| 芳一受難人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 阿弥陀寺の 丑三つ刻 草木も皆 眠り落ちている 生ぬるい風 怪しい声 狐の火が 乱れ飛んでいる 巧みな調べ弾く お前がほしい 見事な音色出す お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 琵琶の響く 夜の墓場 卒塔婆たちが すすり泣いている 精も根も 尽き果てんと 天を仰ぎ 撥[ばち]をかき鳴らす 優しい顔をした お前がほしい 綺麗な声をした お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 観自在菩薩行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子 色不異空空不異色色即是空空即是色 受想行識亦復如是舎利子是諸法空相 亡霊ども 取り憑かれた 命の灯が 風に揺れている お釈迦様の 般若の経 体中に 墨で敷き詰める あはれを慰める お前がほしい 無念を紛らわす お前がほしい こっちへ来い 一緒に来い 恐れず来い 迷わず来い 芳一 羯諦羯諦波羅羯諦 波羅僧羯諦菩提薩婆訶 |
| 狼の黄昏人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 満月が泣いてる 昔を懐かしみ 断崖に佇む 狼と一緒に 月に吠えろ 愛なきものよ 夜を走れ 家なきものよ オゥオゥオゥオゥオゥ 声の限りに オゥオゥオゥオゥオゥ 星々が流れる 命をたずさえて 一匹でさすらう 狼を照らして 月に吠えろ 飢えたるものよ 夜を走れ 寂しきものよ オゥオゥオゥオゥオゥ 声の限りに オゥオゥオゥオゥオゥ 山肌が震える 夜露に濡れそぼち 真っ直ぐな眼[まなこ]の 狼を怖がり 月に吠えろ 荒ぶるものよ 夜を走れ 気高きものよ オゥオゥオゥオゥオゥ 声の限りに オゥオゥオゥオゥオゥ |
| 黄泉がえりの街人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 正法[しょうぼう]も像法[ぞうぼう]も 徒らに終わった 観音の功徳なき 今はただ末法 法忘れ慈悲忘れ 我勝ちに争い 欲まみれ金まみれ 成仏はもうない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 伴天連の福音も 逆しまに伝わる 復讐と審判に 人はただ慄[おのの]く 笑みを捨て愛を捨て 略奪に勤[いそ]しみ 剣を取り銃を取り 魂はもうない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 死人[しびと]どもが街を練り歩く 地獄絵図が街を塗り潰す 文明の発条[ぜんまい]が 厳かに巻かれる 隷属と洗脳に 誰もただ従う 山を切り森を切り 獣[けだもの]を追いやり 家を建て蔵を建て 神の影とてない 墓が持ち上がる 黴が舞い上がる 骨がぞめき出す 死者が蘇る街 |
| 三途の川人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | みんな渡る この世別れ いつか渡る 旅立つ日に 心しよう 慌てぬよう 知っておこう 恐れぬよう あの世に架かる はるかな流れ それが三途の川 渡る時は ひとりぼっち でも心は 清々しい 渡る先は どこでもない 君の望む 世界へ行く あの世に架かる はるかな流れ それが三途の川 誰もが渡る ひとりっきりで 泣いた人は 涙が待つ 悔いた人は 苦渋が待つ 笑っておこう 終わりはない 生きておこう 旅立つまで あの世に架かる はるかな流れ それが三途の川 みんな渡る この世別れ いつか渡る 旅立つ日に |
| 地獄の球宴人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 暴れる獄卒が まさかり振り回わし 生首ふっ飛んだ ぶるんぶるん 仲間の獄卒が すかさず打ち返し 虚空に舞い上がった ぐるんぐるん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 怒れる獄卒が まさかりぶん投げて 生首転げ落ちた ごろんごろん 隣の獄卒が さっそく足蹴にして 業火に命中した ばちんばちん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 狂える獄卒が まさかり振り下ろし 生首はじけ飛んだ しゅるんしゅるん 気の合う獄卒が すばやく受け止めて 油に投げ込んだ ざぶんざぶん 生首が絶叫する 生首が号泣する 生首が痙攣する 生首が悶絶する 風が吹いたら元通り 血膿を吐き出した生首 目玉が飛び出した生首 頭蓋を剥き出した生首 中味がはみ出した生首 風が吹いたら元通り |
