朝顔の詩俺がおふくろに連れられて縁日とやらに行ったのは、 あれはいくつの年だったろう……俺ァ片親育ちの無口なガキだった。 氷 綿菓子 金魚すくい アセチレン臭い人混みの中 おふくろの袖を引っぱりながら 珍しく俺ははしゃいでいた そん時ねだった朝顔の鉢 蕾の数さえ覚えているぜ まだ若かった時のおふくろの たった一つの想い出の花 それから毎年、俺の家には朝顔が絶えたことはなかった。 いろんな花が咲いたけど……俺ァ……赤い花が好きだった。 十四の年のむし暑い夜 気ままに行った旅にも倦きて ふらりと家に帰ってみたら そこだけ明るいおふくろの部屋 かやの中には二つの影が…… 俺はむしょうに腹立たしくて 明日にも咲きそな朝顔ひねり そのまま一人で家を出たのさ あれから何年たったろう。 朝顔の季節は何度も過ぎ忘れたことのないおふくろだけど ……俺ァ……便りの一本も出さなかった。 誰にも話ができないような ひどい生活(くらし)をしてきた末に 今じゃ縁日渡り歩く そんな男になっていたのさ 馴んだ女も少しはいたが 世帯持つ気にゃなれずじまいさ 夢に見る夜のおふくろの顔 寂しそうに笑っていたっけ 忘れられない朝顔の家に思いきって帰ってきたが、 はずされたまんまの表札の跡 ……おふくろは……もう生きちゃいなかった。 想い出しみつく柱の影に 俺は一人でたたずんでいた 今朝は朝顔たくさん咲いたよ 聞こえてきそうなやさしいあの声 拳に伝わる熱い涙を 見せる人はもういないのか 夏草高く荒れた庭に 朝顔一つ咲いていたのさ 拳に伝わる熱い涙を 見せる人はもういないのか 夏草高く荒れた庭に 朝顔一つ咲いていたのさ | 高倉健 | 阿木燿子 | 宇崎竜童 | 竜崎孝路 | 俺がおふくろに連れられて縁日とやらに行ったのは、 あれはいくつの年だったろう……俺ァ片親育ちの無口なガキだった。 氷 綿菓子 金魚すくい アセチレン臭い人混みの中 おふくろの袖を引っぱりながら 珍しく俺ははしゃいでいた そん時ねだった朝顔の鉢 蕾の数さえ覚えているぜ まだ若かった時のおふくろの たった一つの想い出の花 それから毎年、俺の家には朝顔が絶えたことはなかった。 いろんな花が咲いたけど……俺ァ……赤い花が好きだった。 十四の年のむし暑い夜 気ままに行った旅にも倦きて ふらりと家に帰ってみたら そこだけ明るいおふくろの部屋 かやの中には二つの影が…… 俺はむしょうに腹立たしくて 明日にも咲きそな朝顔ひねり そのまま一人で家を出たのさ あれから何年たったろう。 朝顔の季節は何度も過ぎ忘れたことのないおふくろだけど ……俺ァ……便りの一本も出さなかった。 誰にも話ができないような ひどい生活(くらし)をしてきた末に 今じゃ縁日渡り歩く そんな男になっていたのさ 馴んだ女も少しはいたが 世帯持つ気にゃなれずじまいさ 夢に見る夜のおふくろの顔 寂しそうに笑っていたっけ 忘れられない朝顔の家に思いきって帰ってきたが、 はずされたまんまの表札の跡 ……おふくろは……もう生きちゃいなかった。 想い出しみつく柱の影に 俺は一人でたたずんでいた 今朝は朝顔たくさん咲いたよ 聞こえてきそうなやさしいあの声 拳に伝わる熱い涙を 見せる人はもういないのか 夏草高く荒れた庭に 朝顔一つ咲いていたのさ 拳に伝わる熱い涙を 見せる人はもういないのか 夏草高く荒れた庭に 朝顔一つ咲いていたのさ |
