まだまだ今から。結成12周年の彼らが放つ全12曲入りニューアルバム!

 2023年5月24日に“Da-iCE”がニューアルバム『SCENE』をリリースしました。結成12周年を迎える彼らが放つ今作には、SNSを中心に話題となった「スターマイン」やドラマ『ケイジとケンジ、時々ハンジ。』主題歌「ダンデライオン」、映画『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』主題歌「ハイボールブギ」を含む全12曲が収録。インタビューではメンバーの工藤大輝と花村想太にお話を伺いました。Da-iCEのなかで変化した歌詞の重要度。ふたりの歌詞の特徴や違い。ツインボーカルそれぞれに似合う言葉。そして今、抱く思い。12年ともに活動してきたからこそ言語化できるお話も盛りだくさん。今作と併せて、インタビューをお楽しみください…!
(取材・文 / 井出美緒)
ダンデライオン作詞:花村想太・MEG.ME
作曲:花村想太・MEG.ME・Louis・三沢崇篤
ダンデライオン 咲く道
泣き笑いの毎日を まだこれから まだやれるさ 歯を食いしばってゆけ
どんなにもがいても悩んでも 陽はまた昇るのだろう
空の雲のように 答えのない日々 モノクロの街を 彩る感情
咲き誇る日まで 風に 揺られてる
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変化球のなかに直球を混ぜるタイプ。直球のなかに変化球を混ぜるタイプ。

―― おふたりは人生でいちばん最初に書いた歌詞って覚えていますか?

想太 僕は20歳ぐらいの頃に書いた「love letter」って曲かな。ピアノをやっている友だちがいてその子と一緒に作りました。なんかねぇ…恥ずかしいというか、甘~い歌詞を書いていましたね。ソロとしてリリースし直しているんですけど、そのとき2番以降を書き直して、さらに甘さを足して。でもいい曲だなと思います。

大輝 w-inds.の橘慶太くんはその曲に注目してライブに来てくれたんだよね。僕は多分、高校2年生の頃かな。既存曲の歌詞を無理やり自分で書き直して。

想太 すごい!

大輝 R&BとHIP HOPの間みたいな曲。元の歌詞はそのひとたち自身のことを歌っていたので、僕が歌うときに当てはまらないのが嫌だったんですよ。なので、自分の紹介文みたいな歌詞に変えた記憶があります。

―― Da-iCE楽曲は作家さんが手掛けているものもありますが、ここ数年、ほぼ全曲の作詞作曲にメンバーの皆さんが携わっていますよね。自分たちで書くようになった明確なタイミングはあるのでしょうか。

大輝 もともと僕と想太は書いてはいたんですけど、ぶっちゃけそれが採用されていなかっただけなんです(笑)。当時お世話になっていたレーベルの方々の、「ヒットさせたい」「職業作家の方のほうが安心感ある」みたいな意図もわかる。それでも懲りずに我々が書き続けていたところ、カップリングとかアルバム曲とかで徐々に使われるようになって。ファンの方や内々のスタッフにも“僕ら自身が書く”イメージが浸透して、コンペとかもみんなで参加するようになっていったんですよね。

―― メンバーのみなさんにとっての歌詞の重要度も変わってきますよね。

想太 めちゃくちゃ変わりました。実は僕、武道館公演のときにすごく思ったことを覚えていて。「WATCH OUT」とか「トニカクHEY」とかを歌うとき、「僕たちがこう思ったから、この曲を歌います」って言うのがなんか難しかったんですよ。

大輝 あー、わかる。MCでね。

photo_01です。

想太 そうそう。ロックバンドのライブとか観ると、彼らは自分たちで曲を作って、歌詞に昇華して発表しているじゃないですか。でも僕らは誰かに作ってもらったものをかみ砕いて伝えている。そこに違和感を抱く瞬間が出てきて。それを感じてからは、Da-iCEの思いは僕ら自身が書いて歌って、みんなに届けたいなと思ったんですよね。12年も一緒にいれば、大輝くんが書いた歌詞でも、自分の思いとして歌えるし。

ただ、たとえば「スターマイン」に大輝くんがかけた思いなんかは、大輝くんがいちばん知っているだろうから、それもみんなに伝えてほしい。歌詞がどんどん大切になっているからこそ、書いた曲を責任持って自分が説明できるようなライブができたらいいな、とも思うようになりました。

大輝 今は、歌詞こそ僕らの意思で、そこに推してもらう理由があると思っていますね。提供曲のみで、ダンスが上手くて顔がいいグループだと、ちょっと負けちゃうというか。横並びになっちゃう気がして。やっぱりバンドって強いじゃないですか。たとえば僕はミスチルさんが大好きですけど、「とくに桜井和寿さんの歌詞が好き」って思うし。そういうところで求心力を持っていかないと、いずれダンスボーカルグループとしては厳しくなってくるのかなと結成当初から思っていたので、それが少しずつ報われてきた感じはありますね。

―― 確実に歌詞が武器になってきていることは、歌ネットのアクセスランキングなどを見ていても感じます。

大輝 そういってもらえるとすごく嬉しいです。

想太 歌ネットさんで歌詞先行公開とか注目度ランキングとかあるじゃないですか。あれは結構ファンの方が喜んでくれるんですよ。「次のDa-iCEはどんな歌詞を書くんだろう」って見てもらえるのは、自分たちが書いたからこそなのかなって。

大輝 歌詞から、「どういう曲調なんだろう」とか想像してくれるし。あれは俺らもすごく楽しいよね。

―― 想太さんと大輝さんはお互いの書く歌詞で違いを感じるところはありますか?

