雨上がりの通り淡い昼下がり 雨上がりの通りは 白い水蒸気と 光に包まれる 眩しそうに薄目開けて 優しく微笑む 日傘開きながら 赤いヒールをカタカタ 鳴らし小走りに「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」 見上げた黒い瞳 眼の前を通る 吸い込まれていく 嘘のようさ 君は目を閉じて 時を止める 広いカンバスに 水色の水彩絵の具 染めて碧い島は 恥ずかしそうに浮かぶ イリュージョンじみた風が 二人を横切る 吸い込まれていく 嘘のようさ 君は目を閉じて 時を止める 斜め上の空には 間の抜けた笑う月 そっと流し目で見て「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」 | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 淡い昼下がり 雨上がりの通りは 白い水蒸気と 光に包まれる 眩しそうに薄目開けて 優しく微笑む 日傘開きながら 赤いヒールをカタカタ 鳴らし小走りに「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」 見上げた黒い瞳 眼の前を通る 吸い込まれていく 嘘のようさ 君は目を閉じて 時を止める 広いカンバスに 水色の水彩絵の具 染めて碧い島は 恥ずかしそうに浮かぶ イリュージョンじみた風が 二人を横切る 吸い込まれていく 嘘のようさ 君は目を閉じて 時を止める 斜め上の空には 間の抜けた笑う月 そっと流し目で見て「鬼さんこちら手の鳴るほうへ」 |
煙夜の夢a. 香水壜と少女 歪な香水塔から抜け出した街で 蓮っ葉に足を投げ 影を追った少女は 「私が見つけたの」と台詞じみた言葉と共に 風の中に消えた 少女が忘れていった 小さく握っていたものに 多分 意味はない 「私にはとっておき」 自慢げな呟きと忘れ物をそのままに僕も消えた b. 空虚な肖像画 影を千切っては投げるいつかの天邪鬼の言う所によりますと、 「矛盾に飼い馴らされた とても立派で狂おしい肖像画の出来上がったばかりです。 見栄ばかり張っていないで見て行ってはいかがですか?」 c. 煙夜の夢 (夜が固まる前) カーブミラーに夢を見た ある雨上がりの夜 水蒸気の寄り場となり 霧の役目を一身に 映るすべてをぼかす 街灯の光は月のように 自分の姿はまるで知らない他人のように 夢の正体は何か 考えながら握るハンドルの軸が 濡れた地面と共に 無限に深く伸びた次の時には ツンと張り詰めた部屋にいて どこかに忘れ物があることに気がついた 夜の吐く息が 返事をしたような 不思議をとかして くれるものを見た 夜の吐く息が 形を作るような 不思議をとかして くれるものを見た | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | a. 香水壜と少女 歪な香水塔から抜け出した街で 蓮っ葉に足を投げ 影を追った少女は 「私が見つけたの」と台詞じみた言葉と共に 風の中に消えた 少女が忘れていった 小さく握っていたものに 多分 意味はない 「私にはとっておき」 自慢げな呟きと忘れ物をそのままに僕も消えた b. 空虚な肖像画 影を千切っては投げるいつかの天邪鬼の言う所によりますと、 「矛盾に飼い馴らされた とても立派で狂おしい肖像画の出来上がったばかりです。 見栄ばかり張っていないで見て行ってはいかがですか?」 c. 煙夜の夢 (夜が固まる前) カーブミラーに夢を見た ある雨上がりの夜 水蒸気の寄り場となり 霧の役目を一身に 映るすべてをぼかす 街灯の光は月のように 自分の姿はまるで知らない他人のように 夢の正体は何か 考えながら握るハンドルの軸が 濡れた地面と共に 無限に深く伸びた次の時には ツンと張り詰めた部屋にいて どこかに忘れ物があることに気がついた 夜の吐く息が 返事をしたような 不思議をとかして くれるものを見た 夜の吐く息が 形を作るような 不思議をとかして くれるものを見た |
回想電車予報通り外れた のべつ陽気な目の下 すべる雲の影の広さに 押し潰されそうで… 気怠い時が経つのを 駅のホームで待っていた 船のように動き出す 電車に飛び乗ったのは いつか夢で見たような景色が あるような気がしたから 僕も行くよ | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎・竹川悟史 | | 予報通り外れた のべつ陽気な目の下 すべる雲の影の広さに 押し潰されそうで… 気怠い時が経つのを 駅のホームで待っていた 船のように動き出す 電車に飛び乗ったのは いつか夢で見たような景色が あるような気がしたから 僕も行くよ |