網走番外地 春に春に追われし 花も散る 酒(きす)ひけ 酒(きす)ひけ 酒(きす)暮れて どうせ 俺らの行く先は その名も 網走番外地 キラリ キラリ光った 流れ星 燃える この身は北の果て 姓は誰々 名は誰々 その名も 網走番外地 遥か遥か 彼方にゃ オホーツク 紅い 真っ紅な ハマナスが 海を見てます 泣いてます その名も 網走番外地 追われ追われ この身を故里で かばってくれた 可愛いい娘 かけてやりたや 優(やさ)言葉 今の 俺らじゃ ままならぬ | 高倉健 | タカオ・カンベ | 不詳 | | 春に春に追われし 花も散る 酒(きす)ひけ 酒(きす)ひけ 酒(きす)暮れて どうせ 俺らの行く先は その名も 網走番外地 キラリ キラリ光った 流れ星 燃える この身は北の果て 姓は誰々 名は誰々 その名も 網走番外地 遥か遥か 彼方にゃ オホーツク 紅い 真っ紅な ハマナスが 海を見てます 泣いてます その名も 網走番外地 追われ追われ この身を故里で かばってくれた 可愛いい娘 かけてやりたや 優(やさ)言葉 今の 俺らじゃ ままならぬ |
網走番外地馬鹿(ばか)を 馬鹿を承知の この稼業(かぎょう) 赤い夕陽(ゆうひ)に 背を向けて 無理に笑った 渡り鳥 その名も網走(あばしり)番外地 きらり きらり流れた ひとつ星 どうせどこかで 消える奴(やつ) ぐれた俺(おい)らの 身のはてを 泣いてくれるは あの娘(こ)だけ 流れ 流れこの身を ふるさとの うるむ灯(あかり)に おふくろが 消えて浮かんで また消えた その名も網走番外地 呼んで 呼んでみたとて さいはての 遠い海鳴り 風の音 せめて真赤(まっか)に 燃えて咲く 花になりたや はまなすの | 高倉健 | 矢野亮 | 不詳 | 八木正生 | 馬鹿(ばか)を 馬鹿を承知の この稼業(かぎょう) 赤い夕陽(ゆうひ)に 背を向けて 無理に笑った 渡り鳥 その名も網走(あばしり)番外地 きらり きらり流れた ひとつ星 どうせどこかで 消える奴(やつ) ぐれた俺(おい)らの 身のはてを 泣いてくれるは あの娘(こ)だけ 流れ 流れこの身を ふるさとの うるむ灯(あかり)に おふくろが 消えて浮かんで また消えた その名も網走番外地 呼んで 呼んでみたとて さいはての 遠い海鳴り 風の音 せめて真赤(まっか)に 燃えて咲く 花になりたや はまなすの |
海を渡る女(野暮は言うなよ)野暮は言うなよ このままこれで 逢えぬはずなど あるものか 泣いちゃいけない ないちゃいけない 一足先に 海を渡れと 言うことさ 好いていりゃこそ 男の俺も こんな身なりじゃ 恥ずかしい そっと瞼を そっと瞼をつむってごらん 嘆きも夢に 変わるだろ ひとりで海を 渡ると思や とてもさらばが 言えなんだ こんな辛さも こんな辛さも しばしの辛抱 何も聞かずに行ってくれ | 高倉健 | 東條寿三郎 | 飯田三郎 | | 野暮は言うなよ このままこれで 逢えぬはずなど あるものか 泣いちゃいけない ないちゃいけない 一足先に 海を渡れと 言うことさ 好いていりゃこそ 男の俺も こんな身なりじゃ 恥ずかしい そっと瞼を そっと瞼をつむってごらん 嘆きも夢に 変わるだろ ひとりで海を 渡ると思や とてもさらばが 言えなんだ こんな辛さも こんな辛さも しばしの辛抱 何も聞かずに行ってくれ |
男涙の雨が降る冷たい雨の 街角で 俺を待つやら いつまでも 馬鹿な奴だと 言ってはみたが 胸に沁み込む 切なさを 叩きつけたい じれったさ 真底ほれて ほれぬいた 俺の気持ちにゃ うそはない 濡れてしょんぼり たたずむ影を わざとつれなく 捨ててゆく それがせめての 置き土産 冷たい雨が 街角で 俺に代わって 泣くだろう うしろふり向きゃ 男がすたる どうせまた逢う 星もない あばよ達者で いるんだぜ | 高倉健 | 矢野亮 | 水城一狼 | | 冷たい雨の 街角で 俺を待つやら いつまでも 馬鹿な奴だと 言ってはみたが 胸に沁み込む 切なさを 叩きつけたい じれったさ 真底ほれて ほれぬいた 俺の気持ちにゃ うそはない 濡れてしょんぼり たたずむ影を わざとつれなく 捨ててゆく それがせめての 置き土産 冷たい雨が 街角で 俺に代わって 泣くだろう うしろふり向きゃ 男がすたる どうせまた逢う 星もない あばよ達者で いるんだぜ |
