりまスカ  お祭りは にぎやかですよ 結婚式もお葬式も おおさわぎします おめでとう おめでとうって みなよろこびます 死んだ人に 会えなくなって寂しくないのかって  そりゃ 見えないのは寂しいでスけど 見えないだけだし ほら そのうち また会えるからうれしいです  静かでしょ ほんとは ここではあんまり しゃべらない 大声も出さない 最後に言いたいこと でスか あなたに会えて とてもうれしい ともだちになれて うれしい シャシン 撮りますか はい チーズ シャシン 見て わたしのこと思い出してくださいね わたし 今日みたいな空の色の日は かならず あなた 思い出せまスから とても うれしい あなたに 会えて よかったです  ドモ アリガト   3、おはなし  なんかよう分からんもんが ぽーんところがっとる ぶわんぶわんのような きらりきらりのような 犬はべつに吠えよらん 子らはちっともこわがらん なめてみたりつついてみたり あっはあっは笑ろうとる 海は変らずざんぶりこ みかんはたわわにみかんいろ やくたいもない変なもんが ぽーんとあるのも人生じゃ だんだんのどもかわきよる だんだん星もめぐりよる おどおどすんな皆の衆
組曲 遠くへ行ってみたいんだ1、あい  あい 口で言うのはかんたんだ 愛 文字で書くのもむずかしくない  あい 気持ちはだれでも知っている 愛 悲しいくらい好きになること  あい いつでもそばにいたいこと 愛 いつまでも生きていてほしいと願うこと  あい それは愛ということばじゃない 愛 それは気持ちだけでもない  あい はるかな過去を忘れないこと 愛 見えない未来を信じること  あい くりかえしくりかえし考えること 愛 いのちをかけて生きること   2、春に  この気もちはなんだろう 目に見えないエネルギーの流れが 大地からあしのうらを伝わって ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ 声にならないさけびとなってこみあげる この気もちはなんだろう 枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく よろこびだ しかしかなしみでもある いらだちだ しかしやすらぎがある あこがれだ そしていかりがかくれている 心のダムにせきとめられ よどみが渦まきせめぎあい いまあふれようとする この気もちはなんだろう あの空のあの青に手をひたしたい まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい あしたとあさってが一度に来るといい ぼくはもどかしい 地平線のかなたへと歩きつづけたい そのくせこの草の上でじっとしていたい 大声でだれかを呼びたい そのくせひとりで黙っていたい この気もちはなんだろう   3、遠く  遠くへいってみたいんだ ジープに乗って行けるような 地平線より もっと先 虹のアーチの奥の奥  遠くへいってみたいんだ ここにからだを立たせたまんま ことばとこころで とどくかぎりの ロケットが飛ぶ まだその向こう  しんとひとりに なってみる さみしさだって ともだちにする 宇宙の青いマントをはおって 空気の深くに とけていく  遠くへいってみたいんだ まだだれひとり 行きついてない けれどどこより なつかしいところ ほんとうが ぼくを待ってるところ渡部陽一覚和歌子・谷川俊太郎青柳誠1、あい  あい 口で言うのはかんたんだ 愛 文字で書くのもむずかしくない  あい 気持ちはだれでも知っている 愛 悲しいくらい好きになること  あい いつでもそばにいたいこと 愛 いつまでも生きていてほしいと願うこと  あい それは愛ということばじゃない 愛 それは気持ちだけでもない  あい はるかな過去を忘れないこと 愛 見えない未来を信じること  あい くりかえしくりかえし考えること 愛 いのちをかけて生きること   2、春に  この気もちはなんだろう 目に見えないエネルギーの流れが 大地からあしのうらを伝わって ぼくの腹へ胸へそうしてのどへ 声にならないさけびとなってこみあげる この気もちはなんだろう 枝の先のふくらんだ新芽が心をつつく よろこびだ しかしかなしみでもある いらだちだ しかしやすらぎがある あこがれだ そしていかりがかくれている 心のダムにせきとめられ よどみが渦まきせめぎあい いまあふれようとする この気もちはなんだろう あの空のあの青に手をひたしたい まだ会ったことのないすべての人と 会ってみたい話してみたい あしたとあさってが一度に来るといい ぼくはもどかしい 