LIVE REPORT

NICO Touches the Walls ライブレポート

NICO Touches the Walls

『Tour2012 “HUMANIA” 追加公演 “Ground of HUMANIA”』

2012年03月20日@幕張メッセ イベントホール

撮影:上飯坂一/取材:宮本英夫

2012.03.20

千葉県出身のNICO Touches the Wallsにとって、幕張メッセ イベントホールはつまり凱旋公演。光村龍哉(Vo&Gu)は第一声で“千葉県に帰ってきました!”と叫び、その後のMCでも”ここでやれて嬉しい””地元へようこそ!”とホームグラウンドへの愛をぶちまける。実は、坂倉心悟(Ba)のみ東京出身ということで軽く笑いも取りつつ、全体的には極めてテンションの高い歌と演奏と真摯な言葉でぐいぐいと押しまくる。今回はツアー『Tour2012 “HUMANIA”』の追加公演ということで、本編のツアーとは曲目が異なるのだが、新たに加えられた「トマト」「波」といった重厚な楽曲が新鮮な魅力を放っていたのは収穫だった。それはアルバム『HUMANIA』の根底に流れる生々しい人間臭さ、生きることの素晴しさといったテーマに呼応し、ライヴ全体をひとつの物語として感じさせることによく貢献していた。その中で披露された新曲「夏の大三角形」は心地良く転がるリズムと伸びやかなメロディーを持つ、これからの季節にぴったりのさわやかな曲調で、バンドの幅を広げる大きな可能性を秘めた楽曲だ。可能性と言えば、男女に分けてのコール&レスポンスや、アンコールで地元の高校生によるマーチングバンドを従えて、会場後方からステージまで練り歩くなど、今までになかった演出が試みられたのも、可能性を広げるための前向きなトライだろう。バンドが追求するべきロックの方向性は、アルバム『HUMANIA』でより明確になった。あとはどれだけ多くの人に、より楽しく、より深く届けられるか。この日のライヴの成功の向こうには、さらにスケール感を増したバンドの未来像がはっきりと見えていた。
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