帰り道みんみん蝉が 鳴き出す季節になったら 僕は 河原で 日向ぼっこをする 夕暮れ時に 聴こえてくるあのチャイムは 子供の頃を 思い出させる音 ぷかぷか 空に漂う 入道雲のようなこのメロディー ああ 聴こえてくる 何かを伝えようと 僕は そっと目を閉じる 体で感じる 陰りゆく空 心地良さに浸る間もなく 自転車に乗り 僕は 家路につく ぽつぽつ 滴る雨 自然のビートを刻んで ああ 降り出したら 水たまりを避けながら 気付くと足踏みをしてる 体で感じる 胸騒ぎがしてる ドキドキがおさまらない 僕は 一人踊り出す 7thの響きで | 森は生きている | 竹川悟史 | 岡田拓郎・竹川悟史 | | みんみん蝉が 鳴き出す季節になったら 僕は 河原で 日向ぼっこをする 夕暮れ時に 聴こえてくるあのチャイムは 子供の頃を 思い出させる音 ぷかぷか 空に漂う 入道雲のようなこのメロディー ああ 聴こえてくる 何かを伝えようと 僕は そっと目を閉じる 体で感じる 陰りゆく空 心地良さに浸る間もなく 自転車に乗り 僕は 家路につく ぽつぽつ 滴る雨 自然のビートを刻んで ああ 降り出したら 水たまりを避けながら 気付くと足踏みをしてる 体で感じる 胸騒ぎがしてる ドキドキがおさまらない 僕は 一人踊り出す 7thの響きで |
影の問答「風景画のように、時間がヘッドライトの先の雨粒の中に停滞してて、 それが急に放電を始めたから、 眠るのを忘れた。そんな夜のこと?」 「日曜の小さな部屋のソファの下や、 臆病な子供が影を隠して過ごしたピアノの下にも、 何かがありやしないか?眠るのを忘れて昨日聴いたレコードが廻る訳も、 ほとんどそこにある気がする。」 ―― 二つの影が伸びる仄暗い少し減速し始める街で、 痙攣していた白い街燈が微睡む夜明けの頃の出来事。 | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 「風景画のように、時間がヘッドライトの先の雨粒の中に停滞してて、 それが急に放電を始めたから、 眠るのを忘れた。そんな夜のこと?」 「日曜の小さな部屋のソファの下や、 臆病な子供が影を隠して過ごしたピアノの下にも、 何かがありやしないか?眠るのを忘れて昨日聴いたレコードが廻る訳も、 ほとんどそこにある気がする。」 ―― 二つの影が伸びる仄暗い少し減速し始める街で、 痙攣していた白い街燈が微睡む夜明けの頃の出来事。 |
風の仕業みどり色の霧が晴れて 春の雨が過ぎた いつかも来た公園では 日傘が回り影は 浮んで 沈んだ 誰か何か呟いても 僕らには聞こえない それか多分あれは風か 水たまりを震わせ 浮んで 沈んだ 依然として変わらない 足音は垂れてる雨の先で鳴ったまま みどり色の霧は 白色に変わっただけだった ふいに片手を挙げさせる 空想と戯れて 浮んで 沈んだ 依然として変わらない | 森は生きている | 増村和彦 | 竹川悟史 | | みどり色の霧が晴れて 春の雨が過ぎた いつかも来た公園では 日傘が回り影は 浮んで 沈んだ 誰か何か呟いても 僕らには聞こえない それか多分あれは風か 水たまりを震わせ 浮んで 沈んだ 依然として変わらない 足音は垂れてる雨の先で鳴ったまま みどり色の霧は 白色に変わっただけだった ふいに片手を挙げさせる 空想と戯れて 浮んで 沈んだ 依然として変わらない |
気まぐれな朝気まぐれな昔の詩人の妄想が 部屋の中を彷徨いている コップに一杯水を飲む振りをして 抜け出そうとするのを止めて 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 ぼんやりした朝の景色を裂くように 「繰り返したくない」 蜃気楼の中もう一度 ぼんやり眠って欲しい 夢も同じことで 不思議なままでいい 濡れた黒い瞳を見詰め返すのは うしろ指を差されるのが怖いから 濡れた黒い瞳をふいに逸らすのは 夢を覗き込まれるのが怖いから 気まぐれな昔の詩人の妄想が 相変わらず彷徨いている 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 夢も同じことで 不思議なままでいい | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 気まぐれな昔の詩人の妄想が 部屋の中を彷徨いている コップに一杯水を飲む振りをして 抜け出そうとするのを止めて 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 ぼんやりした朝の景色を裂くように 「繰り返したくない」 蜃気楼の中もう一度 ぼんやり眠って欲しい 夢も同じことで 不思議なままでいい 濡れた黒い瞳を見詰め返すのは うしろ指を差されるのが怖いから 濡れた黒い瞳をふいに逸らすのは 夢を覗き込まれるのが怖いから 気まぐれな昔の詩人の妄想が 相変わらず彷徨いている 「星座なんて知らないほうが 空は不思議に見える」 夢も同じことで 不思議なままでいい |