地平線のかなたへと歩きつづけたい そのくせこの草の上でじっとしていたい 大声でだれかを呼びたい そのくせひとりで黙っていたい この気もちはなんだろう   3、遠く  遠くへいってみたいんだ ジープに乗って行けるような 地平線より もっと先 虹のアーチの奥の奥  遠くへいってみたいんだ ここにからだを立たせたまんま ことばとこころで とどくかぎりの ロケットが飛ぶ まだその向こう  しんとひとりに なってみる さみしさだって ともだちにする 宇宙の青いマントをはおって 空気の深くに とけていく  遠くへいってみたいんだ まだだれひとり 行きついてない けれどどこより なつかしいところ ほんとうが ぼくを待ってるところ
消しゴム3回大学受験を目の前にしたタカシの家は 両親と祖母と妹の五人家族で 暮らしに余裕がありません 両親には学費の安い大学なら行かせてやると言われましたが そういう大学の試験が楽だったためしはないのです タカシは合格しなかったら就職すると背水の陣をしいて 猛勉強する日々でした  月が妙に赤いある夜のこと 週三回のコンビニアルバイトからの帰り道 四つ角でひとりの男が暗やみの中からタカシに声をかけてきました ポケットから何やら取り出すと タカシの手のひらにのせました 「願い事を紙に書いて これで消すといい 必ず願い事は かなうから」 それは小指の頭ほどの使い古しの消しゴムでした タカシがこんなものいらないと言う間もなく 男は吸い込まれるように闇に消えていきました  家に帰ると父親と母親が請求書と領収書を前に 「宝クジでも当てないと」とつぶやきながらため息をついていました タカシは明くる日 面白半分で宝クジを買いました ノートに「宝クジが当たる」と書くと 昨夜もらった消しゴムで消してみました そのままノートにはさんで忘れていた宝クジが三等500万円を当てたのは それから二週間後のことでした タカシが見せる当たり券と新聞を交互に見ながら 両親はびっくりして踊りださんばかりに大喜びしました けれどタカシの驚きはそれ以上でした 指でつまんでしみじみ見ても それはもうすぐ捨ててもいいほど ちびた さもない消しゴムでした  その夜は嵐でした 明日から修学旅行に行く妹が泣きそうな顔をして テレビの天気予報にかじりついていました 来年から看護学校に通う妹にとって 明日からの旅は中学時代最後の楽しみでした タカシはノートに「嵐が止んで三日間晴れる」と書くと ていねいに例の消しゴムで消しました 明くる日の空はうそのように晴れ上がり 妹は友だちとおおよろこびで旅立っていきました  それから タカシは受験のための勉強をしなくなりました この消しゴムがあるかぎり大学合格は決まっていると思ったからです  それからしばらくたったある日 お祖母さんが真珠の指輪がないといって大騒ぎをはじめました お祖母さんは近ごろつじつまの合わないことを たびたび言うようになっていました 指輪が本当にあったかどうかも疑わしいので 誰も取り合わないでいましたが お祖父さんがくれた 生涯でたったひとつの贈り物だったのに と さめざめと泣くお祖母さんがいたいたしく 家族全員手分けして家の中を探すことにしました しまいには天袋の奥から米びつの底までさがしましたが とうとう指輪は出てきませんでした お祖母さんはそれから具合を悪くして寝込んでしまいました  日に日にお祖母さんは弱っていきます タカシは自分の大学合格のためにとっておいた三つ目の願い事を 使うべきかどうか悩みました 指輪を出してあげるのは 簡単だ でも大学に進学するのは自分のためだけじゃなく家族の将来のためでもある 自分が合格したらお祖母さんもきっと元気になるに決まってる そう自分に言いきかせるタカシは 消しゴムの力を借りずに実力で合格する自信がもうないのでした  けれど何も食べなくなってやせていくお祖母さんを見ているのが どうしてもタカシには耐えられませんでした まだ受験までには少し時間がある 追込みをかければ何とかなる タカシは自分にそう言いきかせると、決死の覚悟で 「真珠の指輪が見つかる」とノートに書き あの消しゴムで消しました  果たしてそれから一週間もたたないうちに お祖母さんの指輪は見つかりました 何度も探したタンスの引き出しの奥から 油紙に包まれて何事もなかったように出てきたのです お祖母さんは ふとんの中で泣き笑いしながら 指輪を薬指にはめました  ほどなくして タカシの受験の日がやってきました ところが追込みの何日かで続いた徹夜がたたって あろうことかタカシは受験のその朝に熱を出してしまいました 痛恨のインフルエンザでした