LIVE REPORT

MAGiC BOYZ ライヴレポート

MAGiC BOYZ ライヴレポート

【MAGiC BOYZ ライヴレポート】 『MAGiC BOYZ iTTAN FAiNAL』 2018年7月16日 at SOUND MUSEUM VISION

2018年07月16日@

取材:清水素子

2018.07.21

2014年の結成以来、10代にしてHIP HOPの大御所と数々のコラボを果たしながら、この度メンバー4人全員の卒業を発表し、グループの活動に終止符を打つことになったMAGiC BOYZ。渋谷・SOUND MUSEUM VISIONで行なわれたラストライヴ『MAGiC BOYZ iTTAN FAiNAL』はメンバーの加入&脱退に何度も見舞われた波乱の歴史を全て呑み込み、これまで発表してきた全曲を披露するという、素晴らしく気合の籠もったものだった。

都内最大級のクラブフロアー埋め尽くしたホーミー(ファンの呼称)たちの熱気の中、ライヴを幕開けたのはデビュー曲「MAGIC SPELL~かけちゃうぞ!ぴっぴっぴっ~」。当時と同じパーカー&マントを纏って全宇宙にイルな魔法をかける4人の姿は、まさしく“ドープ”のひと言で、こんな難易度の高い楽曲でローティーンのグループがデビューしていたとは、MAGiC BOYZの異端ぶりを改めて思い知らされる。さらに「マジボのテーマ~Baby to Boy~」で“We are マジボ!”の大合唱を巻き起こすと、“オレの特技は忘れ物”というDJ ジョーの歌声もすっかり声変わりを果たし、ついにはハードなスクラッチまで! 加入から2年の成長をまざまざと見せつけるが、マジボとはそうして常に変わり続け、進化し続けてきた存在なのだ。

“これがラストライヴ。最後の最後まで全員俺たちについてこい!”というトーマの煽りからは3MC+1DJの基本体制を軸に、時に4MCでのパフォーマンスも交えながら、中高生ならではのあどけなさを織り交ぜた本格派HIP HOPチューンを次々にドロップ。Mr.マリックを父に持つLUNAとのコラボ曲「MAGICHAND~マジヘン!~」ではマジックを披露したり、「10000000000YEN」ではマジボ札を客席にばらまいて客席フロアーに突っ込んだりと、エンタメ性もたっぷりに、なんと13曲をノンストップで贈るのだから驚きだ。約20年振りに復帰した市井由理とのコラボ作「パーリーしようよ」でチルアウトして前半戦を終え、“MAGiC BOYZ出会いと別れ”と題して3年半の歩みを振り返る映像が流れると、結成時の幼い姿に“かわいい!”という歓声も。その声こそが彼らの成長を表す何よりの証だろう。

後半戦に入っても人気のダンスチューン「DK GO!!!」で、スモークの中から“もっとブチ上がろうぜ!”と煽動。ここでようやく本日初のMCが入り、ジョーが“北海道での対バン『カニへ西へ』が楽しかった”と思い出を語ると、その後も休みなく持ち曲を放ってゆく。「ハミダス」では逞しいアカペララップで観客に息を呑ませ、「ON&ON」では大人に押しつけられて始めた“音楽”に対する自意識の芽生えを表明。その想いをタフなラップや前のめりなパフォーマンスへと昇華させていく様からは、彼らのHIP HOPに対する愛情と信頼が確かに伝わってきた。その後はイントロだけで歓声が湧く人気のダンスチューンを畳みかけてクライマックスへ。中でもレイブ曲「Do The D-D-T!!!」では場内が沸騰し、間奏では学業と俳優業に専念するためアーティスト活動を卒業するマヒロがジョーにホイッスルを託され、渾身のソロダンスでホーミーたちに最後のアピールをしてみせた。

デビュー時から数々の楽曲を提供してきたNIPPSとVIKNからマジボ学園の卒業証書を受け取ると、そのマヒロは“大変なこともあったけど、その倍、毎日が楽しかった”と、ひたすらに支えてくれたメンバーやスタッフ、そしてホーミーたちに感謝。リュウトやジョーとともに音楽活動の継続を表明しているトーマも“ここで学んだこと、楽しい経験は忘れずに、次へつなげていきたいと思います”と宣言してくれた。そして《それぞれの道を歩いていこうよ》《今日は 俺らのMy graduation》という歌詞が今日という日にシンクロしてグッと胸に沁みるラストソング「3.141592」を贈ってステージを去り、ホーミーたちの涙交じりの“マジボ!”コールがリズミカルに熱を帯びると4人が再登場。ミディアムナンバーでホーミーたちの心をホッコリと温めるが、ダブルアンコールでは一転、マジボ最高のキラーチューン「Do The D-D-T!!!」を再投下して、“この1曲に全ての力を込めてブチ上がりましょう!”(リュウト)と3年半の想いを爆発させた。

最後にトーマが“以上、僕たちが高校生と中学生のHIP HOPグループ、MAGiC BOYZでした! ありがとうございました!”と元気な挨拶で締め括ると場内にスクリーンが降り、トーマ、リュウト、ジョーの3人で新たなる音楽グループ・HONG¥O.JP(ホンギョージェーピー)を立ち上げることが発表! 同時に1stシングル「Just Do It」のMVも公開され、アメリカ・ロサンゼルスでのレコーディングの模様が映し出されると、フロアーは歓声と拍手でいっぱいになる。終盤のMCで“自主性のなかった僕が、活動していくうちに本当にHIP HOPを好きになれた。これからは冷静に、もっと視野を広くして良いものを作っていきたい”とリュウトも語っていた通り、大人にラップをやらされていた子供は、今、自ら望んでラッパーへの道を選び取った。音楽を“HONG¥O=本業”にすべく、魔法から覚めた3人が自力で挑む闘いを、これからも見守っていきたい。

取材:清水素子