グッド・ナイト赤や黄が座標軸の上で メリーゴーランドのように 廻り始めたら 物語もそろそろ終わり 「レディース&ジェントルメン! ぜんまい仕掛の蝶の群れが あの丘の頂上から 一斉に墜落して行くのが 見えなかったかい?」 ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 赤や黄が座標軸の上で メリーゴーランドのように 廻り始めたら 物語もそろそろ終わり 「レディース&ジェントルメン! ぜんまい仕掛の蝶の群れが あの丘の頂上から 一斉に墜落して行くのが 見えなかったかい?」 ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ ねぇ 今どこにいるの ねぇ? さぁ? まだ夢の続き さぁ |
痕跡地図灰になった ヒッピー紛いが 爪を立てながら 灰になった 時間を巻き戻し 煙が立ち登る 地図も書けない子供の 起源のない物語 魔法にかけられた それを侵す亡命者 灰になった 時間に足跡を 重ねて辿るのか 灰になった 時間が足跡を 辿って来るのか | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 灰になった ヒッピー紛いが 爪を立てながら 灰になった 時間を巻き戻し 煙が立ち登る 地図も書けない子供の 起源のない物語 魔法にかけられた それを侵す亡命者 灰になった 時間に足跡を 重ねて辿るのか 灰になった 時間が足跡を 辿って来るのか |
磨硝子抽斗に光が潜り込んで 夢の続きを歌ってみせる 突飛な空想家の育ち心 窓にもたれて 眠っているのです 昼下がりの陽は部屋の 硝子戸越しはからっぽ 外は明るい昼 背中を合わせた部屋の 硝子戸越しはからっぽ 子供の落書きのような 外は明るい昼 | 森は生きている | 岡田拓郎・増村和彦 | 岡田拓郎 | | 抽斗に光が潜り込んで 夢の続きを歌ってみせる 突飛な空想家の育ち心 窓にもたれて 眠っているのです 昼下がりの陽は部屋の 硝子戸越しはからっぽ 外は明るい昼 背中を合わせた部屋の 硝子戸越しはからっぽ 子供の落書きのような 外は明るい昼 |
青磁色の空今朝見た夢を忘れた 人達の上の空は 暗く霞んで 雲は 騒がしく流れていく 錆びた路地の隅では 秘密を人間に語った 天使が取り残されて フライパンの上で寝ている 空の上にいた頃を 思い出しながら フライパンの上で寝ている | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 今朝見た夢を忘れた 人達の上の空は 暗く霞んで 雲は 騒がしく流れていく 錆びた路地の隅では 秘密を人間に語った 天使が取り残されて フライパンの上で寝ている 空の上にいた頃を 思い出しながら フライパンの上で寝ている |
断片噪いだ街に伸びる影は 今日も終わりを迎えて 倦み疲れたような吐息の中で 独り言が彷徨う 空に梯子を架けて 星でも掴もうか 欲しいものは何? アスファルトの上の黄ばんだ声を聞くのはもうごめんさ 欠伸しながら歩いては 行き交う街を眺めてた やけにすました足音を 隈どる影の先には風ばかり 空に梯子を架けて 星でも掴もうか 欲しいものは何? アスファルトの上の黄ばんだ声を聞くのはもうごめんさ 繰り返される街並みは ガラスの裏に落ちていく 辿るともなく廻り出す 記憶を立ち迷わせて 夢うつつ | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎・竹川悟史 | | 噪いだ街に伸びる影は 今日も終わりを迎えて 倦み疲れたような吐息の中で 独り言が彷徨う 空に梯子を架けて 星でも掴もうか 欲しいものは何? アスファルトの上の黄ばんだ声を聞くのはもうごめんさ 欠伸しながら歩いては 行き交う街を眺めてた やけにすました足音を 隈どる影の先には風ばかり 空に梯子を架けて 星でも掴もうか 欲しいものは何? アスファルトの上の黄ばんだ声を聞くのはもうごめんさ 繰り返される街並みは ガラスの裏に落ちていく 辿るともなく廻り出す 記憶を立ち迷わせて 夢うつつ |