ふとんの中でうなされながら見るのは 答案用紙に必死でちびた消しゴムをこすりつけている夢でした もはやタカシは大学をあきらめるしかありませんでした  数日してタカシの熱が下がったのを見届けるように あろうことかお祖母さんが亡くなりました 指輪が見つかった喜びが お祖母さんの弱り切った体力を盛り返すことはありませんでした タカシはむしょうに腹が立ちました これじゃ意味ない 何のために最後の願い事をゆずったと思ってんだ  葬儀が終わって遺品の整理をしていると お祖母さんのいつも持ち歩いていた信玄袋の中から 四隅の折れた一枚の古い写真が出てきました じいさんだよ と父親に教えられてタカシは息を呑みました 写真に写っていたのは 若い頃のしあわせそうなお祖母さんと一人の男でした 男は誰あろう コンビニ前の四つ角で消しゴムをくれた あの人でした  タカシはあっけにとられて丸一日過ごしたあと 明くる日一日中部屋にこもりきりになったと思ったら その次の日両親に 頼むから一年だけ浪人させてほしいと土下座しました  まあ一年だけならなんとかなるだろう と両親は言いました ふたりは宝クジの500万円を 大事にタカシ名義の銀行口座に入れて まだ一円も手をつけずにいたのでした渡部陽一覚和歌子青柳誠大学受験を目の前にしたタカシの家は 両親と祖母と妹の五人家族で 暮らしに余裕がありません 両親には学費の安い大学なら行かせてやると言われましたが そういう大学の試験が楽だったためしはないのです タカシは合格しなかったら就職すると背水の陣をしいて 猛勉強する日々でした  月が妙に赤いある夜のこと 週三回のコンビニアルバイトからの帰り道 四つ角でひとりの男が暗やみの中からタカシに声をかけてきました ポケットから何やら取り出すと タカシの手のひらにのせました 「願い事を紙に書いて これで消すといい 必ず願い事は かなうから」 それは小指の頭ほどの使い古しの消しゴムでした タカシがこんなものいらないと言う間もなく 男は吸い込まれるように闇に消えていきました  家に帰ると父親と母親が請求書と領収書を前に 「宝クジでも当てないと」とつぶやきながらため息をついていました タカシは明くる日 面白半分で宝クジを買いました ノートに「宝クジが当たる」と書くと 昨夜もらった消しゴムで消してみました そのままノートにはさんで忘れていた宝クジが三等500万円を当てたのは それから二週間後のことでした タカシが見せる当たり券と新聞を交互に見ながら 両親はびっくりして踊りださんばかりに大喜びしました けれどタカシの驚きはそれ以上でした 指でつまんでしみじみ見ても それはもうすぐ捨ててもいいほど ちびた さもない消しゴムでした  その夜は嵐でした 明日から修学旅行に行く妹が泣きそうな顔をして テレビの天気予報にかじりついていました 来年から看護学校に通う妹にとって 明日からの旅は中学時代最後の楽しみでした タカシはノートに「嵐が止んで三日間晴れる」と書くと ていねいに例の消しゴムで消しました 明くる日の空はうそのように晴れ上がり 妹は友だちとおおよろこびで旅立っていきました  それから タカシは受験のための勉強をしなくなりました この消しゴムがあるかぎり大学合格は決まっていると思ったからです  それからしばらくたったある日 お祖母さんが真珠の指輪がないといって大騒ぎをはじめました お祖母さんは近ごろつじつまの合わないことを たびたび言うようになっていました 指輪が本当にあったかどうかも疑わしいので 誰も取り合わないでいましたが お祖父さんがくれた 生涯でたったひとつの贈り物だったのに と さめざめと泣くお祖母さんがいたいたしく 家族全員手分けして家の中を探すことにしました しまいには天袋の奥から米びつの底までさがしましたが とうとう指輪は出てきませんでした お祖母さんはそれから具合を悪くして寝込んでしまいました  日に日にお祖母さんは弱っていきます タカシは自分の大学合格のためにとっておいた三つ目の願い事を 使うべきかどうか悩みました 指輪を出してあげるのは 簡単だ でも大学に進学するのは自分のためだけじゃなく家族の将来のためでもある 自分が合格したらお祖母さんもきっと元気になるに決まってる そう自分に言いきかせるタカシは 消しゴムの力を借りずに実力で合格する自信がもうないのでした  けれど何も食べなくなってやせていくお祖母さんを見ているのが どうしてもタカシには耐えられませんでした まだ受験までには少し時間がある 追込みをかければ何とかなる タカシは自分にそう言いきかせると、決死の覚悟で 「真珠の指輪が見つかる」とノートに書き あの消しゴムで消しました  