男なら 男なら 男なら 未練のこすな 昔の夢に もとをただせば 裸じゃないか 度胸ひとつで 押してゆけ 男なら やってみな 男なら 男なら 七つころんで 八つで起きる 思い直せば 愉快な世界 若い心は デカク持て 男なら やってみな 男なら 男なら 愚痴は言うまい 嘆いちゃならぬ それで済まなきゃ 人形のように 顔で泣かずに 腹で泣け 男なら やってみな 男なら 男なら 雨も嵐も 恐れてなろか どんと乗り切れ 浮世の波を 船は男の 意気でやる 男なら やってみな | 高倉健 | 西岡水朗 | 草笛圭三 | | 男なら 男なら 未練のこすな 昔の夢に もとをただせば 裸じゃないか 度胸ひとつで 押してゆけ 男なら やってみな 男なら 男なら 七つころんで 八つで起きる 思い直せば 愉快な世界 若い心は デカク持て 男なら やってみな 男なら 男なら 愚痴は言うまい 嘆いちゃならぬ それで済まなきゃ 人形のように 顔で泣かずに 腹で泣け 男なら やってみな 男なら 男なら 雨も嵐も 恐れてなろか どんと乗り切れ 浮世の波を 船は男の 意気でやる 男なら やってみな |
男の裏町暗い夜ふけの 窓べにすがり 星もない空 泣き泣き呼んだ 村の小径で 遊んだころは 十七、八の まだ俺ァがきだった こんな冷たい 世間と知らず どこではぐれた 裏町ぐらし 夢を抱いて 出て来たころは 十七、八の まだ俺ァがきだった 胸を濡らした あの娘の涙 好きと素直に なぜ言えなんだ 祭り囃子に 浮かれたころは 十七、八の まだ俺ァがきだった 風にちぎれる 夜汽車の汽笛 追えば恋しい 故郷が浮かぶ 飛んで行きたい あのころあの日 十七、八の まだ俺ァがきだった | 高倉健 | 矢野亮 | 不詳 | | 暗い夜ふけの 窓べにすがり 星もない空 泣き泣き呼んだ 村の小径で 遊んだころは 十七、八の まだ俺ァがきだった こんな冷たい 世間と知らず どこではぐれた 裏町ぐらし 夢を抱いて 出て来たころは 十七、八の まだ俺ァがきだった 胸を濡らした あの娘の涙 好きと素直に なぜ言えなんだ 祭り囃子に 浮かれたころは 十七、八の まだ俺ァがきだった 風にちぎれる 夜汽車の汽笛 追えば恋しい 故郷が浮かぶ 飛んで行きたい あのころあの日 十七、八の まだ俺ァがきだった |
男の誓い生まれも育ちも 別々だけど 死ぬときゃいっしょと 言ったじゃないか 俺とお前の 握るこの手を ふたつに 切ろと 男の誓いは 鉄よりかたい 隅田の夜風を 素肌に受けて 流れに重ねて 写した笑顔 姿かたちは 変わる浮世に やつれちゃいても 胸にはあの日の 血潮が燃える 行く道ァ同じさ あとへは退かぬ 生きるか死ぬかは お天道まかせ 極道者でも 一度ぐらいは 世間のために 命を張るんだ 男をかけて | 高倉健 | 矢野亮 | 水城一狼 | | 生まれも育ちも 別々だけど 死ぬときゃいっしょと 言ったじゃないか 俺とお前の 握るこの手を ふたつに 切ろと 男の誓いは 鉄よりかたい 隅田の夜風を 素肌に受けて 流れに重ねて 写した笑顔 姿かたちは 変わる浮世に やつれちゃいても 胸にはあの日の 血潮が燃える 行く道ァ同じさ あとへは退かぬ 生きるか死ぬかは お天道まかせ 極道者でも 一度ぐらいは 世間のために 命を張るんだ 男をかけて |