Bye Bye手をあわせて 祈りつづけ そのままやがてきみは眠ってしまった。 目が覚めたら ここはどこなのかと ふと周り見わたしてまた眠りはじめるのか ちょっとそこまで 出かけたんだろ 風がひとすじ きみを連れて消えていった Bye Bye Bye Bye Bye Bye 雨は涙を 静かに消し去った もう逃げやしない ぼくはここにいるよ もう少しきみと話がしたかった 言うなれば 正しいことを だれもが立派にやり遂げられたかじゃない そんなことより もう少しの 確かな意見を持てたらその方がいいな Bye Bye Bye Bye Bye Bye | 森は生きている | 直枝政広 | 直枝政広 | | 手をあわせて 祈りつづけ そのままやがてきみは眠ってしまった。 目が覚めたら ここはどこなのかと ふと周り見わたしてまた眠りはじめるのか ちょっとそこまで 出かけたんだろ 風がひとすじ きみを連れて消えていった Bye Bye Bye Bye Bye Bye 雨は涙を 静かに消し去った もう逃げやしない ぼくはここにいるよ もう少しきみと話がしたかった 言うなれば 正しいことを だれもが立派にやり遂げられたかじゃない そんなことより もう少しの 確かな意見を持てたらその方がいいな Bye Bye Bye Bye Bye Bye |
光の蠱惑春の雨が降り続き 僕らは少し眠り過ぎたみたい 夢の狭間から 天邪鬼が影を投げる いつか来た湖の底に 橋が沈んでいるから ここで休もう 気づけば白い華奢な 君の腕が影を落とす 「夢の中へ誘う 足音は何色?」 | 森は生きている | 増村和彦 | 竹川悟史 | | 春の雨が降り続き 僕らは少し眠り過ぎたみたい 夢の狭間から 天邪鬼が影を投げる いつか来た湖の底に 橋が沈んでいるから ここで休もう 気づけば白い華奢な 君の腕が影を落とす 「夢の中へ誘う 足音は何色?」 |
日傘の蔭傘だけは高くさしたわ 虚ろな目で見詰めても そうやって 逃げてばかり その目に映むものなんて 私には興味はないの どこも 見てやしない 真似して地面を蹴飛ばしたの 子供の世界のように 途方もないことばかり 全部 同じなのね 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 傘だけは高くさしたわ 虚ろな目で見詰めても そうやって 逃げてばかり その目に映むものなんて 私には興味はないの どこも 見てやしない 真似して地面を蹴飛ばしたの 子供の世界のように 途方もないことばかり 全部 同じなのね 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの 真似して地面を蹴飛ばしたの |
日々の泡沫日々の泡に包み込まれ 君も僕も包み込まれ 泡となる 響く音に包み込まれ 空も海も包み込まれ 泡となる 山も川も自分も 包み込まれて | 森は生きている | 岡田拓郎 | 岡田拓郎 | | 日々の泡に包み込まれ 君も僕も包み込まれ 泡となる 響く音に包み込まれ 空も海も包み込まれ 泡となる 山も川も自分も 包み込まれて |
昼下がりの夢薄曇りを 風が運んで 街が空を飛ぶ 光と 走り出す少女の影は夢の中を生きているみたいです 走り出す記憶と時計の針は遊ぶ | 森は生きている | 増村和彦 | 竹川悟史 | | 薄曇りを 風が運んで 街が空を飛ぶ 光と 走り出す少女の影は夢の中を生きているみたいです 走り出す記憶と時計の針は遊ぶ |
プレリュード走り出す少女は 影に惹かれて 風に似て行ってしまったのです | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 走り出す少女は 影に惹かれて 風に似て行ってしまったのです |
ロンド靄に身を隠した 灰色の森は すべてふやけて 空も落ちていく それが急に部屋の 壁にすり替わって 英雄の半面が ちらちらしてる 小さな部屋は無数に散らばって 溜め息をつく「夜が更けるまでもう…」 輪郭を失った 四次元の街では 何も始まらず 何も終わらない 退屈も喧騒も 初対面の顔で 人見知りして 通り過ぎていく 小さな部屋の臆病な光が 気づかれぬまま 消えていくまでもう… 不意に降りてきた 天鷲絨の布が すべて包んで 攫っていくと 張り巡らされた 糸に捕われた 時間は遠くへ 滲み始める 小さな部屋で並べた出鱈目が 次の扉に手を掛けるまでもう… | 森は生きている | 増村和彦 | 岡田拓郎 | | 靄に身を隠した 灰色の森は すべてふやけて 空も落ちていく それが急に部屋の 壁にすり替わって 英雄の半面が ちらちらしてる 小さな部屋は無数に散らばって 溜め息をつく「夜が更けるまでもう…」 輪郭を失った 四次元の街では 何も始まらず 何も終わらない 退屈も喧騒も 初対面の顔で 人見知りして 通り過ぎていく 小さな部屋の臆病な光が 気づかれぬまま 消えていくまでもう… 不意に降りてきた 天鷲絨の布が すべて包んで 攫っていくと 張り巡らされた 糸に捕われた 時間は遠くへ 滲み始める 小さな部屋で並べた出鱈目が 次の扉に手を掛けるまでもう… |