| ダイナマイト(筋肉少女帯Version)筋肉少女帯 | 筋肉少女帯 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ダイナマイトを知ってるかい とっても楽しい権利物 「3」で当たれば小当たり 「7」で当たれば大当たり!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトが大当たり やればできるんだ君だって 単発のまれて終わりです 俺の頭はダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトをやるために 免許証質入れ金借りた 今じゃ無免許無一文 それでもやりますダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン 10連チャン 11連チャン 12連チャン 13連チャン |
| 地獄への招待状人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | まんず地獄はいいどごだ 飯(まんま)なんぼでも食(か)へでける 湯さ浸かれば真っ赤っか 糞(ばば)その辺さ垂れ流し あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ まんず閻魔はいい奴だ えふりこぎはお呼びでない 首チョンパに鬼ごっこ 見(め)っけ女(あま)っこオッペケペー あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ まんず鬼達いい人だ ぶった斬りして笑ってる なんぼ臓腑(はらわだ)取られでも 死んでいるがら死なねんだ あずましじゃ おもしれじゃ あんだも来てみろ |
| 悲しき図書館員人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 本の虫とかいうのは 誰をおいても彼しかいない 娘の影を追うより 目録の中愉悦に浸る 寝ても覚めても 頁をめくり 朝な夕なに 栞(しおり)をはさみ 今日も今日とて 机で眠れる 悲しき図書館員 マルキ・ド・サドに溺れて シェイクスピアと人生語る 春夏秋の息吹は ワーズワースを読んだら足りる 寝ても覚めても 頁をめくり 朝な夕なに 栞(しおり)をはさみ 今日も今日とて 机で眠れる 悲しき図書館員 戦の声が聞こえる だけど彼奴(あいつ)は書棚にひとり 心配事といったら 読書眼鏡は割らないように 寝ても覚めても 頁をめくり 朝な夕なに 栞(しおり)をはさみ 今日も今日とて 机で眠れる 悲しき図書館員 |
| 地獄の料理人人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 俺は地獄の大将 庖丁握る赤鬼 暴れる鬼にたらふく食らわせる 彷徨う亡者睨み 旬の食材見抜く 腹黒い程苦みが効いて美味い 焼いて食うか 磔炙り焼き 茹でて食うか 血の池で寄せ鍋 俺は地獄で走る 逃げる亡者を追って 怯える顔が何よりの御馳走 吊るし切りで下ろして 皿に生首盛って 活け作りからこぼれる断末魔 焼いて食うか 串刺しの蒲焼き 茹でて食うか 釜茹でのしゃぶしゃぶ 泣いたって 喚(わめ)いたって 悔いたって 嘆いたって 俺は地獄で歌う 出刃でリズムを刻み 俎(まないた)の上のたうつ亡者たち 叫び声が合いの手 呻き声が伴奏 苦痛に満ちた宴は終わらない 焼いて食うか 鉄板踊り食い 茹でて食うか 臼で引いたすり身 焼いて食うか 茹でて食うか 揚げて食うか 蒸して食うか 煮込んで食うか 炒めて食うか 刺身で食うか たたきで食うか |
| 生まれ出づる魂人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 気がついちまった 限界なんてないと 宇宙の果ても 死なんてものもないと 見えてるものは それぞれの夢 幻想 ないものを信じ 今日もまた右往左往 恐れるな 怖がるな 胸に手を 当てるだけでいい 悲しむな 苦しむな 胸の奥 生まれ出づる魂 目が覚めちまった 誰もが自由なのさ 不自由ってのは 名前や地位のことさ 迷ってる人 飢えてる人がいても 自由であれば 施しをあげられる 恐れるな 怖がるな 胸に手を 当てるだけでいい 悲しむな 苦しむな 胸の奥 生まれ出づる魂 誰も君にはなれない うらやむ気持ちは 捨てちまえ 何でも心は持ってる 欲しがる気持ちは 投げちまえ 愛はどこにもあるから モテたい気持ちは 放っちまえ 何にもしくじらないから 鬱な気持ちは 消しちまえ 心がそよぐ 身空が晴れる 捨てちまえ 投げちまえ 放っちまえ 消しちまえ 心がそよぐ 身空が晴れる 驚いちまった 何も手にしちゃいない 夢の中には どれも運べやしない あると思えば がんじがらめが生まれ ないと知ったら 永遠はすぐそこさ 恐れるな 怖がるな 胸に手を 当てるだけでいい 悲しむな 苦しむな ただ耳を 澄ますだけでいい 恐れるな 怖がるな 胸元に 帰るだけでいい 悲しむな 苦しむな 胸の奥 湧き上がる 立ち昇る 生まれ出づる魂 |
