【SILENT SIREN ライヴレポート】 『SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 〜“Girls will be Bears”TOUR〜』2018年7月14日 at 豊洲PIT

2018年07月14日@豊洲PIT

撮影:Hajime Kamiiisaka/取材:榑林史章

2018.08.02

3月にスタートしたSILENT SIRENの全国ツアー『SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 〜“Girls will be Bears”TOUR〜』が7月13日と14日に東京・豊洲PITでファイナル公演を迎えた。最新アルバム『GIRLS POWER』を携えて開催されたツアーで、本公演は7月28日に迎える沖縄・桜坂セントラルでの追加公演を残しての32公演目。この4カ月間で培ったパワーあふれる演奏を聴かせ、ロックバンドとしてまたひと回り成長した姿を観せてくれた。

まるで野外ロックフェスに来たかのように、お客さんを巻き込んで会場を一体にした4人。「KNiFE」ではソリッドなバンドサウンドと早口の畳み掛けるようなヴォーカルがクールさを醸し出す。チャルメラの音色で始まった「天下一品のテーマ」は歌詞の内容とは裏腹なアグレッシブなナンバーで、ゆかるん(Key)が煽るラップに合わせたコール&レスポンスの声が会場を盛り上げる。中盤で「さよなら日比谷」や「AKANE」などしっとりとした楽曲を聴かせたパートでは、格段にアップした表現力で観客を惹き付けた。静かめながらも都会的なグルーブ感を聴かせた「さよなら日比谷」は洗練されたアレンジで、これまでの楽曲が原宿だとすれば、この曲は青山といった雰囲気だろうか。空間を意識したサウンドメイクから4人のプレーヤーとしての資質の高さを感じさせた。また、普遍性のあるバラード「AKANE」ではスクリーンに故・大杉漣が出演したMVが流れ、心のこもった丁寧な演奏が会場に響く。最後に大杉と親子役を演じたすぅ(Vo&Gu)が、小さな声で“ありがとうございました”とつぶやいた姿が胸に刺さった。

この日はこれまでライヴの定番になっていた「ぐるぐるワンダーランド」や「BANG!BANG!BANG!」などがセットリストに組み込まれなかった代わりに、『GIRLS POWER』収録の「ジャスミート」や「ODOREmotion」といったライヴチューンが全体の雰囲気を引っ張っていたのが印象深い。「女子校戦争」など最近はあまりやっていなかった曲も演奏された実に新鮮なセットリストからは、常に自分たちを更新し、リアルな今のサイサイを聴いてほしいという気合いが感じられた。また、「Kaleidoscope」から「ODORemotion」にかけての展開は、黙々と演奏と歌に打ち込むストイックな姿が目を引いた。随所にライヴならではのアレンジが加えられた演奏は、ガールズバンドとカテゴライズすることが申し訳なくなるほどの迫力。本ツアーでの30本以上のステージで鍛え上げられてきたライヴ感と演奏力を遺憾なく発揮し、はっきりとした成長が感じられるステージを展開していた。

MCで“もうツアーが終わってしまうと思うと感慨深いです。ライヴをするのが当たり前で、ライヴをしていないと体がなまってしまうくらい。つくづく自分たちはライヴバンドなんだと感じた4カ月でした”とツアーを振り返ったひなんちゅ(Dr)。毎年さまざまなフェスに出演し、年間を通して数多くのライヴを経験している彼女たち。ロックバンドとしての次なるステージに向けて、その実力と存在感にますます磨きをかけている。

撮影:Hajime Kamiiisaka/取材:榑林史章

SILENT SIREN

サイレントサイレン:2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。通称“サイサイ”として親しまれ、原宿を中心に女子中高生に人気が広がり、15年にガールズバンド史上デビュー後最短で日本武道館ワンマンライヴを開催。17年にはデビュー5周年記念日にツアーファイナルとしてバンド初となる日本武道館2デイズ公演を成功させる。そして18年、バンド史上最多公演の全国ライヴツアーが3月18日からスタート。デビュー6年目を迎え、さらに勢いを増す唯一無二のガールズバンド。