LIVE REPORT

Salley ライブレポート

Salley

『Salley Live 2016 SUMMER「Clear」』

2016年07月10日@渋谷WWW

取材:吉田可奈

2016.07.20

アーティストにはさまざまなターニングポイントが存在する。結成、デビュー、メジャーデビュー、ブレイクや脱退...。それだけじゃない。心境、状況の変化も立派なそのひとつだ。

芯のぶれることのない、良質なポップスをじっくりと届けてくれるSalleyの1年振りとなるワンマンライヴが渋谷WWWで行なわれた。アーティスト写真や楽曲のイメージから、客観的に見ればどこかクールに淡々と楽曲を作り、マイペースに活動しているように見える人も多いことだろう。でも、この1年、彼らの行動を見てきたファンには、熱く、情熱的に、言葉を選ばずに言えばがむしゃらに歌を届けようとしていたことが伝わっていたことだろう。

インディーズという時期がないままメジャーデビューを果たし、手探りで走り続けてきた数年。ここにきて、彼らはちゃんと自分たちで、自分たちの手でSalleyを変えていかなければならないということに気が付いたのだ。そのためにはどうするべきか。そこで出した答えは、“ライヴをすること”だった。自主企画である『Salley Gardens ~柳の庭の音楽会~』というイベントでさまざまなアーティストと交流することで理解した自分たちの強み、そして弱さ。そんな中で、ついに決まったワンマンライヴ。相当の思いがあったことだろう。Twitterでの告知と、積極的なツイキャスの効果もあり、開演前からSalleyコールが起こるなど、すでにフロアーは温度を上げていた。

新作のリリースがない中行なわれるこの日のライヴは、来てくれた人たちが楽しめるようなセットリストになっていた。「カラフル」で幕を開けた瞬間から、うらら(Vo)と上口浩平(Gu)の表情は晴れやかな顔で、本当に楽しくて仕方がないという気持ちが伝わってくる。さらにお客さんひとりひとりに目を合わせ、指を差しながら歌う姿は、これまでのライヴではあまりなかった姿。きっと、もっとリスナーの側で、近くでつながりたいという考えから、自然とそうさせるのだろう。「愛の言葉」「#581」など、CDでは穏やかで心地良く響く楽曲も、このライヴではバンドサウンドと熱量を帯びたヴォーカル、力強いギターが身体中を刺激し、ライヴならではの気持ち良さを感じさせてくれる。これが、彼らの新たな魅力なのかもしれない。

MCでは、しきりにうららがスタッフや来てくれた人たちへの感謝の気持ちを述べる。思ったことはすぐに口にしてしまうような素直な性格だからこそ、この言葉に嘘はない。込み上げるようなシーンでも、上口は的外れで天然な答えを返すが、これもご愛嬌。きっと、こんなふたりのペアだからこそ暴走しすぎず、そして落ち着きすぎることなく、しっかりと前に進むことができているのだろう。

後半でのエモーショナルな盛り上がりは、ぜひ体感してもらいたいほど気持ち良くて、涙腺がゆるむほど。「プレゼント」でのコール&レスポンスではフロアー中にいた人全ての拳があがり、その一体感は鳥肌もの。その場にいた誰もが“終わってほしくない”と思えるような最高の盛り上がりの中、「Boys & Girls」で軽快にさわやかに本編を閉じた。

“泣かないって決めたの”といいながら目に涙をためるうららと、それをニコニコと見つめる上口。しっかりとふたりで、前を見据え、地に足を着けた今。そう、これが彼らの新たなターニングポイントになったのかもしれない。このライヴの大成功を胸に、また新たに力強い一歩を踏み出していくに違いない。
この歌手の歌詞一覧 この歌手の動画一覧

SET LIST 曲名をクリックすると歌詞が表示されます。試聴はライブ音源ではありません。

  1. 3

    君のヒーロー

  2. 10

    kodama(新曲)

  3. 13

    Key

  4. <ENCORE>

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