男の忘れもの私ですか? いいえ 忘れものばかりですよ 悔いのないようにっていつも 自分に云いきかしては来たんですが…… でも こんなもんでしょう これからも これから先も同じことのくり返しが 続くんでしょうね 一つ二つ三つと 数えりゃきりがない 忘れものだらけの 俺の人生よ 心とどかず 別れた友に 俺が悪かったと 一言 言いたい 胸が痛みながらも 時は遠ざかる 愛しく想った女もいました やすらぎを願った時もあります 人並みには…… 信号が青になってタクシーが走り出してから あいつと会ってないんです 人を泣かすことだけ すまいと誓ったが 忘れものだらけの 俺の人生よ 好いていながら 無理矢理道に 棄てたあの女の 消息知りたい 心あせりながらも 時は遠ざかる 生きていると思えば 文句も言えないが 忘れものだらけの 俺の人生よ せめてお袋 元気なうちに かけてやりたかった やさしい言葉を 涙にじみながらも 時は遠ざかる | 高倉健 | なかにし礼・中山大三郎・喜多条忠 | なかにし礼・中山大三郎・喜多条忠 | 若草恵 | 私ですか? いいえ 忘れものばかりですよ 悔いのないようにっていつも 自分に云いきかしては来たんですが…… でも こんなもんでしょう これからも これから先も同じことのくり返しが 続くんでしょうね 一つ二つ三つと 数えりゃきりがない 忘れものだらけの 俺の人生よ 心とどかず 別れた友に 俺が悪かったと 一言 言いたい 胸が痛みながらも 時は遠ざかる 愛しく想った女もいました やすらぎを願った時もあります 人並みには…… 信号が青になってタクシーが走り出してから あいつと会ってないんです 人を泣かすことだけ すまいと誓ったが 忘れものだらけの 俺の人生よ 好いていながら 無理矢理道に 棄てたあの女の 消息知りたい 心あせりながらも 時は遠ざかる 生きていると思えば 文句も言えないが 忘れものだらけの 俺の人生よ せめてお袋 元気なうちに かけてやりたかった やさしい言葉を 涙にじみながらも 時は遠ざかる |
俺が選んだ道やると言ったら どこまでも 廻れ右など ごめんだぜ 男一匹 生命(いのち)をかけて 俺が選んだ この道だ どこではてよと 悔いはない 止めてくれるな 無駄なこと しょせん女にゃ わかるまい 情無用と 承知の上で 俺が選んだ この道だ そっと行かせな このまんま 咲いた花なら 散るものを 風にうらみは さらにない こんな浮世に 未練はもたぬ 俺が選んだ この道だ これでいいのさ ほっときな | 高倉健 | 矢野亮 | 水城一狼 | | やると言ったら どこまでも 廻れ右など ごめんだぜ 男一匹 生命(いのち)をかけて 俺が選んだ この道だ どこではてよと 悔いはない 止めてくれるな 無駄なこと しょせん女にゃ わかるまい 情無用と 承知の上で 俺が選んだ この道だ そっと行かせな このまんま 咲いた花なら 散るものを 風にうらみは さらにない こんな浮世に 未練はもたぬ 俺が選んだ この道だ これでいいのさ ほっときな |
唐獅子牡丹 義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界 幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中(せな)で吠えてる 唐獅子牡丹 親の意見を 承知ですねて 曲がりくねった 六区の風よ つもり重ねた 不孝のかずを なんと詫(わ)びよか おふくろに 背中で泣いてる 唐獅子牡丹 おぼろ月でも 隅田の水に 昔ながらの 濁らぬ光 やがて夜明けの 来るそれまでは 意地でささえる 夢ひとつ 背中で呼んでる 唐獅子牡丹 | 高倉健 | 