| ミス・アンドロイド人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 未開の森に守られ 静かに眠る美少女 有史以前の科学の 粋を集めたロボット まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 目が覚めたら その 目は何見る 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド ミイラの下僕(しもべ)従え 石の棺で夢見る 人の歴史の興亡 宇宙の果ての盛衰 まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 口開いたら その 声何言う 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド フランケンシュタインでも 赤い唇奪えない 考古学者の論理は お髪(ぐし)ひとつも解けない まだ 目が覚めない なぜ 目を開けない もし 手が動けば その 指何指す 愛情を与えねば 魂を授けねば 起き上がれない 愛情が灯るまで 魂を宿すまで ミス・アンドロイド |
| がらんどうの地球人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 夕焼け雲が 不穏に浮かんでいる 波打ち際は 異形の魚の群れ 真夏の雹と 真冬の大洪水 昨日の夢が 漸次(ぜんじ) 崩れてゆく がらんどうの地球 ルールは何もない 吹きさらしの地平 モラルの影もない 時計の針が 終わりを刻んでいる パンの値打ちは 札束でも足らない 同じ色した 肌同士が争い 今日の友さえ 明日の敵(かたき)になる がらんどうの地球 ルールは何もない 吹きさらしの地平 モラルの影もない 形あるもの それは皆まぼろし そう 形なきもの それだけが永遠 そう 手に取れるもの それは皆まやかし そう 手に取れぬもの それだけが真実 そう 砲火の声が 正義を叫んでいる 瓦礫の山は 誰をもねぎらわない たばかるだけの 歴史が閉じれたなら 新たな夢を 荒野に紡げるだろう がらんどうの地球 ルールは何もない 吹きさらしの地平 モラルの影もない |
| 地獄変人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 地獄の叫びを 聞いてみたくないか 悩み疲れた君に ふさわしい贈り物 後悔をする度 言い訳をする度 執着をする度 逆上をする度 真っ赤に染まる 責め苦の血潮 真っ赤に燃える 業火の炎 悪魔の狼煙を 垣間見たくないか 疑り深い君に ぴったりの絵巻物 陰険になる程 傲慢になる程 |
| ねぷたのもんどりこ人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 頭割られて飛び出す目玉 矢尻【やじり】えぐって潰れる目玉 鴉つついて転がる目玉 土にドロリとこぼれる目玉 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 ねぷたのもんどりこ ヤレヤレヤレヤ ねぷたのもんどりこ ヤレヤレヤレヤ 太刀の一振り跳ねる生首 野辺に串刺し睨む生首 姫が持つ手で喘ぐ生首 犬がくわえて嘆く生首 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 ゆらゆらと ねぷた来る ぞろぞろと ねぷた来る 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 むかでの住処苔むす髑髏 谷を埋めて誘う髑髏 月の光に囁く髑髏 血潮を浴びて悦ぶ髑髏 空が鳴る 道が沸く 火が踊る じゃわめく血 |
| 猫じゃ猫じゃ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 猫じゃ猫じゃとおっしゃるが 猫は下駄など履きやせぬ 二人水性【みずしょう】の忍び逢い 修羅の果てまでサンサノサ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ 下戸じゃ下戸じゃとおっしゃるが 下戸は銚子で飲みやせぬ 三味の調子で探り合い 差しつ差されつヨイヤサカ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ 明けの烏 鳴くのはおよし 夢の刻【とき】が 醒めるというに デコじゃデコじゃとおっしゃるが デコで豆腐は断ちやせぬ 風邪の熱なら下がりょうが 想いは冷めぬションガイナ お月さん沈むでないよ 恋の路照らしておくれ さよう この世が苦しみなれば しよう 恋を こちゃえ こちゃえ さよう あの世が安らぎなれば みよう 夢を こちゃえ こちゃえ |