大輝 違いますねー。わかりやすく説明できます。僕は変化球のなかに直球を混ぜるタイプ。想太は直球のなかに変化球を混ぜるタイプ。

想太 まさにそうだね。顕著に違う。だからこそ「CITRUS」はお互いの歌詞の特徴がうまくハマったなって思います。僕は大輝くんの歌詞が単純にすごく好きで。言葉選びの上手さもそうですし、時事ネタもよくチェックしていて落とし込まれているし。めっちゃ羨ましくて、尊敬しているんですよ。

―― たとえばラブソングでも描く主人公像が異なってきますよね。

想太 そうそう。僕が書くのはもうまっすぐな主人公だと思います。でも、大輝くんは主人公をはたからみている絵を書いてきたりするんですよね。5噛みくらいしたら意味がわかって、ゾワッとくるみたいな瞬間もいっぱいある。映画でいうと、見方によってそのひとが悪にも正義にも思えるような作品というか。

photo_01です。

大輝 想太の書く主人公は、思いの伝え方がストレートで、いい意味で中二病なんですよ(笑)。それって書けるひとと書けないひとがいて。その表現に対して、根っこから自信がないとビビってしまう。たとえば「好きだ」とシンプルに伝えることに引け目や難しさを感じて、そのワードを外したくなるというか。

だけど、想太も雄大も歌唱に対して真摯に向き合ってきているから、言葉の届け方をわかっている。「好きだ」という歌詞のエネルギーを理解しているから歌えるんです。真っ直ぐに生きてきたひとたちだから、真っ直ぐな表現がしっくりくるんですよね。僕は表現としてその逆の方法を選んでいますけど、ストレートに表現できる想太と雄大のことをめちゃくちゃリスペクトしている部分があります。

想太 大輝くんは逆に、「大嫌い」って書いているのに「大好き」に思える、みたいな歌詞が得意だよね。歌詞の裏側を読むことで、意味が伝わるというか。

大輝 そうそう、そういう表現が好き。そこは正反対。

―― また、Da-iCEはツインボーカルであるところも強みだと思います。想太さんと雄大さん、それぞれに似合う言葉などもあるのでしょうか。

大輝 僕はなんとなくありますね。想太もあるでしょ?

想太 あるある。たとえば、雄大くんに<私>って言ってほしくないの。もし歌詞に<私>というフレーズがあったら、そこは僕が歌うかな。あとふたりとも意外と<俺>は似合わない。

大輝 それな! 一人称ってとくに使い方が難しくて。だから僕は<僕><私><俺>とかの一人称自体をあまり使わないようにしているかも。なくても伝わるようにするというか。でも入れるなら、雄大は確実に<僕>ですね。雄大の歌声は昭和歌謡のイメージなんですよ。昭和歌謡で<俺>って少ないじゃないですか。逆にクレイジーケンバンドさんの「タイガー&ドラゴン」的な<俺の話を聞け~>みたいな聴かせ方なら似合うかな。

想太 わかる。ジュリー(沢田研二)さんとか、振り切っている系ね。

大輝 そうそう。性質がそこだよね。Da-iCEのことを知らないひとからしたら気にならないかもしれないけど、長年一緒にいるのもあって、しっくりくる言葉とそうじゃない言葉がなんとなくあります。命令形も避けるかな。発音的には<~しろ>だとしても、表記は<~しよう>にしたり。じゃないと雄大はとくに強く感じちゃうんですよ。そういうところは結構考えながら歌詞を書いていますね。

想太 歌唱法も雄大くんのほうが男らしく見えるんですけど、意外とすごく丸くて、包み込むようなタイプなんですね。一方で僕は棘があって、突き刺したり、飛ばしたりするタイプ。「CITRUS」の1サビと2サビを聴き比べてもらったら違いが一目瞭然だと思います。だからエッジのあるパワーフレーズは僕が歌ったほうがよくて、伸びやかで綺麗なフレーズは雄大くんが歌ったほうがハマるんですよ。

―― 今のお話すごくしっくりきました。個人的には雄大さんは“う”と“お”の母音が似合い、想太さんは“あ”と“い”と“え”の母音が似合うイメージがあります。

想太 まさにそうなんですよ!「ダンデライオン」も<手を取るから>の部分とかかなり難しくて。あそこは雄大くん一択でした。僕はこの発音がすごく好き。ちょっと和田アキ子さんに通ずる響きの太さがあるというか。

大輝 わかる、わかる。

想太 あと和製ブルーノマーズ感もある。雄大くんにはああいうジリジリしたギリギリの響きを求めてしまうところはありますね。

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