果たしてそれから一週間もたたないうちに お祖母さんの指輪は見つかりました 何度も探したタンスの引き出しの奥から 油紙に包まれて何事もなかったように出てきたのです お祖母さんは ふとんの中で泣き笑いしながら 指輪を薬指にはめました  ほどなくして タカシの受験の日がやってきました ところが追込みの何日かで続いた徹夜がたたって あろうことかタカシは受験のその朝に熱を出してしまいました 痛恨のインフルエンザでした ふとんの中でうなされながら見るのは 答案用紙に必死でちびた消しゴムをこすりつけている夢でした もはやタカシは大学をあきらめるしかありませんでした  数日してタカシの熱が下がったのを見届けるように あろうことかお祖母さんが亡くなりました 指輪が見つかった喜びが お祖母さんの弱り切った体力を盛り返すことはありませんでした タカシはむしょうに腹が立ちました これじゃ意味ない 何のために最後の願い事をゆずったと思ってんだ  葬儀が終わって遺品の整理をしていると お祖母さんのいつも持ち歩いていた信玄袋の中から 四隅の折れた一枚の古い写真が出てきました じいさんだよ と父親に教えられてタカシは息を呑みました 写真に写っていたのは 若い頃のしあわせそうなお祖母さんと一人の男でした 男は誰あろう コンビニ前の四つ角で消しゴムをくれた あの人でした  タカシはあっけにとられて丸一日過ごしたあと 明くる日一日中部屋にこもりきりになったと思ったら その次の日両親に 頼むから一年だけ浪人させてほしいと土下座しました  まあ一年だけならなんとかなるだろう と両親は言いました ふたりは宝クジの500万円を 大事にタカシ名義の銀行口座に入れて まだ一円も手をつけずにいたのでした
このたたかいが終わったらこのたたかいが終わったら 友だちをさそって弁当を持って 町でいちばん高い山にのぼろう はればれと見下ろす 生まれたばかりの町の とどろく産声を聞こう おしまいまでやりとげた充実で 胸をいっぱいにしよう  このたたかいが終わったら 力強く誇ろう まだだれも見ぬ地平線を描くという 難しいほうの道を選んだこと 失ったものより残されたものに こころをそそぐと決めたこと あえぎながら歩いても 小さな花を見のがさず ありがとうと声をかけたこと  このたたかいが終わったら 大きな声でうたおう 消えいる心を支えてくれた歌 そして それよりもっと大きな声で これでもかと泣こう 胸をしばっていたかなしみを空に放して 新しい日々を抱きとめよう 遠い国でまだ続く いくつものたたかいから目をそらさずに渡部陽一覚和歌子青柳誠このたたかいが終わったら 友だちをさそって弁当を持って 町でいちばん高い山にのぼろう はればれと見下ろす 生まれたばかりの町の とどろく産声を聞こう おしまいまでやりとげた充実で 胸をいっぱいにしよう  このたたかいが終わったら 力強く誇ろう まだだれも見ぬ地平線を描くという 難しいほうの道を選んだこと 失ったものより残されたものに こころをそそぐと決めたこと あえぎながら歩いても 小さな花を見のがさず ありがとうと声をかけたこと  このたたかいが終わったら 大きな声でうたおう 消えいる心を支えてくれた歌 そして それよりもっと大きな声で これでもかと泣こう 胸をしばっていたかなしみを空に放して 新しい日々を抱きとめよう 遠い国でまだ続く いくつものたたかいから目をそらさずに
このたたかいがなかったらこのたたかいがなかったら 子どもは物売りに出かけずにすんだ 毎日欠かさず学校へ通えた けれどこのたたかいがなかったら 家族を残してやってきた異国の兵士と 友だちになることはできなかった  このたたかいがなかったら 恋人たちははなればなれにならなかった さびしさで胸をかきむしることもなかった このたたかいがなかったら 今ごろつつましい結婚式をあげていた けれどこのたたかいがなかったら いのちとひきかえに深まる愛を 知らないままで老いたかもしれない  このたたかいがなかったら 町一番の食堂もこわされなかった ひとのにぎわいも続いていて 働き口にもこまらなかった けれどこのたたかいがなかったら 世界はこの国をかえりみなかった 国の名前さえ思い出さなかった  このたたかいがなかったら 死ななくてすむ子どもがいた 死ななくてすむ親がいた そしてこのたたかいがなかったら 私はここに来なかった 混乱のまっただなかにも 子どものはじける笑顔があることと それに救われるかなしみがあることを たぶん死ぬまで知らずにいた渡部陽一覚和歌子青柳誠このたたかいがなかったら 子どもは物売りに出かけずにすんだ 毎日欠かさず学校へ通えた