| 月のモナリザ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 永久に 背を向けた 月の裏には 悠久を 閲【けみ】しきた 霊廟がある 人類の 曙の 遥けく昔 彼方より 飛来した 客人【まれびと】の墓 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ 平安と 創造の 銀河から来た 永遠の 生命を 知らしめるため 人々が 気付くまで 眠り続ける 死の姿 装って 眠り続ける 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ 伝説の神々が 栄光を仄めかす 常しえの天国の 階【きざはし】にいるのだと 導けよ 誘えよ 月のモナリザ 幾度も 滅んでは 歴史が出来る 争いに 明け暮れて 砂塵に帰る 月光は いつの世も 遍【あまね】く照らす 何事も もの言わず 優しく照らす 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月の女神 夜を 見守れよ 星を 光らせよ 永遠に 微笑めよ 月のモナリザ |
| 人生万歳人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | すべては君の思うまま すべては君のなすがまま 怒【いか】ればさらに怒られる 笑えば笑みに包まれる 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! すべては君の願うまま すべては君のするがまま 恨めばさらに恨まれる 許せばもっと許される 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! 歩け 道ある限り 進め 道なき道を 挑め 野越え山越え 歩け 陽のある限り 進め 渇きを堪【こら】え 挑め お天道様へ 歩け 生ある限り 進め 命を懸けて 挑め 燃え尽きるまで すべては君の望むまま すべては君のあるがまま 憎めばさらに憎まれる 愛せば愛に抱かれる 単純明快 面白き哉 痛快千万 素晴らしき哉 人生万歳! |
| あゝ東海よ今いずこ人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 波を遥けく東海の 瑞穂たなびく葦原(あしはら)の 美(うる)わしの 憧憬の御国 天を敬い人和して 分をわきまえ身を譲る 微笑みの 礼節の王土 あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 今いずこ あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 弥栄(いやさか)にあれ 胸に誠の益荒男(ますらお)の 忍ぶ意気地の潔さ 武士(もののふ)の 堪忍の矜持 己(おの)がことより人のこと 義理に仕える志 古えの 忠孝の教え あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 今いずこ あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 弥栄(いやさか)にあれ 夢よいずこ 誠よいずこ 明日よいずこ 昔よいずこ 三千世界の 陽はいつ出やる 花も恥じらう撫子(なでしこ)の 凛(りん)と咲いたる艶(あで)やかさ まほろばの 富士山(ふじやま)の姿 淋しき人には涙して 清らな朝には手を合わす 懐かしの 惻隠の心 あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 今いずこ あゝ東海よ あゝ東海よ あゝ東海よ 弥栄(いやさか)にあれ 夢よいずこ 誠よいずこ 明日よいずこ 昔よいずこ |
| ギラギラした世界人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 第三次元の世界が そろそろ終わりに近づいたんだぜ DNAから聞こえる ぼちぼち体を脱ぎ捨てようかな ほら 醜いものや卑しいものが蒸発するよ そう 恐ろしいものも無くなっちまう ほら 争いごとや疚(やま)しいことが消滅するよ そう おぞましいことも飛んでっちまう ギラギラしてる 来たるべき世界 mc2の理論が とうとう馬脚を現わしたんだぜ 太古の珍獣怪獣 ぞろぞろ繰り出し常識蹴散らす ほら 醜いものや卑しいものが蒸発するよ そう 恐ろしいものも無くなっちまう ほら 争いごとや疚(やま)しいことが消滅するよ そう おぞましいことも飛んでっちまう ギラギラしてる 来たるべき世界 ホモサピエンスの歴史が ようようフィナーレ告げ出したんだぜ bye bye シンクロニシティだらけで おろおろしててもすべてがばれるぜ ほら 醜いものや卑しいものが蒸発するよ そう 恐ろしいものも無くなっちまう ほら 争いごとや疚(やま)しいことが消滅するよ そう おぞましいことも飛んでっちまう |