水城一狼・矢野亮 | 水城一狼 | 白石十四男 | 義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界 幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中(せな)で吠えてる 唐獅子牡丹 親の意見を 承知ですねて 曲がりくねった 六区の風よ つもり重ねた 不孝のかずを なんと詫(わ)びよか おふくろに 背中で泣いてる 唐獅子牡丹 おぼろ月でも 隅田の水に 昔ながらの 濁らぬ光 やがて夜明けの 来るそれまでは 意地でささえる 夢ひとつ 背中で呼んでる 唐獅子牡丹 |
霧の波止場逢ったら別れが 来るものさ そいつが波止場の 運命だよ 海の男は 薄情者と うらんでくれるな 鴎どり うらんでくれるな 鴎どり 待ちなと行ったら うそになる 俺らの行く先ァ 汽船まかせ 頬にきらりと 光った泪 冷たい夜霧の せいなんだ 冷たい夜霧の せいなんだ 追っても無駄だぜ 諦めな いつかは翼も 乾くだろ 海の男と 鴎の恋の 終りを急かせて 銅鑼が鳴る 終りを急かせて 銅鑼が鳴る | 高倉健 | 矢野亮 | 白石十四男 | | 逢ったら別れが 来るものさ そいつが波止場の 運命だよ 海の男は 薄情者と うらんでくれるな 鴎どり うらんでくれるな 鴎どり 待ちなと行ったら うそになる 俺らの行く先ァ 汽船まかせ 頬にきらりと 光った泪 冷たい夜霧の せいなんだ 冷たい夜霧の せいなんだ 追っても無駄だぜ 諦めな いつかは翼も 乾くだろ 海の男と 鴎の恋の 終りを急かせて 銅鑼が鳴る 終りを急かせて 銅鑼が鳴る |
時代おくれの酒場 「人が心に思うことは誰も止めることはできない…」 この街には 不似合いな 時代おくれの この酒場に 今夜もやってくるのは ちょっと疲れた男達 風の寒さを しのばせた 背広姿の 男達 酔いがまわれば それぞれに 歌の一つもとびだして 歌を歌えば 血がさわぐ せつなさに酔いどれて 気がつけば 窓のすき間に 朝の気配が しのび込む どこかに何か ありそうな そんな気がして 俺はこんなところにいつまでも いるんじゃないと この町には 住みあきて 俺の女も どこかへ行った あいつ今頃どこでどうして どんな男といるんだろ 夢の苦さを 知りもせず 夢をさがしているんだろ ルルル… | 高倉健 | 加藤登紀子 | 加藤登紀子 | | 「人が心に思うことは誰も止めることはできない…」 この街には 不似合いな 時代おくれの この酒場に 今夜もやってくるのは ちょっと疲れた男達 風の寒さを しのばせた 背広姿の 男達 酔いがまわれば それぞれに 歌の一つもとびだして 歌を歌えば 血がさわぐ せつなさに酔いどれて 気がつけば 窓のすき間に 朝の気配が しのび込む どこかに何か ありそうな そんな気がして 俺はこんなところにいつまでも いるんじゃないと この町には 住みあきて 俺の女も どこかへ行った あいつ今頃どこでどうして どんな男といるんだろ 夢の苦さを 知りもせず 夢をさがしているんだろ ルルル… |
その灯を消すな消しちゃいけない その灯を消すな それでなくても 辛い夜 濡れたまンまの お前の顔が せめて名残りさ 抱いて行こ (セリフ) 憎いなあ 運命(うんめい)って奴は…… 泥んこの俺たちが やっと幸せになれると思った時にゃ もう別れなきゃならないなんて、 だがどんなに遠くはなれてたって お前の思い出だけは灯りのように胸に点ってるぜ 無理は承知だ 泣くのも承知 ささえきれない 運命(さだめ)だよ もしも夜更けに 霧笛がなれば 俺の声だと きいてくれ 消しちゃいけない その灯を消すな 