けれどこのたたかいがなかったら 家族を残してやってきた異国の兵士と 友だちになることはできなかった  このたたかいがなかったら 恋人たちははなればなれにならなかった さびしさで胸をかきむしることもなかった このたたかいがなかったら 今ごろつつましい結婚式をあげていた けれどこのたたかいがなかったら いのちとひきかえに深まる愛を 知らないままで老いたかもしれない  このたたかいがなかったら 町一番の食堂もこわされなかった ひとのにぎわいも続いていて 働き口にもこまらなかった けれどこのたたかいがなかったら 世界はこの国をかえりみなかった 国の名前さえ思い出さなかった  このたたかいがなかったら 死ななくてすむ子どもがいた 死ななくてすむ親がいた そしてこのたたかいがなかったら 私はここに来なかった 混乱のまっただなかにも 子どものはじける笑顔があることと それに救われるかなしみがあることを たぶん死ぬまで知らずにいた
小さな星~イスラマバードの友人が言ったこと~家族があるのはいい 手をつなごうとするまえに 血は温かく結ばれている それは無条件の心強さ 離れていても感じていられる それは君にいつもよりそう 見えない味方のこと  子どもは多いほどいい どんな子どもも未来だから つい抱きしめてしまうのだ 取っ組み合いのどんがらがっしゃん はしゃいでいるのか 泣きわめいているのか 区別がつかない大声が 今日も いのちの車輪を回してくれる  貧しい暮らしはいい たった一枚のナンを しみじみ味わうよろこびを知るから 分け合ったかなしみから やさしさが はぐくまれ 分け合ったほほえみは 思い出という心の糧として てごわい旅路を食いつながせてくれる  だから君も家族を作れ 愛する人とともに 愛するものを 小さな星の地上にふやせ渡部陽一覚和歌子青柳誠家族があるのはいい 手をつなごうとするまえに 血は温かく結ばれている それは無条件の心強さ 離れていても感じていられる それは君にいつもよりそう 見えない味方のこと  子どもは多いほどいい どんな子どもも未来だから つい抱きしめてしまうのだ 取っ組み合いのどんがらがっしゃん はしゃいでいるのか 泣きわめいているのか 区別がつかない大声が 今日も いのちの車輪を回してくれる  貧しい暮らしはいい たった一枚のナンを しみじみ味わうよろこびを知るから 分け合ったかなしみから やさしさが はぐくまれ 分け合ったほほえみは 思い出という心の糧として てごわい旅路を食いつながせてくれる  だから君も家族を作れ 愛する人とともに 愛するものを 小さな星の地上にふやせ
問いかけ読み書きを学ぼう 数の数え方を学ぼう 同じ年ごろの友だちと 同じ空気を吸いながら 机や椅子がない教室でも 教科書とノートが足りなくても  昔の偉大な人の教えを学ぼう そこから今を考えることを学ぼう はつらつとしたその身を包む 長いブルカにたくしこんだ 世界を知り自分に気づくよろこび うたがい確かめ 腑に落ちるここちよさ  たったひとりでも 学ぼう 手垢のついたギターの教則本に つむがれた赤土の色の織物に 町はずれに立つ一本の木に 答えはどこからでもさがしだせる 自分のからだで考えた 抜き差しならない問いかけさえあれば  学び続けるその先に やがて君は見るだろう そむきあった歴史が ひとすじの河となって 流れ出していける海を 決してゆるせない者同士が ゆるしあう瞬間を いとおしいふるさとの まあたらしい姿を  答えはどこからでもさがしだせる 自分のからだで考えた 問いかけさえあれば渡部陽一覚和歌子青柳誠読み書きを学ぼう 数の数え方を学ぼう 同じ年ごろの友だちと 同じ空気を吸いながら 机や椅子がない教室でも 教科書とノートが足りなくても  昔の偉大な人の教えを学ぼう そこから今を考えることを学ぼう はつらつとしたその身を包む 長いブルカにたくしこんだ 世界を知り自分に気づくよろこび うたがい確かめ 腑に落ちるここちよさ  たったひとりでも 学ぼう 手垢のついたギターの教則本に つむがれた赤土の色の織物に 町はずれに立つ一本の木に 答えはどこからでもさがしだせる 自分のからだで考えた 抜き差しならない問いかけさえあれば  学び続けるその先に やがて君は見るだろう そむきあった歴史が ひとすじの河となって 流れ出していける海を 決してゆるせない者同士が ゆるしあう瞬間を いとおしいふるさとの まあたらしい姿を  答えはどこからでもさがしだせる 自分のからだで考えた 問いかけさえあれば
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