| 泣げば山がらもっこ来る人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | おらは山出し田舎者(いながもん)だ 字だって知らねじゃ だども話コしかせでやる 一つ聞いでけ 山さカラスが帰るのだば おめも分がるべ 人も夜には寝ねばまいね 寝ねんでいれば 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る やづの正体分がんねけど まんずおっかね 屋敷入へられだどごろは皆 潰れでまたじゃ いづもいいごどしてる家(え)さは もっこは行がね 悪の薫(かま)りコ好ぎだんだべ おめもそんだのが 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る 人さ泥んこぶつけでみろ 手ハァ泥だらけ 人さ笑って喋ってみろ 笑みコ返るっきゃ おめのなすごど黙ってでも おめさ来るはんで そせば話コとっちぱれだ そろそろ寝ねば 山がらもっこ来るぞ 起ぎでばりいで 泣いでばしだば 逃げるがってもだめだ おめどそっくりの 顔したやづ来る 泣げば山がらもっこ来る 寝ねば山がらもっこ来る おめの顔したもっこ来る おめの振りしたもっこ来る 泣げば山がらもっこ来る 寝ねば山がらもっこ来る おめの顔したもっこ来る おめの振りしたもっこ来る 泣ぐな |
| 地底への逃亡人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | この世の終わりに 地の底への扉が開く 有史の前から 隠されたる神秘の岩戸 巨人と 賢者と 火星の叡知(えいち)のものした世界 骸(むくろ)を乗り越え 死をうらやみ迷路を下りる 地軸は傾き 刈り取られる子羊の群れ 嵐と 地鳴りと 死の灰の止むことのない地上 文明の香りは 栄光から泥土に落ちる 時空は消え去り 聞こえるのは神の声だけ 遥かな地底へ 新たな次元へ 果てなき試練へ 次なる頁へ |
| 地獄のロックバンド人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ギターは鎌 亡者を呵責の刻み ベースは斧 頭蓋を非情の破壊 ドラムは鎚 残滓を狂気の乱打 歌は裁く稲妻 冷徹の火 断罪 地獄のロックバンド 冥界のロックバンド ギターは鎌 ざく切り 悲痛の叫び ベースは斧 ぶつ切り 苦痛の唸り ドラムは鎚 こま切れ 恨みの呻き 歌は責める稲妻 逆鱗の火 雷鳴 地獄のロックバンド 冥界のロックバンド 悲しめ 怯えろ 苦しめ 悶えろ 吹け吹け 火の風 降れ降れ 血の雨 ギターは鎌 狡猾 いびる死神 ベースは斧 残忍 なぶる青鬼 ドラムは鎚 強暴 がぶる赤鬼 歌は襲う稲妻 業火の海 灰燼(かいじん) 地獄のロックバンド いびるギター なぶるベース がぶるドラム 冥界のロックバンド |
| 輝ける意志人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 生まれた時は皆 汚れのない心 甘い水を飲んで やがてくすんでゆく 生をつかんだ人は 自分を超えるだろう 鉄の鋼(はがね)は打たれて ますます強く輝く 君よ鋼の意志を胸に秘めろ 路傍の草は踏まれて ますます青く芽を吹く 君よ荊(いばら)の道をあえて歩け 寂しい時は皆 慰めを求める 一瞬のよろめきが 自由を遠ざける 愛に気付いた人は 自分を捨てるだろう 鉄の鋼(はがね)は打たれて ますます強く輝く 君よ鋼の意志を胸に秘めろ 路傍の草は踏まれて ますます青く芽を吹く 君よ荊(いばら)の道をあえて歩け 報われないからって けっして憎むんじゃない 救われないからって けっして泣くんじゃない その苦しさと悲しさ越えてこそ 君は勇気と誇りを手に入れる 鋼の輝きを 鉄の鋼(はがね)は打たれて ますます強く輝く 君よ鋼の意志を胸に秘めろ 路傍の草は踏まれて ますます青く芽を吹く 君よ荊(いばら)の道をあえて歩け |
| 至福のロックンロール人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 生きていることにくよくよしたなら こいつを聴いてごらんよ 破れちまった恋心だって たちどころにふさがるよ 放浪(さすらい)の 人々の新発明 悲しみを 喜びに変える そうさ 魔法のミュージック ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! 二千年前三千年前 賢い時が続いた 時代は巡りどんどん世の中 悪くなるばかりだけど これだけは 最高の発明品 苦しみを 幸せに変える さよう 魔法のミュージック ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール ロックンロール! ロックンロール! 至福のロックンロール! 素晴らしい 神様のおくりもの 最高の 神様のおくりもの |
| 冥土喫茶人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 陰鬱な静寂 人魂の灯 骸骨の杯 無念の乾杯 しゃがれた声が呟く ようこそ冥土喫茶へ 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ 陰惨な曼陀羅 梵字の品書き 大王お墨付 奪衣婆の料理 女給さん白装束で 死化粧して死臭ふりまく 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ 陰湿な音楽 囚われの楽団 短調の連続 絶望の調べ 忌まわしい和音虚しく 終わりのない闇に沈む 黄泉の国のすぐそこ 三途の川のすぐ横 あの世着いたらすぐにおいでよ |