消せばお前が 遠くなる よろけよろける 重たい靴に 船が出るぜと 霧がくる | 高倉健 | 横井弘 | 飯田三郎 | | 消しちゃいけない その灯を消すな それでなくても 辛い夜 濡れたまンまの お前の顔が せめて名残りさ 抱いて行こ (セリフ) 憎いなあ 運命(うんめい)って奴は…… 泥んこの俺たちが やっと幸せになれると思った時にゃ もう別れなきゃならないなんて、 だがどんなに遠くはなれてたって お前の思い出だけは灯りのように胸に点ってるぜ 無理は承知だ 泣くのも承知 ささえきれない 運命(さだめ)だよ もしも夜更けに 霧笛がなれば 俺の声だと きいてくれ 消しちゃいけない その灯を消すな 消せばお前が 遠くなる よろけよろける 重たい靴に 船が出るぜと 霧がくる |
旅人捨てたつもりの影法師 崩れ落ちそなカーサの道を 歩く背中に風が吹く 誰も知らない旅人の 誰も知らない物語 聞いてくれるかドーモの鐘よ 知らん、知らんと鳴るばかり 消えた月日は数えない 顔を背けたシャトルの街は はぐれ落ち葉のふきだまり 涙見せない可愛さを 思いやれないばかやろう 泣いてくれるなバールの灯り 石の路地裏 迷い道 夜更け目が覚め眠られず 遠い異国のモテルの闇に 花の季節を思い出す あいつひとりが女かと 胸に聞かせるひとり旅 朝が来たのかバンドのかもめ 帰れ、帰れと今日も鳴く | 高倉健 | 小林亜星 | 小林亜星 | | 捨てたつもりの影法師 崩れ落ちそなカーサの道を 歩く背中に風が吹く 誰も知らない旅人の 誰も知らない物語 聞いてくれるかドーモの鐘よ 知らん、知らんと鳴るばかり 消えた月日は数えない 顔を背けたシャトルの街は はぐれ落ち葉のふきだまり 涙見せない可愛さを 思いやれないばかやろう 泣いてくれるなバールの灯り 石の路地裏 迷い道 夜更け目が覚め眠られず 遠い異国のモテルの闇に 花の季節を思い出す あいつひとりが女かと 胸に聞かせるひとり旅 朝が来たのかバンドのかもめ 帰れ、帰れと今日も鳴く |
対馬酒唄酒ば飲ませなっせ 冷やでもよかよ そこの茶わんでよ それでよか それでよか 胸ん中のよ 蛙(かわず)が鳴けばよ 唄ってやろうか 対馬唄 おやじゃ薩馬で おふくろ博多 酒の一升じゃ 酔いやせぬ 雨が降りだしたばい のれんをゆらす ポツリくるなら それもよか それもよか 惚れた女(おなご)が 恋しい晩はよ 天井のふし穴 数えてよ 酒ば飲ませなっせ 長尻りゃせんよ ぐらりきたなら それでよか それでよか 男だってな 泣きたいときはよ 人肌恋しい 枕唄 俺が死んだらよ 桜の下によ 骨ば埋めて 花見してよ | 高倉健 | 荒木とよひさ | 徳久広司 | 南郷達也 | 酒ば飲ませなっせ 冷やでもよかよ そこの茶わんでよ それでよか それでよか 胸ん中のよ 蛙(かわず)が鳴けばよ 唄ってやろうか 対馬唄 おやじゃ薩馬で おふくろ博多 酒の一升じゃ 酔いやせぬ 雨が降りだしたばい のれんをゆらす ポツリくるなら それもよか それもよか 惚れた女(おなご)が 恋しい晩はよ 天井のふし穴 数えてよ 酒ば飲ませなっせ 長尻りゃせんよ ぐらりきたなら それでよか それでよか 男だってな 泣きたいときはよ 人肌恋しい 枕唄 俺が死んだらよ 桜の下によ 骨ば埋めて 花見してよ |
