LIVE REPORT

Salley ライブレポート

Salley

『Salley ワンマンライブ2015 SUMMER「Emerald」』

2015年07月19日@duo MUSIC EXCHANGE

取材:石田博嗣

2015.07.24

2ndアルバム『エメラルド』のタイトルを冠にして行なわれた、1年3カ月振りのワンマン公演。1stアルバム『フューシャ』でSalleyという土壌を作ったとすれば、『エメラルド』はそこからさまざな芽が空に突き上げるように出た作品だ。その感じが、そのまま今日のライヴにも表れていた。

客電が落ちた場内にSEと観客のクラップが響き、ドラムのカウントから「流星ラヴァー」がスタート。多幸感を帯びたウエットなサウンドに、うららの透き通ったシルキーな歌声が被さると、もはや会場はSalleyの音世界。上口浩平のギターがソリッドに空間を切り開き、うららの伸びやかな歌声がどこまでも広がっていく。しかも、“すっごく楽しい!”...そんな心の声が聞こえてきそうなほど、うららは満面の笑顔を浮かべ、のっけからテンションが高い。3曲が終わったところで、“こんなに自分でもテンション振り切るとは思ってなくて。たぶん気付いた人もいると思うんですけど、私、髪飾りがふっ飛んだんです(笑)”と話すほどだ。その弾け具合...うららの言葉を借りるなら“振り切り感”が、今の彼女のモードなのだろう。『エメラルド』のインタビューの際に“Salleyのイメージにそぐわなくちゃいけない、カッコ付けなくちゃ!というのがずっとあった”と語っていたが、その呪縛から解き放たれた彼女の歌声は、とても自由で、とても魅惑的で、際限なく弾けていた。

その後も、うららがエレキギターをかき鳴らしながら歌った「カラフル」で客席のクラップを誘い、さらに場内にハッピーな空気を送り込むと、Salley風シティポップとも呼べそうな「#581」が豊潤なサウンドスケープを描き、バラードナンバー「眩暈」ではグッと聴く者の心を掴む。また、中盤ではうらら&上口のゆるいトーク...特に上口の絶妙な間とボケで爆笑&失笑が起こるのはSalleyのライヴの醍醐味のひとつ。そこで生まれたアットホームなムードの中で、繊細なアコギ&ピアノの音色をまとった「Life」、さらにアコースティック編成で「グッバイ」をしっとりと聴かせるのだった。

そして、“浩平タイム”こと上口の饒舌なギターをフィーチャーしたインストナンバー「Cissy Strut」をはさみ、ライヴは後半戦へ。ボルテージの高いバンド陣のプレイで熱量が高まった場内に涼しい風を吹かせるように「籠の中」が披露されるが、うららの“ここからどんどん盛り上がっていきましょう! みなさん、準備は良いですか? ...気持ちいいね、これ。もう1回言っていいですか?(笑) みなさん、準備は良いですか!?”という煽りからの「冬が来る」で会場に再びクラップが響き渡る。さらに畳み掛けるように「キスしてbaby」「Key」と『エメラルド』からのナンバーが披露されたわけだが、同作の楽曲がSalleyの音楽性をよりカラフルに輝かせ、その新鮮味と一緒に伸びしろも感じさせたのが印象深く、これらの楽曲たちがどう深化していくのか、それによってSalleyの持つ色彩がどう広がっていくのか...など、空に突き上げた芽の成長を期待させる。

いよいよライヴも佳境に。うららが“泣かないと決めていたんだけど、ちょっと今、ヤバいね...。次が最後の曲です...”と感極まりながら話している途中、被るように“あっと言う間ですね...すみません、しんみりとしたムードを壊してしまって”と入って場の空気を変えてしまう上口。それに対して、うららは“それがSalleyらしさかなって、私も思いますよ”と返したが、同じことを観客全員が思っていたことだろう。このフレンドリーで和やかな雰囲気もまた、Salleyのライヴの醍醐味のひとつである。

本編ラストは「Love Song」。会場の隅々にまで行き渡らせた温かくてやさしいサウンドスケープが、感謝の気持ちを届けるように観客ひとりひとりを包み込んでいき、その余韻を残したまま、アンコールでも爽快な「夏はゆく」で客席を焚き付け、「あたしをみつけて」のメロウで良質なメロディーを胸の奥に染み込ませる。そして、オーラスは「青い鳥」。会場が観客のクラップに包まれるぐらいの一体感の中で、たくさんの笑顔とともに大団円を迎えた。
この歌手の歌詞一覧 この歌手の動画一覧

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 7

    Life(アコースティック)

  2. 8

    グッバイ(アコースティック)

  3. 9

    Cissy Strut(インスト)

  4. 13

    Key

  5. <ENCORE>

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