| 月下に捧ぐ舞踏曲人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 満月に似合うものなぁに ひとりぼっちの狼さ 月の光は誰のもの 親を知らない子らのもの さあさ 踊れ 月の下 アイアイアー 夜明けまで 三日月欠けりゃなんとなる 夜空が夢を見なくなる 月の衣は誰のため 恋に患う人のため さあさ 集え 月のもと アイアイアー 夜明けまで 星は五芒(ごぼう)で月は丸 丸くなりたや胸の内 月の宿りは誰を待つ 昨日帰らぬわが子待つ さあさ 歌え 月の影 アイアイアー 夜明けまで アイアイアー 月の下 月が回る オホホーオンロロロ 星が踊る オホホーオンロロロ 月が咽(むせ)ぶ オホホーオンロロロ 夜が歌う オホホーオンロロロ |
| ばっちりいきたい子守唄人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | すっきり本日 日本晴れ たっぷりご飯をいただいて ゆっくり原宿職探し やっぱり駄目だよまたおいで さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 どっきりするよな恋をした ぱっちりおめめの可愛い娘 すっかり夢中のボクだけど はっきりしないよ恋模様 さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 うっかりしてるといわれます しっかりしろともいわれます てっきりよかれとしたことが がっかりわかっちゃくれないよ さっと寝たなら明日もハレルヤ ぐっと我慢の男の子 ぱっと布団に入ればOK ばっちグーグー子守唄 ばっちりいきたい子守唄 |
| 洗礼人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 真昼の天空に 鬱々と拡がる雲 蒼褪めた馬に乗り 死神はラッパを吹く ギンギンギラギラ 大地は燃え立ち ザンザングラグラ 荒波沸き立つ 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 夜更けの天涯に 忽然と現わる船 蒙昧な声目掛け 鉄槌が炸裂する ドンドンパチパチ 戦のお便り オンオンドロドロ 病のお知らせ 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 助けてほしいか 助かりたいのか 救ってほしいか 救われたいのか まだ生きたいのか まだ分からないか まだ苦しむのか まだ見えないか 洗礼 …・生きるための 洗礼 …・死ぬるための 洗礼 夜明けの天上へ 粛々と消え行く人 千万(ちよろづ)の時を越え 煉獄の蓋が開く カンカン踊りで 死人(しびと)が唄えば ガンニン坊主が 念仏唱える 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た 裁きの時が 近付いた 終わりの時が やって来た |
| 地獄風景人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 人間花火が打ち上がり 紳士と淑女の運動会 針とびマーチも高らかに 狂ったかけっこ よういドン 堕落のゴールへまっしぐら 奈落のゴールへまっしぐら 刃のテープで真っ二つ 万歳している上半身 脚だけ先行くおかしさに うっとりしながらゴールイン 破滅のゴールへまっしぐら 地獄のゴールへまっしぐら 呂律が回らぬアナウンス お次は首とり騎馬戦だ 歪んだ笑いの貴賓席 捻れた骸の表彰台 堕落のゴールへまっしぐら 奈落のゴールへまっしぐら 破滅のゴールへまっしぐら 地獄のゴールへまっしぐら |
| 地獄人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 赤い鬼がやって来る 青い鬼がやって来る 逃げ惑う餓鬼の群れ そうか地獄に落ちたのだ けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる 足元は針の山 喉元は糞の海 蛆虫を植えられて 火に投げ込まれた果ては けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる やっと死ねたと思ったが 気が付いたら生きている 痛みより何よりも 死ねないのがこれ地獄 けつの穴から槍刺され 爪で皮をはがされて 釘で手足を打たれたら そこはまな板恐ろしや でかい包丁で細かく刻まれ 骨になるまで鬼に喰われる |
| ダイナマイト人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | ダイナマイトを知ってるかい とっても楽しい権利物 「3」で当たれば小当たり 「7」で当たれば大当たり!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトが大当たり やればできるんだ君だって 単発のまれて終わりです 俺の頭はダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン ダイナマイトをやるために 免許証質入れ金借りた 今じゃ無免許無一文 それでもやりますダイナマイト!! 2連チャン 3連チャン 4連チャン 5連チャン 6連チャン 7連チャン 8連チャン 9連チャン 10連チャン 11連チャン 12連チャン 13連チャン |