泣かせるぜじゃまな奴なら 払って通る それが俺らの 性分さ 長いものには 巻かれろと 聞いたせりふが 泣かせるぜ 胸に沁み込む 泪のぬくみ とかく女は 苦手だよ 霧にしょんぼり 消えてゆく うしろ姿が 泣かせるぜ 裸一貫 生きてく道は どうせけわしい 坂つづき なまじ寝た子を 起こすよな 人の情けが 泣かせるぜ | 高倉健 | 矢野亮 | 白石十四男 | | じゃまな奴なら 払って通る それが俺らの 性分さ 長いものには 巻かれろと 聞いたせりふが 泣かせるぜ 胸に沁み込む 泪のぬくみ とかく女は 苦手だよ 霧にしょんぼり 消えてゆく うしろ姿が 泣かせるぜ 裸一貫 生きてく道は どうせけわしい 坂つづき なまじ寝た子を 起こすよな 人の情けが 泣かせるぜ |
流れの雲に流れの雲に きいてみた おいら明日は 何処へ行く そよ吹く風に きいてみた おいら明日は 何処へ行く 風がこたえた 雲にきけ 雲がこたえた 風にきけ どうせこの世の 寂しさを 知っていながら なぜにきく どこで死のうと 生きようと 泣いてくれてが あるじゃなし 天上 天下 ただひとり 頼れる奴は おれひとり | 高倉健 | 川内康範 | 渡久地政信 | 竜崎孝路 | 流れの雲に きいてみた おいら明日は 何処へ行く そよ吹く風に きいてみた おいら明日は 何処へ行く 風がこたえた 雲にきけ 雲がこたえた 風にきけ どうせこの世の 寂しさを 知っていながら なぜにきく どこで死のうと 生きようと 泣いてくれてが あるじゃなし 天上 天下 ただひとり 頼れる奴は おれひとり |
花と竜遠賀土手行きゃ 雁がなく 喧嘩ばくちに 明けくれて ゴンゾ稼業と 呼ばれていても 胸にいだいた 夢ひとつ | 高倉健 | 大次郎 | 深井大輔 | | 遠賀土手行きゃ 雁がなく 喧嘩ばくちに 明けくれて ゴンゾ稼業と 呼ばれていても 胸にいだいた 夢ひとつ |
ハノイの雨見ろよ この写真 おふくろの若い頃さ お前に 似てるだろう 一度 会わせたかったぜ 肩で息する 南の街に 今日も激しい 雨が降る 行かないぜ 心配するな どこへも 行かない 瞳にうつる 虹を見た ここはハノイのハンドゥオン 蓑笠姿も 村人の田植え唄も とっくに消えたのさ 俺の生まれた国では 涙かくして アオザイ揺れて 誰も恨まぬ 月が出る 捨てたんだ 昔のことは 一緒に踊ろう 旅は終わりにしたんだぜ ここはハノイの0番地 肩で息する 南の街に 今日も激しい 雨が降る 行かないぜ 心配するな どこへも 行かない 瞳にうつる 虹を見た ここはハノイのハンドゥオン | 高倉健 | 小林亜星 | 小林亜星 | 川口真 | 見ろよ この写真 おふくろの若い頃さ お前に 似てるだろう 一度 会わせたかったぜ 肩で息する 南の街に 今日も激しい 雨が降る 行かないぜ 心配するな どこへも 行かない 瞳にうつる 虹を見た ここはハノイのハンドゥオン 蓑笠姿も 村人の田植え唄も とっくに消えたのさ 俺の生まれた国では 涙かくして アオザイ揺れて 誰も恨まぬ 月が出る 捨てたんだ 昔のことは 一緒に踊ろう 旅は終わりにしたんだぜ ここはハノイの0番地 肩で息する 南の街に 今日も激しい 雨が降る 行かないぜ 心配するな どこへも 行かない 瞳にうつる 虹を見た ここはハノイのハンドゥオン |
望郷子守唄オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ 意見無用と世間をすねた バカな男の身にしみる 故郷(くに)のおっかさんの子守唄 オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ おどまおっかさんがあの山おらす おらすと思えば行こごたる おらすと思えば行こごたる オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ 意見無用と世間をすねた バカな男の身にしみる 故郷のおっかさんの子守唄 | 高倉健 | 大次郎 | 深井大輔・補作曲:渡辺岳夫 | | オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ 意見無用と世間をすねた バカな男の身にしみる 故郷(くに)のおっかさんの子守唄 オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ おどまおっかさんがあの山おらす おらすと思えば行こごたる おらすと思えば行こごたる オロロン オロロン オロロンバイ ネンネン ネンネン ネンネンバイ 意見無用と世間をすねた バカな男の身にしみる 故郷のおっかさんの子守唄 |
未練じゃないか暗い酒場の 片隅で そっと寄せ合う 肩と肩 別れたくない 別れにゃならぬ 未練たらしい この俺を 陰でだれかが 笑うだろ こんなしがない 男には 恋は柄でも ないものさ 泣いてくれるな 泣かれりゃ弱い じっと耐えた 強がりは どうせいつまで もつものか 挙げたグラスに キラキラと 揺れて消えてく 夢の泡 何も言うまい 言わずにおきな 好きといまさら 知ったとて どうもなりゃせぬ 辛いだけ | 高倉健 | 矢野亮 | 白石十四男 | | 暗い酒場の 片隅で そっと寄せ合う 肩と肩 別れたくない 別れにゃならぬ 未練たらしい この俺を 陰でだれかが 笑うだろ こんなしがない 男には 恋は柄でも ないものさ 泣いてくれるな 泣かれりゃ弱い じっと耐えた 強がりは どうせいつまで もつものか 挙げたグラスに キラキラと 揺れて消えてく 夢の泡 何も言うまい 言わずにおきな 好きといまさら 知ったとて どうもなりゃせぬ 辛いだけ |
約束約束は 約束は 自分の胸にすればいい 木槿の花が咲くころに あいつと帰ろう あの故郷へ 街を後に 夜が明ける 陽が昇る また 夜になる 修羅の月日の 空耳か 誰かが歌う 子守歌 約束は 約束は 口に出さないひとりごと ガラスを叩く 雨の音 あいつと聞いてる 命 乾いて 街にまみれ 陽が沈む 目をつぶる また 朝が来る 夜の東京 けもの道 路地の向うに 虹の橋 心をはかる 秤はない 花が散る 葉が落ちる また 春が来る 地獄 抜ければ 陽炎に 逃げ水 揺れる ベイシティー | 高倉健 | 小林亜星 | 小林亜星 | | 約束は 約束は 自分の胸にすればいい 木槿の花が咲くころに あいつと帰ろう あの故郷へ 街を後に 夜が明ける 陽が昇る また 夜になる 修羅の月日の 空耳か 誰かが歌う 子守歌 約束は 約束は 口に出さないひとりごと ガラスを叩く 雨の音 あいつと聞いてる 命 乾いて 街にまみれ 陽が沈む 目をつぶる また 朝が来る 夜の東京 けもの道 路地の向うに 虹の橋 心をはかる 秤はない 花が散る 葉が落ちる また 春が来る 地獄 抜ければ 陽炎に 逃げ水 揺れる ベイシティー |
横顔ともる灯に 横顔見せて 俺はひとりで 街を行く 女心は 知るまいと 言った あの娘の あの娘の 別れの言葉 無理に作った ポーカー・フェイス じっと耐えた 胸のなか せめて祈った 幸福は どうせ あの娘にゃ あの娘にゃ とどかぬ思い 霧にかくした 横顔見れば 頬に涙の 跡がある 男なりゃこそ ただ一度 ほれた あの娘を あの娘を 棄ててく辛さ | 高倉健 | 矢野亮 | 飯田三郎 | | ともる灯に 横顔見せて 俺はひとりで 街を行く 女心は 知るまいと 言った あの娘の あの娘の 別れの言葉 無理に作った ポーカー・フェイス じっと耐えた 胸のなか せめて祈った 幸福は どうせ あの娘にゃ あの娘にゃ とどかぬ思い 霧にかくした 横顔見れば 頬に涙の 跡がある 男なりゃこそ ただ一度 ほれた あの娘を あの娘を 棄ててく辛さ |