| 侵略者人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 第二学期の 初めまでは 怖いものはイジメだけと思ってた だけど深夜の ラジオ電波が 地球人の危機を叫んでいたんだ 父さん! 宇宙人がいるよ 母さん! 宇宙人が来るよ 通学バスで 女生徒たちは 異星人とメールのやりとり始める 英語教師も チョーク飛ばして 未来形の次は宇宙語 Do you know? 父さん! 宇宙人がいるよ 母さん! 宇宙人が来るよ 父さん! 宇宙人はいるよ 母さん! 宇宙人は来るよ 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間を操り 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間を滅ぼす 風紀委員の 陰に隠れて 黒い服の奴が待ちぶせしている 逃げ出すもんか 青い地球を 守れるのは僕さ僕だけなのさ 父さん! 宇宙人がいるよ 母さん! 宇宙人が来るよ 父さん! 宇宙人はいるよ 母さん! 宇宙人は来るよ 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間のふりして 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間の真似して 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間を操り 侵略者(インベーダー) 侵略者(インベーダー) 人間を滅ぼす |
| 人喰い戦車人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 生首のはさまったキャタピラーが軋む 死に際のおののきが大好物 さて のろしをあげようか さあ 逃げろ もういいかい? 見よ轍を 死の轍を 辿る先は 猟奇の果て 骨を砕き 肉をしゃぶり 汁をすする 人喰い戦車 ほら エンジンは歌う ほら 皆殺しの歌 勝利のリズムで 狂気のメロディーを 臓物を巻きつけてキャタピラーは笑う 血に飢えて のたくって 舌なめずり おや そこの岩陰には やあ 可愛いお嬢さん 見よ轍を 死の轍を 辿る先は 猟奇の果て 骨を砕き 肉をしゃぶり 汁をすする 人喰い戦車 |
| 自然児人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 煙草の煙を せわしなく吐き お前の心は 早鐘に打つ 世界という名の 大人の前で 闇夜に怯える 獣のように お前は自然児 裸であるがゆえ お前は異端児 自然であるがゆえ 成すべき未来の 頁は閉じて お前は浪費の 日記をつける 止まらぬおしゃべり 玩具(おもちゃ)の自慢 自分を知らない 子供のように お前は自然児 裸であるがゆえ お前は異端児 自然であるがゆえ 食べたい時に食べて 眠たい時に眠り 悔しい時は暴れ 悲しい時は叫び 誰をも憎みながら 誰より愛されたい 苦痛のねぐらがお前を迎える 愛する言葉を持たないお前を お前は自然児 裸であるがゆえ お前は異端児 自然であるがゆえ お前は鬼の子 孤独であるがゆえ お前は天の子 自然であるがゆえ |
| 魅惑のお嬢様人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 月明かり浴びた雪のような 淡くて溶けそうなその肌は 目眩がするほど狂おしい 野バラの香りをにじみ出す お嬢様の脚 お嬢様の腕 お嬢様の胸 お嬢様の頬 そこに咲く笑窪 磨いためのうが濡れたような 妖しい光の唇は 神秘の水晶のぞかせて 小鳥のさえずりそっと出す お嬢様の髪 お嬢様の指 お嬢様の口 お嬢様のあご そこに咲くほくろ この世の光をみんな集めて まばゆいばかりに光輝け お嬢様 男の視線をみんな集めて 艶かしいほど光輝け お嬢様 女の嫉妬をみんな集めて 神神しいほど光輝け お嬢様 独り占めする欲望が日ごと強くなる 秘密をあばく欲望が夜ごと強くなる いじめてみたい欲望が日ごと強くなる 汚してみたい欲望が夜ごと強くなる |
| 棺桶ロック人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | 何が何だか知らないうちに どこかとんでもないとこへ来た そばで医者様臨終告げる 何だかとても嫌な予感だ これは一体どうしたことだ 体がまるで動かない 何が何だか知らないけれど 何が何でもここから逃げるんだ 棺桶が招くのだ 棺桶が俺を呼ぶのだ 何が何だか知らないうちに どこかとんでもないとこへ来た そばで坊主がお経をあげる 何だかとても嫌な気分だ ここはどうやら棺桶の中 どうやら俺の葬式だ 何が何だか知らないけれど 何が何でもここから逃げるんだ 棺桶が呪うのだ 棺桶が離さないのだ 暗黒 暗黒 冷たい暗黒 限界 限界 正気の限界 幻聴 幻聴 誰かの声がする 閃光 閃光 光に進めよと 希望かそれとも絶望か 何が何だか知らないうちに どこかとんでもないとこへ来た ここはどうやら火葬場の釜 何が何でもここから逃げるんだ 棺桶が呪うのだ 棺桶があざ笑うのだ わからない わからない わからない わからない 何でなのか わからない わからない わからない わからない 何てことなんだ |
| 死神の饗宴人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | まだお前は生くるのに 足踏みなどしているか 夏蝉でも死ぬるまで 声を限り鳴くいうに 俺は死を告げるもので 生の意味を諭すもの 枕元の卒塔婆持ち お前の名を書くのだ さあ祭りの時 死の宴の時 無邪気な子のふりをして 明日(あす)を投げる奴もいる 早死にさと呟いて 今日を捨てる奴もいる 俺は容赦なぞしない 生の意義を悟るまで 目の前なる蝋燭を 吹き消すのだ何度も さあ祭りの時 死の宴の時 丑三つ刻仏壇開けて 無間地獄を垣間見ろ 三途の川位牌を背負(しょ)って 先祖代々舞い踊れ さあ祭りの時 死の宴の時 さあ祭りの時 死の宴の時 人は赤子に生まれて 夢のうちに一度死ぬ 死の影絵を踏みしめて 揺り籃(かご)から覚めるのだ 俺の名前は死神 我が双子の兄弟よ 盂蘭盆会(うらぼんえ)の墓場来て 櫓(やぐら)の上立つのだ さあ祭りの時 死の宴の時 死にゆくまで 生きぬくのだ さあ 生きぬくのだ 死にゆくまで さあ |
| 芋虫人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | 人間椅子 | ひねもす隠れ ひねもす食らう 何も判らず 何も遺さず 何も…何も… 俺は芋虫 貪るだけの 俺は芋虫 肥えてゆくだけの 闇に蠢めき 闇に悶える 何も得られず 何も叶わず 何も…何も… 俺は芋虫 醜いだけの 俺は芋虫 卑しいだけの 俺は芋虫 嫌らしいだけの ああ ずるずると血膿のぬめる肉塊 ああ どろどろとはらわた腐る肉塊 ああ 朽ちてゆく 朽ちてゆく 朽ちてゆく ああ ぐつぐつと煮えくり返る肉欲 ああ どろどろと虚しくよどむ肉欲 ああ 堕ちてゆく 堕ちてゆく 堕ちてゆく |
| 晒し首人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 首斬り穴の 闇を覗けば 刃が走り 視界が回る ひきつる胴が 血の雨降らし 無念の青に 恨みの赤が 睨んだ睨んだ 歪んだ顔が 並んだ並んだ 晒し首並んだ すすき野原の 壊れた台で 睨んでみても もずが鳴くだけ 首から下は どこ行ったのか からすに訊けど 答えちゃくれぬ 溶けた溶けた 鼻が溶けた 落ちた落ちた 目玉が落ちた 養虫が 俺の鼻穴で 夜風に揺れている 蟷螂(かまきり)が 俺の頭から 月に拝んでいる 土蜘蛛が 俺の喉元で 何かを待っている こおろぎが 俺の目の中で あはれと鳴いている 人に晒され 日に晒されて 雨に打たれて 風に吹かれて 虫に喰われて きのこが生えて 苔むす頃に 土へと帰る 崩れた崩れた しゃれこうべ崩れた 無くなった無くなった 俺が無くなった 咲いた咲いた 彼岸花咲いた 忘れられた 俺の墓標 |
| 刀と鞘人間椅子 | 人間椅子 | 鈴木研一 | 鈴木研一 | | 刀は人斬るものだけど 鞘がなければ差せなくて 鞘は気高いものだけど 刀がなければただの筒 俺は刀で君は鞘 抜いたり差したり 抜いて咲くのは八重桜 乱れ咲き 刀は一度(ひとたび)抜かれたら 血潮を見るまで帰らない 鞘は血糊を受け止めて 無念の思いを舐め尽くす 俺は刀で君は鞘 抜いたり差したり 抜いて咲くのは八重桜 乱れ咲き どんなに刀が暴れても 元の鞘に収まるさ 俺は刀で君は鞘 抜いたり差したり 抜いて咲くのは八重桜 乱れ咲き |
| 宇宙遊泳人間椅子 | 人間椅子 | 和嶋慎治 | 鈴木研一 | | 誰も知らない丘の上 夜の帷(とばり)が降りてくる 何て真白なこの宇宙 何て独りなこの僕だ 夏の終わりの蜉蝣(かげろう)は 幼き日々の蒲団の匂い 一つ二つと流れ星 時の静寂(しじま)に語りかければ 遠く銀河の彼方から 妙(たえ)なる調べ転(ころ)び出し 音の波間の誘うまま そして始まる 宇宙遊泳 箒(ほうき)の尻尾またがって 遥(はるか)か眼下を眺めれば 恋人達のさんざめき 母は我が子を待ちわびる 月の兎も飛び廻り 馬頭星雲そこまで駆けっこ 有為の奥山けふ越えて 2億光年乙女座辺り 花も恥じらう手弱女(たおやめ)に 星の冠捧げよか 天の河では水を浴び 泳いで行ける どこまでも 名前も知れぬこの星は 名前もいらぬ人ぞ住む 服は鈍(にび)色身は黄金(こがね) 楽の音(ね)をもて会話する 争わず 疑わず 絶えることない頬笑と 愛し合い 歌い合い 変わることない平穏の 何て静かなこの宇宙 何て小さなこの僕だ 故郷(くに)じゃ今頃鬨(とき)の声 やがて降り立つ 丘の上 |